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それから暫く沈黙が続いた。本人にしてみれば 別に悪い事をしたつもりはないのだが、裕香にとってみれば いきなり手を触られたことはきっとカルチャーショックに 違いなかったのだろう。なんか初めて立場が逆転したようだ。 裕香はいじらしく人さし指を気にしていた。とるに取れず 困っているのはこっそりと様子を伺っている僕にはよくわかった。 そんな様子に気づいたのか、裕香とばっちり目が合ってしまった。 目をそらすことなく2秒ほど見つめあっていただろうか? 裕香がにっこりと笑い出した。 「荒木君、休み時間にとげ、とってくれる?」 「うん、いいよ」 よかったぁ。怒ってはいないようだ。しかもとげをとってくれる ってことは…。手を触ってもいいって事だよね!むふふっ! ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆ 10分間の休み時間、裕香のとげ抜きが始まった。 僕は結構な近眼、近づけるほど良く見える。人さし指のとげが見えた。 しかし、なんて白い手なんだろう、細くて長い指、そして 女の子の手ってこんなにも柔らかいんだぁと改めて感じた。 裕香の持っていた携帯用の裁縫セットのなかのピンセットみたいな もので何とかとげを取り除いた。 「ありがとう、荒木君、本当にありがとう。」 裕香は僕にそう言ってくれた。その言葉にはこれまでの裕香にはない 憂いを感じた。その後の授業中、休み時間でも僕達はたくさんたくさん しゃべりつづけるのだった。 「荒木君の手って暖かいねぇ・・・。」 「え?そ、そう?手の暖かい人って心が冷たいっていうじゃない?」 「そんなことないと思うけど、荒木君って優しいと私は思うよ。」 「そう?俺って優しい?」 「うん、だって、私の言うことに、いやって言ったの聞いたことないもの。」 「それは、宮本さんだからだよ!うん。」 「え〜?何、それ、え〜っ!!」 あ〜、調子に乗り過ぎた、また裕香が赤くなって下を向いてしまった。 どうしましょ、どうしましょ…。えーい、行くぞ!気持ちを伝えるのは今しかない! 「俺、宮本さんと一緒にいるととっても楽しいんだ…。」 あれ、ど、どうした?言葉が出てこない。す、す、好きって言えない!! また、沈黙が続いた。しかし僕はどんな手段でもいい、とにかく気持ちを 伝えたい、とった手段は日本古来の「手紙」という手段だった。 渡す勇気さえあれば、何でも書ける。 ノートを破って半分に切って、殴るように書いた。 「俺は宮本裕香が好きだぁ!」 その手紙を半分に折って、左にいる裕香に机から滑らせた。 裕香はその手紙をゆっくりと開こうとしている。 甘いとき、今はそうなのかも知れないが心は弾んでいる、というよりもドキドキだ! 手紙を見た裕香は僕の方を見たが、僕は目を合わせることが 出来なかった。裕香はしばし、僕の手紙を見つめ、その後 返事を書き出した。どう思って、何を書いているのか? 16年の人生の中で「待つ」という緊張を初めて味わった。 そして裕香の手紙を持った右手が僕の目の前に伸びた。 To be Continue! サブタイトル引用曲 「ダンシング・オールナイト」もんた&ブラザーズ |

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