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現状、毎日のライヴ放送予定をチェック出来ないため、当面はネット音源のご紹介にフォーカスします。

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ジェイムズ・レヴァイン。皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?コンサート指揮者というよりも、彼は『メトロポリタンの帝王』と呼ばれるくらいの生粋のオペラ指揮者ですから、もしかしたら私よりも若い世代の方々にはあまり馴染みがないかも知れませんが…良く、他の方々のレヴァインに対するイメージなんかをネットで見たりしますが、『元気がいい』『うるさい』『何も考えていない』というようなキーワードに集約されるようです。今回は、既にレコードの業界からは忘れられつつある、そのレヴァインという指揮者の名演奏について触れたいと思います。

レヴァインは1943年、オハイオ州シンシナティ生まれ。73年からメトロポリタン歌劇場の首席指揮者、75年からは音楽監督、86年からは同歌劇場史上初の芸術監督に就任。現在に至るまで異例の長期政権を維持しており、同歌劇場を低迷の危機から救い出した功績は、やはり偉大であると言わねばならないでしょう。99年には自身初となるコンサートオーケストラの音楽監督に就任(ミュンヘン・フィル)。2004年には母国の名門ボストン響音楽監督に小澤さんの後任として後を引き継ぎました。ただし、チェリビダッケの『幻影』が残るミュンヘン・フィルとは良好な関係を構築するに至らず、極めて短期間で(確か3年だったか4年だったと思いますが…)去ることになってしまいました。一説に寄れば地元の評論家やファンから不評を買ってしまっただからとか。

レパートリーはモーツアルトからシェーンベルクに至るまで大変幅広く、ドイツ・グラモフォンと契約していた時代には実に様々なディスクをリリースしました。特に、ベーム以来であろうと思われる、ウィーン・フィルを起用したモーツアルトの交響曲全集、メトロポリタン歌劇場とのオペラシリーズ(モーツアルトのダ・ポンテ三部作、ワーグナーの『指環』等)、シカゴ響の魅力を最大限に引き出したホルストの『惑星』、オルフの『カルミナ・ブラーナ』、バルトークの『管弦楽のための協奏曲』(『惑星』と『管弦楽のための協奏曲』はベストを争う大変素晴らしい名演と思いますので、後日またご紹介させて頂きましょう)、ベルリン・フィルとのシューマンの交響曲全集等が名盤として知られる存在でしょう。あるいは、RCA時代に入れた録音を高く評価する方々も多くいらっしゃるでしょう。

私がレヴァインと出会ったのは、上記ウィーン・フィルとのモーツアルトの交響曲でした。ホントに一番最初にリリースされた、あれは確か25番他の交響曲が収められたものと記憶していますが、いわゆる『疾走する悲しみ』を勢い豊かに、爽やかに表現していた名演でした。今でこそ皆さんが騒ぎ立てることもなくなったいわゆる『両翼配置』も、私はこのレヴァインのモーツアルトで初めて体験したと思います。この頃は本当にレヴァインも脂が乗り切っていて、ドイツ・グラモフォンの看板指揮者として大活躍していた時期に当たります。今回ご紹介するのはプロコフィエフの交響曲第5番ですが、初めて接したのはデュトワ&モントリオール響の録音でした。以降、なかなかこれといった決定打に欠けるのが私の偽らざる気持ちですけれども(デュトワ盤とテンシュテットのライヴ盤が今のところベストかも知れません)、曲とレヴァインの志向が一致しているわけではないのですが、一つの方向性を極めた演奏(モダンでスッキリと見通しが良く、輝かしく颯爽とした演奏という意味で)としてご紹介させて頂きたいと思います。オーケストラがシカゴ響というのも大きなアドバンテージですね。

