野路の道づれ

冬は暖冬だそうですが、こういう時の西からの雨が雪をもたらすことがよくあります。

健康について

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ノロ・ウィルスの来襲


 潔癖症になればきりがないけれども、心がけ次第である程度にはできる。社会生活を営めばひととの接触はおこるのだし、それがなければ正常な生活とは言えない。接触とは何か。体が触れることのみではなく、ウィルスが飛び交うところに居るかどうかということ。
 それを極度に恐れたのは、20世紀の天才ピアニストのグレン・グールド。奇人だったので書けばきりがない演奏家だが、とにかくウィルス感染を極端に嫌い、全身を衣服で覆って初対面のひとの前に現れるようなひとだった。そのときのことを、壮年のピアニストの女性がかつてあらゆるツテをたどり、トロントに何カ所もあるグールドのマンションの一室に出かけ、何万分の一の偶然、運のいい人とマネージャーに言われながら面会したというエピソードを、先般ラジオで聞く機会があった。部屋の奥から、もちろんにこやかになどではなく、ちらりと姿をみせただけで、
 「貴女は、ご自分の才能を信じて進みなさい。それが最善の成功への道です」
 と、言ったという。
 ところで、ここは鬼才グールドのことではない。正月も終わりの頃、娘夫婦が三人の子供を連れてやってきた。それは、老境に入り始めた私たちにとってとても悦ばしいことであるのだが、まあ運がよくないというのだろうか、二人の孫が嘔吐と下痢を繰り返してノロ・ウィルスの感染中なのだった。
 注意はしていたけれども、彼らが帰ったの2日後、昼食時の食欲がおかしい。体がいくらか熱くなる。
時間が過ぎるにつれ胃がムカムカし、腸の調子がいつもと違ってくる。そうやって、病状態をかかえて
帰宅し、私としたら見えない何物かと一晩中闘ったのだった。
 次の朝は母親のいつもの入院に立ち会わねばならなかった。幸い微熱も引いており、ほぼ絶食したのが功を奏してか、腸の調子も小康状態。で、いきつけの主治医のところへ行くと、
 「あの、今日は休診なんですけど・・・・」
 「え・・・・・・」
 いつもなら(冗談じゃねえよ!今日は平日じゃないか!)とか言うところだが、何せ悲しいかな胆力が出てこない。
 母親の用事を済ませ、嫌いな総合病院へ向かう。
 小柄な髭剃り後がいくらか残る顔の内科医が言った。
 「様子を聞くところから判断すると、典型的なノロ・ウィルス感染の症状ですね。念の為、レントゲンと血液検査をしてみましょう。点滴を受けていってください」
 検査後はこう付け加えられた。
 「明日になれば、正常になるでしょう。できれば食べない方がいいのですが、いけない訳ではありません。水分は充分にとって下さい。人にうつりますから。くれぐれも家族には注意を」
 クルマの運転の足代わりを私が行った訳だが、雑用と付き添いで、家人は一日中「戦争」だった。
もつべきものは**であろう。

えっ、ホールインワン

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 これはPR用の写真から借用しましたが、グランド・ゴルフです。ほぼフラットなグラウンドー野球のマウンドを一部使用する場合もある―に18ホールの、線引きしない直線のコースをつくり、ほとんどマレット・ゴルフのルールによって行うスポーツ。子供からお年寄りまで、男女を問わず楽しむことができます。
 健康寿命延ばし、結果として医療費を低減させるためか、とにかくこの村では様々なスポーツにまつわる地区ごとの大会が盛んです。大半は、正規な団体球技をかなりスロウ・ダウンした、私のようなスポーツ音痴にもでき得る類で、これはその一例であります。
 ここでなんと、生涯あるかないかの、きっと好んでは運動しないのでー散歩以外は―今後ないであろうホール・イン・ワンを、拙いストロークー後で考えてみれば、無心で打ったような気がしますが―出してしまったのです。嗚呼、でも商品はペットボトルのお茶一本、もっともこちらも何の保険にも入っておらず、何のお返しもできないのに。ちなみに言えば、一般ゴルフの場合、金額を忘れましたが、もしホール・イン・ワンをしたとすれば、大判振舞いの奢りをせねばならず、たいへんな出費で、そのためほとんどの場合、保険に入っていると聞いています。
 
 この気分屋は、こんなことで楽しめたのでした。台風一過の比較的涼しい一日。
 

左から右の耳へ

 ネットへの接続が不通になってしまい、スクリーニングの依頼をしていて、およそ1週間の時間が過ぎてしまいました。プロの内容確認によれば、「詐欺ソフト」があったとかで、「警告風の広告」に多くの留意を払わず、つまり安易にクリックをしてしまう為、巣食ってしまい、それによって動きが鈍くなり、接続がし難くなったりするということでした。そんなことはないと思いますが、気をつけてください。

