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今回は久し振りにオーケストラレビューです。とは言いましてもキリがないので、今シーズンは今回で一応の区切りとしたいと思います。最後に取り上げるのはシドニー響と並ぶオセアニアの雄、メルボルン交響楽団(Melbourne Symphony Orchestra)でございます。メルボルン響はなかなか来日公演も多くはありませんけれども、現在音楽監督あるいは首席指揮者に準ずるポストに人を置いていないようで、尾高忠明さんが最もそれに近い首席客演指揮者のポストにありますので、我々にとっても注目すべきオーケストラの一つでありましょう。なお、メルボルン響の演奏会は各地で頻繁に行われているようですが、その全てをご紹介するのは無理なので、メルボルン・タウンホール及びメルボルン・リサイタルセンターでの演奏会のみ取り上げることをご承知おき下さい。
それでは早速、指揮者の登場予定を確認しましょう。 尾高忠明さん(5回) ラインナップをご覧頂きますとお分かりのように、ラバディ、ボイド、グッドマン、鈴木雅明さん、ゲーベルといった辺りでいわゆる『古楽系』指揮者が多く登場するのが大きな特徴と言えましょう。 1.首席客演指揮者:尾高忠明さんの演奏会2011年2月9日(超注目!★★★★★) ピアノ:クレメンス・レスケ モーツアルト:ピアノ協奏曲第21番 マーラー:交響曲第5番 2011年2月12日 (超注目!★★★★★) ヴァイオリン:角田美樹さん バーンスタイン:『キャンディード』序曲 バーバー:弦楽のためのアダージョ バーバー:ヴァイオリン協奏曲 ベートーヴェン:交響曲第5番 2011年2月16日 (超注目!★★★★★) ピアノ:アンドレア・ラム モーツアルト:交響曲第41番『ジュピター』 ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』 2011年11月18日〜19日 (注目!★★★★) チェロ:アリサ・ワイラーシュタイン バリー:ザ・ガーデナー・オブ・タイム チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 エルガー:交響曲第1番 2011年11月26日、28日 (超注目!★★★★★) ヴィオラ:ローレンス・パワー フォーレ:劇音楽『ペレアスとメリザンド』組曲 武満徹:ア・ストリング・アラウンド・オータム ブラームス:交響曲第1番 尾高先生の演奏会は5回。いずれも興味深いプログラムが並びましたね。既に終わってしまいましたが、ベートーヴェンとマーラーの両交響曲第5番は、もはや巨匠の域に達した先生の素晴らしい至芸が見事に表れていたことでしょう。また、マーラー5番にモーツアルトのピアノ協奏曲第21番を組み合わせるという、大変粋な計らい。そして、シーズン終盤には得意のエルガー1番、ブラームス1番という大名作が控えています。女流注目株である角田美樹さん、ワイラーシュタインとの共演にも注目です。特にワイラーシュタインは今やガベッタ以上に引っ張り凧の、チェロ界を背負って立つ逸材です。そして、個人的に最も注目しているのが『ジュピター』。今、私が最もモーツアルトのシンフォニーを聞いてみたい指揮者の一人が尾高先生です。これは聞いてみたかった…優しく気品溢れる音に満たされたでありましょう。 2.その他の演奏会2011年2月19日 ソプラノ:ジョルダン・ジャンセン 指揮:ベンジャミン・ノーシー ウエストレイク:ミサ・ソリ(エリのためのレクイエム) グレインジャー:ブライズ・ベル グレインジャー:緑の茂み
グレインジャー:カントリー・ガーデン
グレインジャー:デリー地方のアイルランド民謡
グレインジャー:スティーヴン・フォスターへのトリビュート
