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オリジナル・ピンク・フロイドのソングライター、シド・バレットのソロニ作目にして最終作(編集盤を除く)。邦題「その名はバレット」。
このアルバムは初期プレスが何種類かあって少しややこしい。
盤は英国Harvestだが、リムが「グラモフォン表記」でラベルにEMIのボックスロゴが無いタイプがオリジナル。マトリックスナンバーは両面共に末尾が1G。
盤は比較的分かりやすいのだが、少しやっかいなのがジャケット。
最初期のものと言われるのが、おもて面がヴィニールコーティングされていて、ジャケット裏がフリップバックと呼ばれる折り返しになっているもの。
同じくオリジナルの雰囲気を持っていて、プレス数がさらに少ないのが、おもて面がコーティングでなく、エンボスされたテクスチャード・タイプでフリップバックになっているもの。
この他によく(でもないが)見かけるのが、おもて面がテクスチャードで裏がフリップバックでないもの。
いづれも盤はEMIロゴなしのオリジナル盤が入っていることがあるので、購入時に注意が必要だ。
ファーストアルバムは名作としてあまりにも名高い。
少し横道にそれるが、私の古い記憶ではファーストアルバム(編集盤かも)についた邦題が何種類かあって今から考えると面白い。
現在CD再発されている邦題は『帽子が笑う・・・不気味に』。確か昔、『気狂い帽子が笑っている』という邦題があったようなと思ってググってみると・・・どうやらファーストとセカンドのカップリング盤の邦題『何人をも近づけぬ男』 のうちの一枚目が『気狂い帽子が笑っている』だったらしい。『気狂い帽子が笑っている』は迫力ある邦題だが、なんと誤訳らしい。"Madcap"とは「 向こう見ずな人」という意味だそうだ。でもダブルミーニングかもしれないので、これはこれでアリだと思う。当時若かった私はこの邦題を見て怖じ気づき二の足を踏んだ。
オリジナル邦題は『幽玄の世界』。これだとなんだかわからないかも。『気狂い帽子が笑っている』が今、邦題として採用されないのは、放送禁止用語だからか?
そう言えばピンク・フロイドのファーストアルバムも最初の邦題が『サイケデリックの新鋭』。現在の邦題が『夜明けの口笛吹き』。
精神に変調をきたしピンク・フロイドを脱退後のソロ・アルバムということで、全体的にヘロヘロ、ヨロヨロの作風。
(もっとも在籍時からすこしオカしかったらしいが・・)
シド・バレットののギターとヴォーカルを先に録音してから、デヴィッド・ギルモアとリックが伴奏をつけていくという方法で制作されたアルバム(さすが「何人をも近づけぬ男」)ということで、きままに演奏するシドに引きずられバックの演奏が止まりそうというか、総崩れになりそうなパートが随所に見られ、そこがまた味となっている。「ドンカマ」と無縁な演奏。究極のアシッド・フォーク。
ファーストアルバムと違いどこかほんわかとした明るさ、ポップが有るところも本作の特徴となっている。
なんと言うか、つきぬけてしまったというか・・・真の狂気とはつきぬけてしまってかえって明るいものなのか。
彼の紡ぐ奇妙とも思える楽曲は、天才と紙一重の向こう側に行ってしまった奇妙な喪失感に溢れる独特の美しさがある。
その美しさが普遍性・永遠性を持ってしまっているところがシド・バレットを唯一無二としている点なんだろう。
そう言えばシド・バレットにしてもカンのマルコム・ムーニーにしても昔の論評を見ていると「発狂」という言葉が使われていたのだが、最近は「発狂」という言葉は避けられるようになっているのか、とんとみかけなくなった。これも放送禁止用語のせいか。
ちなみにこのラブリーなジャケットはシド・バレットがアート・スクール時代に描いたものだそうだ。
私にとってのこのアルバムの最大の思い出は、2000年中古レコード店をやっていた時にポール・ウェラーが店にやってきて、いろいろ探したあげくこの「BARRETT」の英国オリジナル盤を買っていったこと。忙しそうだったが、サインを一枚もらって握手してもらった。
印象に強く残っているのはポール・ウェラーの鼻のあたまに大きな面疔ができていたこと。
今思い出してもちょっと笑ってしまう。
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ウェラーにあったことがあるのですか??!!
すごい!
ウェラー・・ほんとに、音楽が好きなんですね。
2010/6/1(火) 午後 6:56 [ トリケラku_ma_sa_n ]
はい。昔の話だし、お店とお客様なのでこれを「会った」と言えるかは微妙ですが・・・ でも仰るとおりレコード屋に来た音楽好きの人であったことは確かですねw
2010/6/2(水) 午前 8:17