※セル、ミトロプーロス、カラヤン、ロストロポーヴィチ等の名盤をまだ聞いたことがないので、現時点での印象であることをご容赦下さい

このプロコフィエフの交響曲第5番という作品、奇しくも作品番号に100というキリの良い番号が与えられており、プロコフィエフにとっても記念碑的な意欲を持って作曲に臨んだであろうことは想像に難くありません。細かいフレーズによるソリスティックな場面にも事欠かず、スケールの大きさも含めて、やはり20世紀を代表する交響曲であると言えるでしょう。余談ですが、作曲の背景には『第二次世界大戦』というキーワードが隠れていて、独ソ不可侵条約を一方的に破棄してモスクワに侵攻したヒトラー率いるドイツ軍の存在があり、それがプロコフィエフの『祖国愛』に火をつけて生まれた作品であったと言われているようです。

第1楽章はアンダンテ。冒頭でフルートによる軽妙ながらも不安感を孕んだ主題が低弦の伴奏とともに提示され、金管のサインを伴いながらクラリネットやオーボエに受け継がれ、第一ヴァイオリンによってしっとりと歌われていきますけれども、レヴァインはやや速めのテンポを設定しているような気がしますが、プロコフィエフにも見られるソビエトの作曲家独特の『風刺的な』フレーズの扱いはやや影を潜めていて、純粋に音符を音にアウトプットしていくようなイメージであり、なるほどこれがレヴァインの『都会的な響き』と言われる所以なのだな、と妙に納得させられますね。この楽章の混沌とした雰囲気もかなり交通整理されていて、プロコフィエフがお嫌いな方でも抵抗なく聞けるでしょう。2分24秒辺りから弦楽器による特徴的な上昇音型の伴奏を伴い、再びフルートによる新しい主題が提示され、弦楽器に主導権を渡しつつ徐々に音量を増し、3分15秒で金管がフォルティッシモでその主題を奏する部分はシカゴ響のブラスセクションの底力が全開となり、やはり大変な迫力があります。また、3分42秒からはヴァイオリンがこの楽章全体を支配する極めて特徴的なフレーズを奏しますが、合いの手を入れる金管楽器の不気味な響きと相俟って特筆すべき聞き所です。4分9秒からは再び冒頭主題が回帰しますが、今度は弦楽器が主体。静謐なピッツィカートが絡みながら不思議な雰囲気を醸し出していきますが、やはりレヴァインは一切の曖昧さを排除し、特に5分25秒以降で金管の重々しく厚みある響きを伴ったトゥッティの部分や、10分17秒から大太鼓やシンバル等を伴ってベッタリと分厚く主題が歌われる辺りは彼らの真骨頂。ラストも骨の髄まで響いてくるような輝かしい和音で締め括られ、これだけ鳴らしてくれる演奏であればいかにロシア的でなくとも文句はありますまい。

第2楽章はアレグロ・マルカート。この作品の中でも最も『プロコフィエフらしい』音楽と言えるかも知れませんね。『アレグロ・マルカート』という速度指定はあるものの、緩急は自在に変化し、次から次へと新しいフレーズが出てきて我々の耳を楽しませてくれます。この面白さにハマるとプロコフィエフ中毒になったも同然(笑)冒頭、弦楽器の鋭い刻みの上を道化師のように動き回る印象的なクラリネットのソロ。これがまた恐ろしく上手い!続けてピアノや金管楽器を伴いながら高揚し、トゥッティになってからも止むことのない上下動を繰り返します。ミュートをつけたヴァイオリンや輝かしいトランペット、小気味よいアクセントを与えるシンバルやティンパニ等の打楽器群。細かい音符を目まぐるしく繰り返す弦楽器群。まさに息をつく暇がないくらい、目まぐるしく曲想が変化していきます。2分47秒からはテンポをグッと落とした第二主題が、また同じくクラリネットにより提示されます。この主題も実にクッキリと描かれていて、とても印象的ですね。3分11秒からはまたもやガラッと曲想が変わって、『3拍子のマーチ』のようなとても風変わりな音楽になります。こういうところのキビキビとした『イケイケ』『ノリノリ』の爽快なリズム感は、やはりこの演奏の右に出るものはないでしょう。5分28秒からはまたグッとテンポが緩められ、さらに輪をかけて印象的な主題がトランペットの乾いた音色によって、鋭いヴァイオリンのピッツィカートとともに提示されますが、一気にテンポを速めて強奏される辺りは、やはり舌を巻くほどに上手くて迫力があります。