2011年3月4日 (注目★) ヴァイオリン:ゾフィー・ロウェル 指揮:アントニー・ウォーカー ベルリオーズ:序曲『海賊』 ショーソン:詩曲 サン・サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』 サン・サーンス:交響曲第3番『オルガンつき』 2011年3月19日、21日 (超注目!★★★★★) ヴァイオリン:諏訪内晶子さん 指揮:マーク・ウィッグルスワース ワーグナー:神聖舞台祝典劇『パルジファル』第1幕への前奏曲 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ラフマニノフ:交響曲第3番 2011年3月24日〜26日 (超注目!★★★★★) 指揮:マーク・ウィッグルスワース マーラー:交響曲第7番 2011年4月14日、16日 (注目!★★★★) ピアノ:ジョイス・ヤン 指揮:エド・デ・ワールト アダムズ:室内交響曲 モーツアルト:ピアノ協奏曲第24番 シューベルト:交響曲第5番 2011年5月19日、21日 (超注目!★★★★★) ピアノ・指揮:オッリ・ムストネン ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ムストネン:3つのミステリー ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(ピアノ版) 2011年6月2日、4日 (注目!★★★★) ソプラノ:リディア・トイシャー 指揮:ベルナルド・ラバディ J.S.バッハ:カンタータ第42番『されど同じ安息日の夕べに』よりシンフォニア J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番 J.S.バッハ:カンタータ第51番『全地よ、神に向かいて歓呼せよ』 J.S.バッハ:アリア(詳細未定?) J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番 2011年6月9日〜11日 (超注目!★★★★★) ソプラノ:リディア・トイシャー テノール:ティルマン・リティジ バス:ティム・マーフィン 合唱:メルボルン交響楽団合唱団 指揮:ベルナルド・ラバディ ハイドン:オラトリオ『天地創造』 2011年6月25日、27日 (注目!★★★★) ピアノ:サイモン・トルプチェスキ ソプラノ:ヒエソン・クオン テノール:ポール・マクマホン バリトン:ホセ・カルボ 合唱:メルボルン交響楽団合唱団、オーストラリア国立少年合唱団、コンコルディス室内合唱団 指揮:ヤクブ・ハルーシャ ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 オルフ:カルミナ・ブラーナ 2011年6月30日〜7月2日 (注目!★★★★) ヴァイオリン:セルゲイ・ハチャトゥリャン 指揮:ルドヴィク・モーロー シベリウス:交響詩『吟遊詩人』 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 チャイコフスキー:交響曲第4番 2011年7月14日〜16日 (注目!★★★) フルート:エマニュエル・パユ 指揮:エドアルド・ガードナー バルトーク:4つの小品 モーツアルト:フルート協奏曲第2番 バルトーク:管弦楽のための協奏曲 2011年8月9日 (超注目!★★★★★) 指揮:ダグラス・ボイド ベートーヴェン:交響曲第1番 ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』 2011年8月11日 (超注目!★★★★★) 指揮:ダグラス・ボイド ベートーヴェン:交響曲第2番 ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』 2011年8月17日 (超注目!★★★★★) 指揮:ダグラス・ボイド ベートーヴェン:交響曲第8番 ベートーヴェン:交響曲第7番 2011年8月21日〜22日 (超注目!★★★★★) ソプラノ:アニタ・ワトソン メゾソプラノ:サリー・アン・ラッセル テノール:スティーヴ・タヴィスリム バリトン:ピーター・ローズ 合唱:メルボルン交響楽団合唱団 指揮:ダグラス・ボイド ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱つき』 2011年9月1日〜3日 (超注目!