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一人暮らしのご婦人。しかも要介護4の80歳といっても侮れない。
最近、訪問し始めたばかりの神経症の患者さんは、独居生活が長く、一人でようやくトイレに行けるぐらいで、一人ではとても外出はできない。
調子が悪いと言って仕切りと電話してくる。往診依頼がひっきりなしだ。とにかく往診して欲しいという。
一通りの診察をして、しばらくなだめてから退出する。
するとまたすぐに呼ばれるということを繰り返していた。
今日のことだ。
いつものように腹痛があるから往診して欲しいと連絡が入る。電動ベットに腰掛けて、どうしようもないぐらいおなかが痛いといっているが、悲壮感や苦悶様の表情は全くない。一通りの診察を終えて、いつものように大丈夫だからといって握手して帰ろうとする私を、女性が引き止める。
ベットの柵を外して、自分の隣に座れと私をいざなうのだ。
何のことかわからない私が腰掛けると、おもむろにご婦人は抱きついてきた。
「先生のことが好きだ。」
私の顔がこわばっているのが自分でもわかる。そんな事にはお構いなしで、
「46年ぶりに男に抱いてもらいたい。」といって私にしなだれかかってくる。
「・・・僕も、そんなにいってもらってうれしいけど・・・」
さすがに震えるわけにはいかないが、私はとても怖かった。
「だんなは浮気ものだったけど、私は浮気も何もしなかったから・・・」
何もいまさら浮気しなくとも・・と思いながら
「また来ますから。」とさらに引きつった顔で早々に退散しようとする私の背後から、ドスの効いた声が聞こえる。
あぁ。次の訪問が怖い。
最後のドスの効いた言葉が耳について離れない。
「必ずまた来るのよ!」
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新着ブログからきました。
とても怖い経験でしたね。
何歳になっても男性は男性、女性も女性なんだなぁと思いました。
学生時代に老人の性についてちょっと勉強したことも思い出しました。
2009/5/29(金) 午後 6:38 [ bluebell ]
お疲れ様です。
私も何度か結婚を申し込まれました。60歳くらい離れてるのに....
先日お亡くなりになられ、ホッとしましたが、寂しくもあります....
2009/6/1(月) 午後 11:25 [ Ma Tahnuki ]