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現状、毎日のライヴ放送予定をチェック出来ないため、当面はネット音源のご紹介にフォーカスします。

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先日のザラフィアンツのショパンに続きまして、今回はリストのピアノ作品集を。私のブログではオーケストラ物のコンテンツが大半を占めているため、ピアノの音楽の聞き方はどうかなぁ?とも思いますが(苦笑)
そうでした、室内楽や声楽作品ももう少し頻繁に取り上げないといかんですね(苦笑)

気を取り直して、今回は本当にたまたまなんですが、石丸電気の店頭で見つけたんですけど、ヴァハン・マルディロシアンという『ロシアンなのにアルメニア人』のピアニストによる演奏です(笑)このピアニストをご存知のあなた、相当なマニアです(笑)

冗談はさておき、このディスク、ワーナーからの発売なんですが、全く話題にならないですね。話題にならないどころか、発売予定とかも私は知りませんでした。おまけにジャケット写真がメチャクチャ怖い(苦笑)レスラーか何かが、『おらおら!俺が出したピアノのCDに文句あんのか?!ん?』的な迫力があるんですよ(笑)

※ジャケット画像はまた後ほどアップします

当然のことながら『ピアニストガイド』なんかにも載っているわけはなく、こいつは真面目に『音楽だけを聞け!』という勝負師なのか?と思わせる気迫を感じましたね。ネットで情報収集に励むも、それらしい情報は殆ど見当たらない…

これでは情報不足なので、これはライナーノーツを片っ端から『訳さないと』いけないな、というわけで(苦笑)苦手な英語に悪戦苦闘した結果を要約すると、こんな感じです。

アルメニアのエレヴァン生まれ。7歳からピアノと作曲を学び、何とその9ヶ月後には初リサイタルを開く。16歳のときに、アルメニア文化センターのユースオーケストラを設立し、音楽監督兼首席指揮者に就任。1993年より、パリ音楽院にてジャック・ルヴィエに師事。その他、ドミトリー・バシキーロフ等の名教師に師事する。その後、世界各国でリサイタルを開く。室内楽ではカピュソン兄弟やハンナ・チャン、イザイ弦楽四重奏団等と共演を重ねる。また、イヴリー・ギトリスやロストロポーヴィチ、作曲家のアンリ・デュティユーとも共演。オーケストラとの共演は、フランス国立管、アンサンブル・オーケストラ・ドゥ・パリ、アルメニア・フィル、ブルターニュ管等多数。イントラーダやトランザールにシューベルトやヘンデル、ブラームス等を録音し、特にシューベルトのアルバムはディアパゾン・ドールを受賞。2005年には、佐渡裕指揮フランス国立管とともにシャンゼリゼ劇場で共演し、マドリードではマズアと共演。2006年にはマズア主催の指揮クラスに招かれる。

※生年不詳。上記内容から察するに、恐らく現在30歳を超えたか超えないか、くらいの年齢と思われます

…書かれているのはザッとこんな感じです。


さて、このマルディロシアン、当盤にて本格的なメジャーデビューとなるわけですが、厳密に言うと今後定期的なリリースが見込める『専属契約』なのかどうか定かではありませんが、そのデビュー盤にピアノ・ソナタをメインに据えたリスト作品集を持ってくるあたり、並々ならぬ相当な意欲を感じますね。しかし、並外れた神童ぶり、そして作曲も指揮もこなす彼のマルチな才能からすれば当然か?考えてみれば、ワーナーのデビューという点では、ルガンスキー以来の新人ピアニストだったような気がしますね。

思えば、最近はユジャ・ワンやアリス・紗良・オットであるとか、少し前にはユンディ・リなんかがデビュー盤あるいはセカンドアルバムにリストをチョイスしていて、今の若手ピアニストのトレンドなのかも知れません。そう言えば、小菅優さんも確かデビュー盤だったように記憶していますが、超絶技巧練習曲を入れてましたよね。まぁ、一般的にリストの作品はテクニックもそうですが、それ以上にパワーや一本気な情熱のようなものを必要とするものが多いですから、ある意味若手の『登竜門』あるいは『踏み絵』みたいな意味合いがあるのでしょう。レーベルとしても、いきなり大作で勝負させて、『白黒ハッキリさせようじゃねぇの!』的な、早々に『あいつは凄い!』という評価を確立させてしまって、一定の『収入源』を確保したい、という思惑があるんでしょうかね。何せこのご時世ですから(苦笑)

脱線ついでですが、最近はユリア・フィッシャーであるとか、マイナーレーベルで活躍した御仁の『満を持した』移籍、が頻繁に起こってますね。どこぞの人気球団じゃないんだから、超即戦力をバンバン中途採用するのはどうかと思うんですけどね(苦笑)

要らぬ詮索はさておき、当盤に収録されているのはピアノ・ソナタ以外に、シューベルトやワーグナーの作品を編曲したものや、3曲の『愛の夢』です。ちょっと一ひねり利いた選曲に、私はまず目を惹かれました。ロ短調ソナタ以外、非常にロマンティックな作品が並んでおり、事実マルディロシアンはライナーノーツの中で、『リストの技巧的な側面にスポットを当てるのではなく、詩人・哲学者的な作品を弾くことを決めた』と語っているように、リストのその静かな詩人のような、ロマンティックな側面に見事な光を当てています。ワーグナー編曲がスッと置かれている、というのが実にオシャレ。