★★★★★) ピアノ:ニコライ・デミジェンコ 指揮:サー・アンドルー・デイヴィス ドヴォルザーク:交響曲第8番 リスト:死の舞踏 ヤナーチェク:タラス・ブーリバ 2011年9月8日、10日 (注目★★) ヴァイオリン:ウィルマ・スミス 指揮:サー・アンドルー・デイヴィス ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲 ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり ウォルトン:ファサード 2011年9月23日 (超注目!★★★★★) ピアノ:アンジェラ・ヒューイット 指揮:ロイ・グッドマン ベートーヴェン:『エグモント』序曲 モーツアルト:ピアノ協奏曲第22番 J.C.バッハ:セレナータ『エンディミオーネ』序曲 ハイドン:交響曲第99番 2011年9月29日〜30日 (注目!★★★) チェロ:ソル・ガベッタ 指揮:マリオ・ヴェンツァーゴ ユー・ジュリアン:シンフォニア・シャコンニッシマ エルガー:チェロ協奏曲 メンデルスゾーン:交響曲第4番『イタリア』 2011年10月29日、31日 (超注目!★★★★★) ソプラノ:キャロライン・サンプソン、ミリアム・アラン テノール:ポール・マクマホン バス:クリスティアン・インムラー 合唱:メルボルン交響楽団合唱団 指揮:鈴木雅明さん モーツアルト:交響曲第36番『リンツ』 モーツアルト:ミサ曲ハ短調『大ミサ』 2011年11月10日〜12日 (注目!★★★★) ピアノ:セドリック・ティベルギアン 指揮:ヨーン・ストルゴー パヌフニク:弦楽のための風景 ショパン:ピアノ協奏曲第2番 シベリウス:交響曲第6番 2011年12月8日〜10日 (注目!★★★) ヴァイオリン:フランク・ペーター・ツィンマーマン 指揮:ジョナサン・ノット ブレット:ザ・ロスト・アート・オブ・レター・ライティング ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 2011年12月16日〜17日 (超注目!★★★★★) ソプラノ:ミリアム・アラン メゾソプラノ:サリー・アン・ラッセル テノール:アングス・ウッド バリトン:テディ・タフ・ローズ 合唱:メルボルン交響楽団合唱団 指揮:ラインハルト・ゲーベル ヘンデル(モーツアルト編):オラトリオ『メサイア』 その他では、ウィッグルスワース、ラバディ、ボイド、アンドルー・デイヴィスという4名が複数回指揮台に登場。特にボイドが指揮する『ベートーヴェン・ツィクルス』は今シーズン最大のハイライトの一つになりそう。どういうわけか、4番と6番が演奏されないようですが…ボイドはヨーロッパ室内管の首席オーボイストを長年務め、近年では指揮活動に比重を置いているようですが、寡聞にして存じ上げなかったのですが、手兵のマンチェスター・カメラータとのベートーヴェンの交響曲シリーズが進行中のようですね。ということで、ベートーヴェンには目がない私はこれが最大の注目株。ウィッグルスワースはBISへの録音で近年評価の高い注目の指揮者ですが、諏訪内さんとのチャイコフスキーのコンチェルトとラフマニノフ、マーラーの7番といずれのプログラムも大変興味深いもの。さぞ素晴らしい名演だったのではないかと推察します。最近は目立ったCDリリースがないので地味ですが、ラバディの演奏にも耳を傾けたいもの。ハイドンの大作『天地創造』とバッハのプログラム。いずれも隠れた名演に期待大です。その他では、まずはモーツアルトの名作2篇を取り上げる鈴木雅明さんの指揮に注目でしょうか。RCA全盛期のオリジナル楽器演奏部門をを支えたグッドマンの名前も懐かしいですね。ハイドンの交響曲の中でも最高傑作の一つである99番を取り上げるのも非常に魅力的ですが、前プロにヒューイットを迎えたモーツアルトの23番のコンチェルトというのが、また珠玉の選曲!また、このコンチェルトをはじめとして、様々な名手が登場するのも大変興味深いところですね。一例では、パユのモーツアルト2番、ハチャトゥリャンのシベリウス、ティベルギアンのショパン2番、ムストネンのベートーヴェン3番、トルプチェスキのラフマニノフ1番、ガベッタのエルガー等。そして、シーズン最後を飾るのは何とゲーベル!この、アルヒーフ時代にムジカ・アンティクヮ・ケルンと一世を風靡した名手が、モーツアルト版『メサイア』でどんなエキサイティングな演奏を聞かせてくれるのか、非常に楽しみです。 |

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