野路の道づれ

冬は暖冬だそうですが、こういう時の西からの雨が雪をもたらすことがよくあります。

ピアノのこと

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1年弱を過ぎて


  これはハンガリーのアンドラーシュ・シフの演奏による「平均律一巻」の8番と11番。―参考まで。
逐一書かないけれども多くの8番を聴いてみて、こうして載せたにもかかわらず、やっぱりリヒテルのが最も魅力的である。テンポを思いっきりゆったりとり、原典版にはないアルペジオを存分に効果的に使って、聴く側を揺り動かす。
 昨年だったかに亡くなった遠山一行氏は、あるバッハ特集のなかで、「彼の曲は指定された以外の楽器でも演奏できることは事実だが、にもかかわらずバッハ固有の音というものが在るという思いにこだわっている」と言っている。また「ときに感傷的とさえいえる旋律もある」と続けていた。「敬虔な祈りや宗教的な慰め」があるとは、西村弘治の解説であるが、そうであるのかもしれないが、ここまではよくわからない。今の私の思いは至極単純で、体系を作ることにかけては恐るべき力量を発揮したこの作曲家のなかでは、穏健ではあるが悲哀がにじんでいて、それこそ感傷的であると思うときが多い。

 8番の前奏曲だけを練習し始めて1年弱。両手でのアルペジオを除いて―つまり片手だけのアルペジオ+右手の和音は可能なのだが―なんとか最後まではいけるようになった。
 「余裕ができてきたのですね。それと強弱が自然な形でつきつつあります。子供たちの場合は(けっこう多くの子供たちをも教えているはずである―野路注)、こういう形で終りまで弾ければ次にいきますが、ここからなのです」
 と、長身のセンセーは、不詳な年齢の割には早い老眼鏡をかけた奥の目を大きくしておっしゃる。
 「えっ?・・・・、まだ、まだです・・・・」
 とか曖昧な返事をして、しかし実際そうだと思う。
 「この曲はなかなかむつかしいので。というか、大人は経験とか人生観とか、いろんな思いがあるので、それを曲想に応じて表すことが出来るはずだし、必要と思います。ここまで出来ているのは財産だから大切しないと。これは貴方だけのものですから」
 と、持ち上げられたような、励まされたような。そこで、
 「前に演奏をされたのですが、あれは南ドイツふうでしたね。北方のでなくて、開放的な。ああいうのもバッハなんです」
 と、先々週だったかに聴いたセンセーのこの曲の演奏を評して、分かったようなことを言ったりもしてみる。
 大小4つ教室のある新しい音楽教室のピアノなのだが、何故か音が中抜けするというのか、豊かさに欠けるのであるが、壁や床のせいなのか、弾いた感じ、私にはキーのバネのヘタリのせいに思えてならなかった。でも楽器の素人なので、こんな原因があるのかどうかよくわからない。
 二人して、「イマイチ」と酷評している。
 

階段の一歩

  

イメージ 2

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 肖像は20世紀を代表する大ピアニストのスビャストラフ・リヒテルです。凡百以下どころか下の下のこのピアノ愛好家にとってもたいへんなひとです。偉大な芸術家を語るときではないのですが、尊敬するあまり、こじつけたような縁がありましたので、書いてみます。

 その1。昨今の傾向ですが、通いだしているY音楽教室をフランチャイズしていた本屋が閉店して、場所として閉鎖することになり、何台かのピアノもおそらく処分されてきて、狭いある一室に掲げてあった大きなポスターをもらってきました。ヤマハのピアノのコマーシャル用なのですが。使った訳ではないけれども、センセーが階下に行ってはがしてきてくれました。
 貼るスペースに事欠かないけれども、やはり場所を選んでしまいます。

 その2。なんとなんと、9ヵ月間もかけて平均律(Ⅰ)の8番変ホ短調の前奏曲に挑戦してきましたが、ようやく「♭のところを普通に弾いたところもあったけれど、全体に余裕ができてきましたね」とセンセーから、まあイヤにならない為のヨイショでしょうが、いくらかお誉めをもらい、安心しています。
ですが、未だ曲中のアルペジォを上手く弾けないのを含めて踊り場と言えます。以前からリヒテルの弾くこの曲に支えられてきました。

 尊敬すると言いましたが、実のところ、さっき「怒涛のピアニスト」という言い方のあるのを知って、なるほどと思っているところです。幾つかの録音には、速くて大きくて凄まじい演奏があります。高名な批評家の一人は、「リヒテルのある曲の演奏を聴くと、作曲家が作曲家でなくなってしまっているようだ」と、あるところで語っていました。往々にしてこのピアニストにはそういう傾向があるように思います。

自分に対して

 自ら行動してみて、自らにかなりの「落とし前」をつけることができました。

 現在66歳になるフランスのピアニストであるアンヌ・ケフェレックの弾いたニ短調のアダージョを紹介します。
原曲はマルチェッロのオーボエ協奏曲です。これを大バッハがチェンバロ用に編曲したのがBWV974。
 どこかで聞いたというひとがいるかもしれません。かつては映画でも使われていて、最近ではなんと「剣客商売」の藤田まこと版の1挿話に使われていて、ちょっと驚いたものです。
 いろいろと調べてみると、鬼才グレン・グールドも若いころに弾いているのを知ることができました。

 いつかまた練習を、きっと数か月して、しどろもどろに弾けるようになるかもしれません。そうやっていくと、いったいどれだけの時間が必要なのでしょうかねえ。

連弾の予定

 あと2ヵ月もないわけですが、小学2年生の孫とピアノ連弾を演奏することになりました。そもそも昨年の冬に、彼に付き添っていつもの孫のレッスンに出かけたのでしたが、始まる前に時間があって、こともあろうに「私も練習している」と大口をたたいてしまったからであります。
 曲が決定したのは5月初め。「こどものピアノ連弾曲集(1)」―ドレミ楽譜出版社版―より「線路は続くよどこまでも」を、7月4日演奏することになりました。
 さて、この初級者用のもので、私は当然Secondを弾くことになっていますが、いろいろなことがむつかしいのです。
 基本和音の連続が大半ですが、これがまず滞る(とどこおる)。そもそもこれこそが、まず流れを止めてしまう致命的な欠点です。大いに指摘を受けていて、
 「最初はゆっくりした速さでいいから、止まらないようにして弾いて下さい」
 と何度も言われています。
 次に途中の8小節だけ左右の指が別の拍を刻むところがあって、この左右のリズムがまことに何ともならないので、
 「右手のを何かに録音して、それを聞きながら、合わせて左手で弾いて、練習してください」
 とも言われています。
 言い遅れましたが、彼とは一緒に住んでいないので、合わせる練習はまずほとんどが録音を聞きながらのことになるでしょうが、まず足元を何とかせねばと思うばかりでなく、指を動かしてはいます。
 今週中ぐらいに拙いのを録音して送れればいいかな、と思っています。

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