第3楽章は一転して、弦楽器を主体とする、アダージョによるプロコフィエフ流の瞑想の音楽。いわゆる『エレジー(悲歌)』と言っても良いでしょう。単にメロディが綺麗なことよりも、耳のところで音を感じ取るというよりは、体の中にダイレクトに染み渡るような美しさを湛えていると言うべきでしょうか。レヴァインの演奏は割と速めのテンポに導かれていますが、こういうところがレヴァインの評価を難しくしているのかも知れません。もう少し先を急がずにじっくりと歌って欲しいな、という…それでも絡み付き、粘るような弦楽器の鳴らし方はかなり良い線行っているような気がします。例えば3分過ぎ、静寂が訪れてオーボエの悲しげなフレーズをサインに、ピアノの伴奏をバックに歌い出される低弦のメロディ。低弦の特性を生かし切り、物凄く粘っこく歌われてます。また4分17秒からのオーボエのフレーズと、不気味なトランペットのフレーズとの対話におけるヴァイオリンのピッツィカート。あるいは、6分9秒から始まるヴィオラのフレーズ等に、レヴァインの卓越した『オペラティックな視点』を聞くことが出来るでしょう。6分52秒からの金管楽器の凄絶な咆哮にも大変な迫力があり、さすがにシカゴ響のブラスセクションの底力に耳を奪われます。その後の静かな場面での、シカゴ響の良い意味でのヒンヤリとした手触りとでも言うのか、メカニックなまでに精緻な響きは実に魅力的であり、室内楽のような味わい深さ。この演奏の隠れた聞き所と言えるでしょう。

そして、この演奏のクライマックスはやはり第4楽章にあるでしょうね。手放しで絶賛したいのがコーダに入ってから急に音量が落とされて室内楽のようになる部分から、突然炸裂するラストの大轟音!耳をつんざくような、また、全てのものをまるで『なかったかのように』リセットしてしまうようなその圧倒的な迫力の音量は、まさに『デジタル録音』+『シカゴ響』+『レヴァインの明快な棒』が三位一体となり、そのいずれが欠けても為し得なかったと思えるくらいに強烈な印象を残します。あと、この演奏はかなりテンポが速く、恐らくオーケストラのメンバーはテクニック限界まで挑戦しているかのようです。冒頭序奏でしっとりと歌われる弦楽器の表情が、ヴィオラのフレーズをサインに主部に雪崩れ込む部分の爽快感!そして、主題を吹くクラリネットのべらぼうな上手さ!このかなり速いテンポで吹き切ってしまうのですから、間違いなくシカゴ響はブラスセクションだけでなく、総合的に見てベスト3に食い込む素晴らしいオーケストラであることを、今更ながらに思い知らされます。あと、見逃してならないのはレヴァインの鋭敏なリズム感と、こういったトリッキーな曲に対応する類い稀な『ノリの良さ』 のようなものですね。それが高次元に実を結んだのが、やはりコーダ直前(7分30秒辺りから)、テンポを徐々に速めながら一気呵成に盛り上がる部分でしょう。ウッドブロックの扱い方や金管の鳴らし方には、この人独特な感覚が見て取れます。

皆さん、レヴァインの演奏は掛値なしに楽しいですよ。このプロコフィエフも、『惑星』や『オケコン』と並んで彼の代表的な名盤です。

【詳細タイミング】
プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調作品25『古典交響曲』
第一楽章:3分48秒
第二楽章:4分24秒
第三楽章:1分31秒
第四楽章:4分12秒
合計:約14分
プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調作品100
第一楽章:12分33秒
第二楽章:8分22秒
第三楽章:12分16秒
第四楽章:9分18秒
合計:約42分
【オススメ度】
解釈:★★★★☆
オーケストラの技量:★★★★★
アンサンブル:★★★★★
ライヴ度:★★★★☆
総合:★★★★☆

ジェームズ・レヴァイン指揮シカゴ交響楽団
1992年6〜7月シカゴ、メディナ・テンプル

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