 調子の悪かったのが左耳だったのは、先般書きましたが、しばらくしてよくなったものの、今度は右側がおかしいことに気が付きました。ほおっておくと同じ痛みを伴うことになってしまうと思い、耳鼻科にまたまた出かけていったのです。
 「―右も炎症を起こしてますね。左と同じ綿棒を使ってしまった結果でしょう。病理検査の結果が出てましてね、一般のブドウ球菌のほかにですが、真菌があります。言ってみればミズムシ菌のようなものです。耳の中というのも意外に湿気があったりして、環境状態によって、そういう菌がつくことがあります。これを除去せねばなりません。食事直後に飲んでもらい、1週間後にまた様子を見させて下さい」
 というのが見立てでありました。
 うむむ、やっぱりいけなかったか・・・・・。
 かつてならば、耳に菌が巣食うなど皆無だったが、この年齢では、およそ抗体がなくなっているのだろう、と静かにならざるをえませんでした。
 歳はとりたくないものです。
 以下の薬をもらっています。

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 あまりよくない習慣のせいで、軽度の外耳炎になってしまいました。左耳の痛みが断続的にやってくる、それが止まると、今度は気圧変化でいくらか聞こえにくくなるあの状態に陥ってしまうのです。腫れ物に触るように綿棒をそっともっていくと、確かに元に戻った様子には聞こえるのですが、テープ・ヒスを聞いているような違和感がずっと残ってしまうのでした。
 週末が過ぎて、日中に仕事をしていてもやはり断続的におそってくるので、いよいよ耳鼻科にいくことにしました。
 問診をした医師ー小柄でややぶっきらぼうのところがありますが、子供には違うに違いない―は、幾つかの処置をして、その途中では涙が出るほどの痛みがあって、椅子の肘置を強く握りしめて、歯をくいしばったものです。
 「中が炎症を起こし、膿んでいました。念の為に病理検査に出しますが」
 と言います。
 「これがとれたのですよ」
と、座っていた背後から、比較的年輩のナースさんがいくつかの凝固した断片を示してくれるのでした。
 「痛みはこの点耳液で、聞こえにくいのは膿を取り除いたので、なくなるでしょう。抗生剤の服用と点耳を5日間続けて下さい」
 と、医師は続けました。
 点耳液は、以下のタリビット耳科用液というもの、いくらか手のひらで温めてから入れ、5分間は横になったままにすること。冷たいと、水もそうですが、目まいを起こします。無理に拭き取らずに、横のままで、出てしまうのを拭きとるように」
 という注意。

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 この点耳ということ、とりあえず家人にやってもらっいましたが、ふと考えてみればこの前に読んだ「ハムレット」に彼の父親の亡霊がのっけから出てきて、死因は、何でも耳の穴に毒薬を注ぎ込まれて毒殺されたというのがあります。しかも首謀者が叔父とハムレットの母親の共謀であるというから、たいへんなのです。
 死にいたるか、それとも健常に戻るのか、つまらぬ比較をしてみたのでした。すでに想像されるでしょうが、点耳される格好というものは、全く無防備なのです。



いつまでも健康か

 人口の少ない地方都市では、人々の集まるところで、偶然知人と出くわすことはよくある。今日も家人の脚になって病院の待合室にいると、街で大衆割烹料理屋を営んでいるK氏に出会った。
 実は今年の5月に脳血栓で倒れ、3ヶ月入院要と言われたが、嫌になって2ヶ月で勘弁してもらい、リハビリで左手にいくらか後遺症のあるものの、なんとか現役復帰しているという。
 更に、私には鉄人とさえ思われた、今年88歳になるであろう中学時代の先生。先の戦争の末期には「まれに見る体躯の持ち主」と太鼓判を押され、旧陸軍の砲兵隊―大砲を引っぱるのが主だった由―に入隊が決まっていたという。この世代は結果として敗戦により、戦場行きを免れた場合が多く、彼もまたその部類に入る。
 が、2年前自宅の2階から足を踏み外して体(頭か?)を打ち、歩行や会話、食事や飲酒も健常者だったのが、今や身障者となって、週何日かのデイ・サービスに出かけるような生活という。
 ひるがえって私はどうか。都合3回かの胃潰瘍は、今のところ悪性になる前に何とか黙らせている。軽い降圧剤の世話になって久しい。それ以外は、とうに喫煙者でなくなったし、深酒も極めてまれである。そうやって、無為をかこつストレスは週3から4日の労働で減少させ、「ボケ防止」と友人から揶揄される弾ききれもしない大バッハの前奏曲に、ドンキ・ホーテ以下の脚もて一歩前進二歩後退の姿勢さながらの指さばきで挑戦し、プロフェッショナルの自在闊達、変幻万化の両手両指にクラクラと圧倒されながら、印刷された名だたる人々の書かれた文字たちには、身をゆだね、
 「夢があるうちは若いんだよ」などと思い込み、実のないアジぶった演説にはソッポを向き、ある党への30%の支持率の中味は、もしかしたらシルバー・デモクラシーに直結する悪ではないか?と大いに危惧して、家にあっては’ああ言えばこうゆう子’の云う事を少しは聞きながら、生活しているのである。
 

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