大枠の結論から言いますと、このピアニストは要注目!というか、このアルバムは実に素晴らしい!普段ピアノ作品を頻繁に聞くわけではない私が、繰り返し聞きたくなる深い味わい。ジャケット写真から受けるイメージとは裏腹に、マルディロシアンはたいそう繊細な音楽を奏でます。私はこれほどまでに繊細なリストを、(少なくとも男性ピアニストの中では)ちょっと今までに聞いたことがない。イメージに振り回されていましたが、こういうアプローチがあったのか!と。分かりやすい例えで言うならば、ペライアやピリスなんかが弾いたリストをイメージさせる、という感じでしょうか。非常に落ち着いた、渋めの音色ながら、何か内側から沸々と沸き上がる情熱にも事欠かず、美しいタッチがとても印象的。アルゲリッチやデュシャーブル等の『ド派手な』『華麗な』演奏とは一線を画す。かといって、重厚過ぎるというわけでもない。アラウやフレイレのような渋めのピアノがお好きな方には、かなりアピールするピアニストかと思います。繰り返しになりますが、非常に熟成されたワインを夜中に味わうかのごとく、実に通好みの大人の演奏。オススメです。

冒頭に置かれた歌曲『さすらい人』の編曲版(さすらい人幻想曲ではない)からして、その何とも言えない魅力を湛えたピアノの音色に引き付けられるでしょう。曲調もそうですけど、例えて言うならば『夜の音楽』と呼んでも良いかも知れません。伴奏を奏でる左手は割と抑制されているのですが、ペダルの使い方が巧みなのでしょう、全体が非常にまろやかに溶け合うために、このような印象を与えるのかも知れません。開始50秒過ぎ辺りから、徐々に盛り上がって第一のテーマがスケール大きく提示される部分も懐が深く、それに輪をかけて1分50秒からの静かな第二のテーマがマルディロシアンのピアノの特徴を実に良く表しており、感動的な音楽が展開されていきます。3分19秒辺りから、長調に転じて第二テーマと甲乙つけ難いロマンティックな第三のメロディが出てきますが、この箇所の輝きと煌めき、憧憬に満ちた音色の実に素晴らしいこと!

次にワーグナーの楽劇からの編曲がまず1曲。すなわち、『エルザの大聖堂への行列(ローエングリンより)』ですが、この曲本来の魅力、美しさは去ることながら、マルディロシアンのピアニストとしての真骨頂を聞くかのような名演が展開されています。実に美しい曲と演奏であります。特に低音から高音まで音が幾重にも重なって生み出される和音の美しさには目を見張るばかり。静謐で荘厳な雰囲気が生かし切られていますね。順番が前後しますが、3つの愛の夢を飛ばしてソナタの直前に置かれたタンホイザーからの『夕星の歌』も、冒頭の弱音による導入部分からして絶妙の限り!私は個人的には4分半くらいに現れるアルペッジョの音型が、これまた『弱音的なアプローチ』であって極めて美しいと感じました。ワーグナーに対するリストの編曲も実に的確であり、こういったトランスクリプション物でじっくりと一部の曲に慣れ親しんでから、ワーグナーの楽劇に入っていく、というのも大いに『アリ』な聞き方なんじゃないかな?と思います。巷には意外に色々出ているみたいですから、これからワーグナーを聞いてみようと思われている方々、チャレンジされてみてはいかがでしょう?

さて、3曲の『愛の夢』のうち、我々は第3番のみを突出した高い頻度で耳にしますが(それ以前にフランツ・リストの代表的な有名作品)、有名でない他の2曲も3番に劣ることのない名曲。ショパンを聞くかのようなロマンティズム、それでいて清流がサラサラと流れていくかのような、清潔感と気品に満ちた曲調。いや、小品だからとて侮れません。不覚にも、私はこの3曲の魅力の半分も知らなかった。マルディロシアンのロマンティックな、デリケートな弱音的なアプローチの演奏により、改めて気づかされた次第です。この3曲を聞いて美しさが感じ取れない人は、恐らくロマン派の音楽とは縁のない方でしょう(笑)

肝心のロ短調ソナタですが、私は今まで第一部の主題提示の部分と、その主題が静と動の間でどのように出現し、それがどのように有機的な結合を見せているか?という部分に執着して聞いてきましたが、このマルディロシアンの演奏を聞いて彼が意図するリストの『非ヴィルトゥオーゾ』的な部分が際立って美しくロマンティックであることに、今さらながら気づかされました。従って、第二部の『アンダンテ・ソステヌート』の部分が実に感動的。1分10秒から奏でられるテーマの変奏メロディが、何とデリケートなタッチで弾かれていることでしょう?3分42秒からのクリスタルなハーモニーも絶美!あるいは、結尾部分に当たる最後の消え入るように終わるピアニッシモの美しさ、沈み込むような低音の重さ。この辺りにマルディロシアンのリストの特徴が全てが集約されていますが、もちろん冒頭主題の力強さや変幻自在の変化にも文句のつけようがありません。第三部のフーガや、結尾部に入る直前の壮麗なクライマックスも圧倒的な力強さとスピード感、推進力によって駆け抜けています。名演。

