一匹狂えば千匹狂うというが
これは何も
馬だけにかぎったことではない。
人間でも、一人がちょっとした心得ちがいをしたならば
それに引きずられてまた多くの人が道を誤る。
ことに、それが利欲にかかわった問題となると
とかく人の判断は狂いやすい。
そして眼前の小利にとらわれる。

眼前の小利にとらわれるな、とは昔からのことわざであるが
小利にとらわれては、結局は損をする。
その損も、単に自分だけで終わるならまだ罪は軽いが
今日の世の中のように、人と人と
仕事と仕事とがたがいに密接につながっているときには
一人の損がみんなの損となり
その心得ちがいは大変な結果を生む。

こんなことは、いまさら事新しくいう必要もないのだが
ときにしばしば問題になる乱売の根源をたずねてみると
やっぱり一部の人のちょっとした
心得ちがいから始まっていることを思えば 
眼前の小利にとらわれるなと
何度も何度もくりかえしていいたくもなってくる。

別にむずかしいことをいうつもりはない。
またいっても詮ないことだと考えてもいない。
こんなことは結局、人の良識に訴えるのが根本で
だから何度も何度もあきずにいいたいのである。