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私は霊感というものは強くないしあまりその手の
類のものは得意ではない。父の死によって少しは
理解しようと思っているところに思い出したのが
これから話そうとする「不思議な霊体験」である。
怖い話ではないと思うので、お話したいと思う。
それはある日の夢の事であった。仕事で帯広に出張
した時によく行っていたスナックで私はひとりで
飲んでいた。毎週のように出張しては泊まるという
仕事をしていたあの会社を辞めて5年が過ぎていた。
このような場合、夢であったら何ら不思議には感じ
ないはずだが、この夢の場合、私の意識には
はっきりと違和感を感じていた。
「俺、なんでこんなところで一人で飲んでるんだ?
あれから5年、仕事で帯広に来る事もない
はずなのに・・・。」
と、そこへドアを開けてやってきたのはその会社の
先輩のKさんだった。Kさんとは一緒に帯広に
出張に来てこのスナックで飲んだものであった。
最もかなりの酒豪で酔うとくせが悪くなるので
あまり飲ませはしなかったが・・・。
当時は恰幅がよく、トシのわりにはオヤジだったが
その夢の中のKさんはすっかりやつれていた。
「Kさん、お久しぶりです!随分痩せましたね?」
するとKさんが言った。
「ヒロ、俺な今日はお前にお別れを言いに来た、
わけあって遠くに行く事になった。おまえと
仕事していたときは、ホント楽しかった…。
ありがとう!それだけ言いに来たんだ!」
そう言ってKさんは私の水割りのグラスを
一気に飲み干して駆け足で店を出て行った。
Kさんが去った後、誰もいない店の明かりは
消え、夢はそこで終った・・・。
それから2日後・・・。
朝刊の死亡広告欄を見てびっくりした。
Kさんの名前がそこに載っていたのだった。
まさか…まさか…あれは夢じゃなかったのか?
当然、葬儀には参列した。前の職場の同僚の
Sがいたので話を聞くことができた。
Kさんは酒の飲みすぎが祟って肝硬変になり
ずっと入退院を繰り返していたという。
私はSに思い切って夢の事を話すと
「ヒロ、おまえもか?実は俺の夢にもKさん
が出てきて『ありがとう!』って言って
帰っていったんだよ…。」
もしかしてKさんはすでに魂が体から離れて
私達に御礼が言いたいが為に夢の中に
迷い込んだのだろうか?それとも・・・。
どうでもいいか、もしかしたら奇跡に近い
偶然かも知れないし・・・。
しかしそれを偶然とは思いたくなかった。
私は祭壇の前でKさんに思いを伝えた。
「Kさん、ありがとうございます。私も
楽しかったですよ!今度、私がそちらに
行ったら二人で飲みましょうね…。」
それからKさんの夢は一度も見ていない。
年末です。くれぐれも飲みすぎには気をつけてください!
特に○のさん、○クさん!(笑)
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