プログラムの最後に置かれたシューベルトの『セレナード』も言わずもがなの美しさ。もはや言葉など要らないでしょう。アンコールピースの枠を遥かにはみ出した名演。

こうやって見てみると、実に巧みにプログラムが構成されており、マルディロシアンの音楽センスの良さがずば抜けていることが分かりますが、これから指揮者としての活動にも注目したいところです。

文句なく、『殿堂入り』して頂きましょう(笑)ブラーヴォ!

※仏ワーナーのようなので、もしかしたら入手が難しいかも知れませんが、ご興味のある方は『マルディロシアン』あるいは『Mardirossian』でググって下さい

【詳細タイミング】
シューベルト(リスト編):さすらい人:6分29秒
ワーグナー(リスト編):楽劇『ローエングリーン』より『エルザの大聖堂への行列』:8分58秒
リスト:3つのノットゥルノ『愛の夢』
 第1番:8分8秒
 第2番:4分24秒
 第3番:5分5秒
ワーグナー(リスト編):歌劇『タンホイザー』より『夕星の歌』:6分51秒
リスト:ピアノ・ソナタロ短調
 第一部:12分27秒
 第二部:7分33秒
 第三部:10分45秒
 合計:約31分
シューベルト(リスト編):セレナード:6分1秒

【オススメ度】
解釈:★★★★★
演奏テクニック:★★★★★
録音:★★★★★
総合:★★★★★

ヴァハン・マルディロシアン(ピアノ)
2007年3月14日〜17日リムジン(フランス)、フィルファーヴァール農場

「殿堂入り!の名盤」書庫の記事一覧

  • ジャケットがインパクトありますね、と言うか怖っ(汗)
    イケメン買いしてしまう私ですから、このCDは店頭に並んでいても見逃してしまいそうです。
    マルディロシアンの名は初めて聞きました。サヴァリッシュさんはニューフェイスをよくご存知ですよね〜。
    ★印がパーフェクトなので「買い」でしょうね。

    Hiroko♯

    2009/5/30(土) 午後 1:06

  • 顔アイコン

    Hirokoさん>
    この大変マニアックなディスクへのコメント、ありがとうございました(笑)絶対誰もコメントつけないだろうな〜と思っていたので、物凄く驚いた次第です(笑)
    やはり、Hirokoさんは『イケメン買い』ですよね(笑)何と言っても、ジョシュア・ベルがお好きですからねぇ^^

    [ サヴァリッシュ ]

    2009/5/31(日) 午後 4:03

  • Hirokoさん同様にこのジャケットが購入を妨げるような・・・。
    絶対に手に取らないような気がします(笑)

    ロ短調ソナタはシューベルトに捧げたもの。
    ここにヴァーグナーのモノと一緒に編集するのはちょっと興味深いですね♪
    シューベルトのさすらい人と愛の夢のペアリングも面白い!!
    おっしゃるとおりの「詩」ですね♪
    プログラムの組み方に工夫が見られますね。


    サヴァリッシュさんの評価に加えるなら
    CDジャケット:★☆☆☆☆
    でしょうか?(笑)

    [ テレーゼ ]

    2010/2/27(土) 午後 9:33

  • テレーゼさん>
    マルディロシアンの『恐怖の世界』へようこそ(笑)私が謝るのもおかしいですが、強烈なジャケットで申し訳ありませんf^_^;

    それから、コメントへのお返事がなかなか捗らなくて申し訳ありませんでした。

    おっしゃる通り、私の評価指標にジャケットという項目があれば、文句なく一つ星、いや、場合によってはゼロ星にさせて頂くかも知れませんよ(笑)

    というのは冗談なんですが、洒落た選曲といい、ジャケットに似合わず美しい弱音といい、このピアニストはただ者ではありませんよ。是非実演を見てみたい一人ですね。

    [ サヴァリッシュ ]

    2010/3/2(火) 午前 10:33

  • あ・・私、ロ短調ソナタをシューベルトに・・・って、シューマンです。失礼しましたっ!!
    シューベルトに捧げたものとヴァーグナーじゃ何の問題もないですね(笑)

    この人、hmvかamazonの「お気に入り」に入れておくことにしますね♪

    [ テレーゼ ]

    2010/3/2(火) 午前 10:54

  • テレーゼさん>
    訂正ありがとうございました。とは言いながら、私はあまりその辺の事情は気に留めてないので、どうか気になさらずに(^O^)美しいものは美しい、良いもの(作品にしろ演奏にしろ)は良い、ただその事実があるだけですからf^_^;

    是非このマルディロシアン、お気に入りに入れて頂けると幸いです。当分、このジャケに悩まされるかも知れませんが(笑)

    [ サヴァリッシュ ]

    2010/3/2(火) 午後 1:19

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