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久々にドヴォルザークを取り上げようと思いますが、今回は交響曲第5番をズデニェク・コシュラー指揮、チェコ・ナショナル交響楽団による演奏でご紹介致します。
ドヴォルザークは9つの交響曲作品を残していますが、8番、9番が断トツ人気、演奏会でも数多く取り上げられるのに対して、『最もドヴォルザークらしい』と言われる7番を除く他の5曲は、全集でもない限りは滅多に録音されることもなく、ステージにかけられることも稀なのが現状。よほどのドヴォルザーク・マニアの方でもない限り、各々がどんな曲だったか思い浮かべることの出来る人は極めて少ないでしょう。私も思い浮かべられません(苦笑)ときに『牧歌的』とも称されるこの5番は、恐らくそのへ長調という調性から勢い『田園』との類似点の1つとしてそう言われるんだと思いますが、ドヴォルザークの交響曲作品の中でもターニングポイントとも言えるもので、第1楽章や第2楽章等のような単にのどかで柔らかい雰囲気を持つ牧歌的な側面だけでなく、リズミカルな舞曲が堪能出来る第3楽章や、終楽章等は7番の終楽章を思わせる重厚で勇壮な音楽になっており(ラストの盛り上がり方も実に素晴らしい!)、非常に充実した内容であると言えるでしょう。全体的に非常にコンパクトに纏まっている印象で、約40分かけて演奏される時間もあっという間に過ぎてしまう感じですね。ドヴォルザークの音楽に独自性をもたらしている民族舞曲や民謡調の楽想、『土臭い』リズム感等がかなり濃く出ていて、後期の3大交響曲同様、もっとステージにかけられてもおかしくない名曲の1つであると認識しています。 さて、ズデニェク・コシュラーですが、全く商売っ気がなかったせいかどうか分かりませんが、我々が正当に彼を評価しようにも評価のしようがないというくらい、実に寂しいディスコグラフィ(苦笑)ただし、ナクソスやスプラフォンにはいくつかの録音があり、もしかしたらそちらの方面で親しまれてきた方もいらっしゃるかも知れませんね(私は未聴ですが…)。私も今後きちんとこうしたアイテムを集めて聞いてみないといけないな、と思っています。個人的には名手フッフロをソリストに迎えたマルティヌーのチェロ協奏曲が聞きたかったんですが、どこかの店頭で見かけて持ち合わせがなく、購入を見送ったらあっという間に市場から消えてしまって悔しい思いをしたことも(苦笑)余談ついでで恐縮ですが、私がクラシック音楽に親しみ始めた約25年前だったと思いますが、当時音楽を聞く主流媒体の1つとして『カセットテープ』がありましたけど、私もご多分に漏れず市販の『名曲集』の類のカセットテープには大変お世話になりました。その中の1つ、確かモーツアルトの名曲集だったと思いますがコシュラーの名前があって、『ズデニェクなんて変わった名前だなぁ』なんて思ったものです(笑)話を元に戻しますと、東京都交響楽団には度々客演したこともありますので、恐らく録音よりもそういった実演でお馴染みの方が多いかも知れませんね。都響とは『我が祖国』の大変な名演奏が残されており(フォンテック)、多分まだ入手可能だったように思います。今回ご紹介するドヴォルザークは晩年にビクターに入れた2枚組のアルバムに含まれているもので(元々は単売?)、他に7〜9番の名演が収められています。 ここで、ズデニェク・コシュラーの簡単なプロフィールを。1928年プラハに生まれ、95年に67歳で同じくプラハに没したこの名匠は、生きていれば82歳でサヴァリッシュ先生やマズア先生、プレートル等よりも若かったですから、恐らく現在のチェコ音楽界を背負って巨匠扱いされていたであろうことは容易に想像出来、早逝が残念でなりません。プラハ音楽院で作曲、ピアノ、指揮を学び、48年にはプラハ国民劇場の練習指揮者となります。51年の音楽院卒業と同時に『セビリアの理髪師』を指揮して、正式にこの劇場の指揮者に就任したそうです。同年にはプラハ交響楽団にコンサート指揮者としてもデビュー。56年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、一躍注目を浴びる存在に。58年にはオロモウツ歌劇場の音楽監督に就任し、62〜66年まではヤナーチェク歌劇場の指揮者も務めているようです。そして、63年に行われたミトロプーロス国際指揮者コンクールでの優勝。その後、プラハ交響楽団の首席指揮者(66〜67年)、ベルリン・コーミッシェ・オーパーの首席指揮者兼音楽監督(66〜68年)、スロヴァキア国立歌劇場の音楽監督(71〜76年?)、76年からはチェコ・フィルの常任指揮者に就任しました。上述の通り、日本との関係も少なからずあり、78年からは都響の首席客演指揮者となって83年以降はほぼ毎年客演していたとのこと。最晩年は80年以降、プラハ国民劇場の音楽監督に就任しています。もちろん、ウィーン・フィルやウィーン国立歌劇場への客演も果たしており、華々しい派手なポストこそなかったものの、オペラハウスを中心に非常に充実したキャリアを過ごされたと言えましょう。 第1楽章第2楽章第3楽章第4楽章総括知名度はマズマズですが、それに比して決して正当な評価を得ているとは言い難い名匠コシュラー。こういった渋いながらも実に味わい深いマエストロの演奏も、我々は後世に伝えていくべきでしょう。ビクターというメーカーの特質上、今後も頻繁に再発売されるとは思えませんが、ご興味をお持ちの方は是非、中古市場を当たってみて下さい。
詳細タイミングドヴォルザーク:交響曲第5番ヘ長調作品76
第一楽章:9分55秒 第二楽章:7分48秒 第三楽章:7分37秒 第四楽章:11分20秒(うち約15秒終演後の拍手) 合計:約36分 オススメ度解釈:★★★★★
オーケストラの技量:★★★★☆ アンサンブル:★★★★☆ ライヴ度:★★★★☆ 総合:★★★★★ 録音データ
ズデニェク・コシュラー指揮チェコ・ナショナル交響楽団1994年4月9日プラハ、ルドルフィヌム・ドヴオルザークホール(ライヴ)
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