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心臓外科手術の技術論

改めて、明けましておめでとうございます。

老若男女の心臓外科医同志で話していて楽しいのは、難しい症例について意見を交わす一時です。色んなレベルから自慢、批判、経験論、論文などの情報が入り乱れ、思わず勉強になることも多いものです。

今年はブログ上で技術論を交わすことを試みてみます。老若男女、色んなレベルからのご意見をお待ちしております。

冠動脈バイパスの遠位吻合。bilateral IMAを使う症例でRIMAをLADに使うことについてどう思いますか?

僕はよほどのことがない限り、LIMAをLADに使っています。

LIMA-LAD

循環器内科の先生から言われました。
 
冠動脈バイパスのキモはLIMA-LAD(左内胸動脈から左前下行枝へのバイパス)だ!それさえ通っていれば後はPCI(カテーテル治療)でどうにでもなる。
 
一理あると思いました。様々な報告を見ても、LIMA-LADの開存率を上回るコンビネーションはありません。例えば、RIMA-LADはそれに非常に近く、統計学的には有意差なしと言われています。しかし、ほとんど常に1%前後の劣った開存率が報告されているように見受けられます。考えうるRIMAの問題点は、より遠位部を吻合のために使うために内径が小さかったりテンションが掛かったりする可能性があること、距離が長いこと、前縦隔を横切ること、などが挙げられるでしょう。
 
また、一本のIMAから多枝に吻合すること、例えば、LIMAで対角枝をsequentialでつないだ後LADに吻合するなど、も開存率を下げる傾向にあると文献・経験的に考えています。
 
そこで、最近はLIMALADだけに行くこと、を大原則に決めました。RIMAは左側壁にin-situfree graftで使っています。
 
この方針は、当科の外科医の間でも賛否両論です。ぶっといRIMAを性状のいい近位のLADに吻合することには、全く問題がないとは思います。しかし、動脈でのバイパス数を増やすことを思うあまり、ちょっと無理をした吻合をしてしまうことが以前はありました。LIMA-LADを原則としてからはそのようなことはなくなりました。

名人

天野先生が出演した「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見ました。

心臓外科医としての天野先生にとても感動しました。同業者の目で見ると、長年の心臓外科へのコミットメントとそれに裏付けされた自信が溢れていることが見て取れ、プロフェッショナルの名にふさわしいと思いました。再々手術で上行大動脈置換、大動脈弁置換、3枝バイパス手術を取材の対象として許可あるいは提唱できる外科医がどれだけいることでしょうか。

それにしても、月曜日から土曜日まで教授室のソファーに泊まりっぱなしとは。。。。

 早速試してみました。

 症例は3枝バイパスと虚血性僧帽弁逆流でした。大きくて丸っこい心臓の上、心膜炎で全周性に癒着ありの視野展開にちょっと不安がある症例でした。


1.右側の心膜吊り上げの糸を横隔神経の2cmくらい上に掛け、右側の心膜を大胆に吊り上げ、左側はまったく吊り上げない、


これ、とても良かったです。簡便な上、心膜ごと心臓を脱転する感じでした。ルチーンにしました。


2.左の胸膜を大きく開いて心臓を左側に脱転する、


これも良かったです。


3.SVC,IVCを授動しておき、両方の脱血管を左方に引っ張り固定する、

両静脈にテーピングしておきましたが、コスグローブの開創器で視野展開した時点で、SVCとIVCは十分に引っ張り挙げられている状態だったので、更なる牽引はしませんでした。よって、効果は不明です。


4.SVCを離断し、切開線を左房天井に向けLAAの近くまで伸ばす、

幸い必要ありませんでした。

5、弁形成のリング用の糸を先に掛けて、軽くテンションをかける、はいつもやっています。

今回はリングのみでしたが、これも良いと思います。



以上、ご報告です。

ところで、虚血性MRのリングには皆さん何を使われていますか。僕はSaddle ringです。N先生はGeoform ringです。

僧帽弁の視野展開

先日の記事に対し、ドイツでご活躍中のK先生から以下のようなメールを頂きました。ご本人の了承が得られましたので、転載します。




いつも先生のブログを楽しく読ませていただいております。今回、僧帽弁の話題で以下のようなコメントをしようと思ったのですが、文字数が多すぎるとかで送信できませんでした。せっかく書いたのに消すのはもったいないので、先生にメールさせていただきます。

ごくまれにコメントさせていただいている者です。去年の心臓血管外科学会誌に僧帽弁の展開の仕方の論文があり、非常に参考になりました。自分はMICSではなく、バイパス手術とかの同時手術例で胸骨正中切開でM弁をいじるときはそれを応用してやっています。右側左房切開でいき、コスグローブの開胸器をつかうのですが、

1.右側の心膜吊り上げの糸を横隔神経の2cmくらい上に掛け、右側の心膜を大胆に吊り上げ、左側はまったく吊り上げない、

2.左の胸膜を大きく開いて心臓を左側に脱転する、

3.SVC,IVCを授動しておき、両方の脱血管を左方に引っ張り固定する、といったところでだいぶ見えるようになります。それでも厳しい場合は(左房が極端に小さいとか)、

4.SVCを離断し、切開線を左房天井に向けLAAの近くまで伸ばす、でいい感じになります。もっともSVCを切らなくてはいけないのは年に1−2例あるかないかですが。また、SVCを切るか切らないかにかかわらず、

5、弁形成のリング用の糸を先に掛けて、軽くテンションをかける、はいつもやっています。いずれにせよ展開はちゃんと形成するための重要なポイントですので、妥協しないようにしています。大動脈を切ったことは一度もありませんが、SVCを切ってもだめな例があれば今度試してみようと思います。先生には釈迦に説法なのは重々承知の上ですが、この手の類の情報交換は楽しいのでコメントさせていただきました。




K先生、ありがとうございました。早速試してみます。

なお、昨日Dr. David Adamsと一緒に働いている先生と会ったのですが、Dr. Adamsが視野展開で困ることはほとんどないとのことです。。。

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