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プリファブ・スプラウトの2作目「スティーブ・マックィーン」。
先週末、押入れを整理していたら古いカセットテープが出て来た。
若い頃は私にレコードは高価だったので、まずFM放送をカセットテープでエアチェック(死語)して確認してから買ったものだ。
今から思えば正しく隔世の感があるが、それでも音楽に対する渇望は大きく、なんとかして少しでも多くの音楽を聴く為に大真面目にカセットテープを活用していた時代があった。すっかり使用しなくなりカセットデッキを処分してしまった今となっては音質がいいわけでもないそれらカセットテープは全く無価値なものでしかないわけだが、そんな昔のカセットの中に1986年ロンドンハマースミスオデオンでのプリファブ・スプラウトのライヴテープを見つけた。
当時ロンドンに卒業旅行中だった私はコンサートに行って録音していたことを思い出した。今となってはカセットの音質なんてたいしたことないのかもしれないが、それでも当時はそこそこ評価を受けていた「プロフェッショナルウォークマン」で録音したものだ。なんだかもったいないし、今一度聴いてみたい。
今となってはカセットデッキを処分してしまい、聴くすべがない。ああ、こんなことならカセットデッキを処分するんじゃなかった。
他にも私にとっては貴重な音源が出て来たので、いつの日かデジタル化してCDーRに落したいものだ。
さて、どんなカセットデッキを買うべきか? 音の良いカセットデッキをご存知の方、お奨めの情報いただだけますと幸いです。
さてと・・・
彼らのライヴを見た1986年は本作がリリースされたばかりの新譜だった。当時私は前作「Swoon」をたいそう気に入り、続く本作がこれまた当時お気に入りだったトーマス・ドルビーのプロデュースということで期待に胸を膨らませてこのアルバムを買った。
期待に違わす本作は当時の私の愛聴盤となった。
プリファブ・スプラウトは実質パディ・マクアルーンのグループだ。
パディ・マクアルーンは所謂ネコアコのカテゴリーに入るのだろうが、独特の曲を書く人だ。
歌がバツグンに上手いというわけでもなく、すこしクセのある歌い方(ネオアコにはこの歌い方と同傾向の人が多いように思うが)があるので、もっぱらソングライターとして評価されているのだが、その特徴は独特なコード進行とすこしわかりづらいメロディラインだ。
少し意外な感じの転調が多めに入っていて、そのコード進行にクセのあるメロディをヴォーカルが載ってくる曲調だ全体を占め、一聴したインパクトよりはなんども聞きこんでよさが伝わってくると言う点が特徴だと思う。
加えてカウンター・メロディーをウェンディ・スミスというスキャットを得意とする女性ヴォーカリストが担当しているのだが、その声質はノーセッツのアマンダ・パーソンズに似て少しフォーキーで透明感がある感じ。
ちょっと複雑な曲調、多めの転調、そして美声女性スキャット。
そう、思い出すのはハットフィールド&ザ・ノースだ。
プリファブ・スプラウトはソングライターとしてすでに評価の高い人なのでファンも多いのだが、ハットフィールド&ザ・ノースのことをパディ・マクアルーン本人あるいはファンはどう思っているのだろうか?
一度訊いてみたいものだ。
最後に本作の重要なファクターとして付け加えたいのはトーマス・ドルビーのプロデュースだ。
トーマス・ドルビーなので当然エレクトロニックな味付けがここそこにちりばめられているのだが、ともすれば一本調子に陥りがちなネオアコ系の音楽にキラキラとしたアクセントを加えてくれていて、実に飽きさせない。かといってオーバープロデュースにまでは至らないところが素晴らしい。ファーストアルバムの「Swoon」も佳曲が多く悪くないが、トーマス・ドルビーのプロデュースの力かアルバム一枚を聴き通しての印象は本作が上だ、
本作でのコラボがお互いに好評価だったのか、この後コラボをする機会を生み出すことになる。
パディ・マクアルーンとトーマス・ドルビー。一見対極にあるような音楽性だが、なぜ、そしてどちらかからこのコラボをするべく働きかけたのだろうか?
久しく遠ざかっていたプリファブ・スプラウトの音楽を聴きながら、こんどその後の作品もまとめて聴いてみようかと思う昨今なのだった。
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