|
マジカル・パワー・マコのデビューアルバム。
2009年最後のレビューがノヴァリスのこきおろしというのはどうにもよろしくないような気がして、ショートスパンで最近の買い物の中から一枚ピックアップ。
マジカル・パワー・マコ(本名:栗田誠)
本作の発表年代が1974年。マジカル・パワー・マコは1956年生まれと言うから発表当時は18歳ということになる。
どう見ても奇人・変人に分類されるこの人を「天才」と呼ぶ人も多い。
私がマジカル・パワー・マコを知ったのは随分後になってからのことで、マーキーから自主制作で「Music from heaven」というクリアヴィニール盤を発表したころだ。なんとなく名前くらいしか知らなかった私はマジカル・パワー・マコのことを尊敬するサークルの先輩から教えてもらったが、すでにそのころは殆どの作品が入手困難で、彼の音楽を聴くことすら叶わなかった。
そうこうしているうちに忘れかけていた頃CDで本作が再発され、ようやく耳にすることができた。
当時の私はこの「トンデモ・レコード」の意味が理解できず、CD棚の隅に追いやられやがては手放してし、マジカル・パワー・マコの音楽から遠ざかっていた、その間にもマコは細々ながら活動をしていたようで作品を発表してきたらしい。
実は私は80年代に一度だけ六本木WAVEの前で路上パフォーマンスをするマジカル・パワー・マコを見たことがある。
そのときはなんだかシンセサイザーのデモ演奏みたいな感じで、これといった感想もなかった。
それがレコード屋をしていたころ、外国人ディーラーでコレクターがマコの作品を探しているが意外に多いことを知った。
日本盤では売れなかったレコードは欧米のようにジャケットに「カット」を入れてディスカウントして販売されることがなく、店頭から回収され処分されてしまったそうなので、セールスの悪かったレコードは世界的にレアなのだが、特に日本のアーティストのなかでもニューロック系(フライド・エッグやサムライ、ファー・アウト、エイプリル・フールなど)のレコードは世界的なレア盤だ(帯付きだとビックリするような値段で取引されている)。マジカル・パワー・マコもそんな中の一枚という位置づけになってしまっている。
外国人に言われて興味を持って聴くのも情けない話だが、昔聴いてピンと来なかった作品をもういちどCDで聴き直すのも気乗りしなかったし、どうせならレコードで聴きたいと思っていたところに、帯無しとはいえ想像したよりは安価で購入することができた。
さて二十年余りの時を経て再度聴き直したみたマジカル・パワー・マコはというと・・・
むかしは2曲目、3曲目で心が折れてしまっていたが、今となっては「作品を作るにあたり、制約なんて本当はないんだ」ということを改めて教えてくれているように思えてきた。
1曲目のアナウンスやネコの鳴き声はともかく2曲目で聴かれるフェイクのガムラン&ケチャや3曲目の三味線をバックにした津軽弁の語りなどは、果たして「マジカル・パワー・マコの作品」と呼べるのか当時疑問に思った。「レコードって出すの大変なはずなのに、何やってもいいの?」と思ったものだ。でもトータルで作品を聴いてみると、ニューロックっぽいフォークともロックバラードともとれる歌が入っていたり、良く聴くとメロトロンが多用されていたり、一見普通に聞こえる楽曲が普通な感じで併存している点も、狙っていない「本物感」が漂う。武満徹のプロデュースというの点を見てもやはりプログレのリスナーが本作をキャッチしたことに「すごいなあ」と思えてくる。
とにかく奇想天外・奇妙奇天烈とも言える作品であることは間違いないのだが、今にしてトータルで聴いてみると不思議と納得できるような気がしてきた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかファウストのレコードでも感じるが、アルバム全体をひとつの作品として考えるとき、なにも音楽をやらなきゃとか、自分の曲ないし自分で演奏しなきゃとかは自分ないし自分をとりまく世間が作った既成の価値観とうか先入観の産物なのではないかというふうに思えてくる。どの曲もロックやそれ以外の音楽、いや既成の価値観の外側にいて作られたような作品だ。こういう作品はやはりフツーの人では作れないだろうと思ってマジカル・パワー・マコの近況を検索してしらべてみたら、チャネリングや宇宙人との交信などに興味を持って活動しているらしい。つくづく規格外の人だ。
なんというか、ある意味ギリギリ破綻してしまった作品のようであるし、また「日本人」を強く感じさせる部分も多い。そこがなんとも良い部分でもあり異国の人でない分、身近に感じられて空恐ろしい部分でもある。
昔読んだ、旧友(と呼ぶにはあまりにも僭越だが・・)の式場隆成氏の著書「二笑亭綺譚」という本、奇人変人の建てたへんてこな住居の話を思い出す。少々オカシイ人がカネにまかせて実際に建ててしまった家なのだが、写真や資料などがかなり残っていて面白く拝読した。
なんというか、セオリーとか既成概念とかの外側で作られた作品というのは常日頃凝り固まっていく私の中の価値観が陳腐であることを思い知らせてくれて、痛快だ。この先の人生のどこかで一度出会ってみたい、そんな人がマジカル・パワー・マコだ。
|
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
私もノヴァリスの3rdはピンとこなくて20年以上前に手放しましたが、2年程前に中古で買ったマジカル・パワー・マコ1stのCD(ハガクレ盤紙ジャケ)は愛聴盤です。レコードで欲しい1枚ですね。
2010/1/3(日) 午後 4:11 [ nicohoi ]
nicohoi様 こちらこそ今年もよろしくお願いします。
マジカル・パワー・マコの近況を知りたくてネットで検索したら(とは言っても2000年以降の最近という意味ですけど)、なんだか「すぐとなりにいる規格外の人」的な存在になってるみたいですね。宇宙人との交信にご執心だったり、普通にカキコミしてきたり、伝説の人がネットのおかげで未だ伝説そのままの存在感で身近にいるような・・・ パフォーマンスとかあったら観に行きたいものです。
2010/1/5(火) 午後 3:08
でへ
2010/1/14(木) 午後 8:43 [ mag*cal**wer*ako ]
やったーーー!!!!!!
お待ちしておりました、MPM様!!!
失礼かもしれませんが、なんだかUFOを呼びよせる会や降霊術の儀式をした気分です!!!
本ブログを初めてまもなく5年、ブログをやっていて本当によかった!!!
目も眩みそうです!!
2010/1/14(木) 午後 11:06