雀百までなんとやら

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落語レビュー

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喜六・清八


落語が人気になっているようでございまして、
落語ファンの一人として、うれしい限りでございますが、
自分が観たいと思うときに、
観れないことも多くなってきております。
これも人気の証拠でございまして、
複雑な思いがしております(^-^;

落語を寄席で観るとき、
わたくしはできる限り舞台に向かって右側の席に座るようにしております。
いや、そこに座りたいのでございます。
ご存知でない方のために申し上げますと、
落語と申しますのは、一人で複数の人物を演じる芸でございますので、
その工夫というものがございます。
そのひとつが「かみしも」と申しますもので、
演じる役によって、右を向いたり、左を向いたりして
区別するのでございます。
上方落語の登場人物の定番が「喜六・清八」という男二人でございます。
江戸落語の「八っつぁん、熊さん」にあたる方ですわ。
清八はしっかりもんでございまして、お遊びがお上手な人物でございます。
一方、喜六はと申しますと、いわゆる「うっかりもん」でございまして、
笑いをとるのは、たいていこの喜六さんでございます。
しかし、憎めん人柄がわたくしは大好きでございますんです。
この喜六さんのボケが演じられるとき、
噺家さんは、客席に向かって左側、
つまり舞台に向かって右側を向いて演じはるわけです。
この喜六さんを正面から観たいので、そこに座りたいのでございます。
喜六ファンなのでございます。

そういえば、先日、PCで文章を書いておりまして
「全記録」と書くつつもりで
「ぜんきろく」を変換させますと…「全喜六」と出ました。
世界中に喜六さんが散らばっていて、
それが一同に会するなんて情景が頭に浮かびました。
一人でほくそ笑んでいた次第でございます。
もちろん、わたくしのPCで「せいはち」とタイプして変換させますと、
「清八」が最初にでてくるのでございます。
あっ、これはどなたさまもそうかもしれませんね(^-^;

落語「貧乏神」


好きな落語のネタのひとつに「貧乏神」がございます。
このネタ、落語作家・小佐田定雄さん新作(*)で、
桂枝雀さんが最初にネタ下ろしをしはったもんなんですね。

ちょっぴりホロっとする情なんかが織り込まれておりますが、
なかなか軽妙な洒落っ気があって、笑えます。
なんといっても、このネタのシチュエーションが大好きなんですわ。

仕事が身につかないなまくら男、
女房にも逃げられ、大家にも見放され、
なにもかもやる気をなくしており、
あとは「固(かと)う、冷(ちべと)うなるだけや」と
高を括っておりますところに貧乏神がとりつきます。

しかし、とりついた男から吸い取るもんが何一つないもんで
困り果てるわけですが、
この貧乏神、気が弱いものですから、
この男を「固(かと)う、冷(ちべと)う」して、
次にとりつくもんを探せばええもんですが、
この男に働くように頼み込むわけでございます。
そして、あらぬことか、この男の身の回りの世話をする羽目に陥り、
しまいには内職までするようになり、
すっかり女房のような存在になってしまうというおはなしでございます。
「ミイラ取りがミイラになった」というやつでございますね。

このおはなしに登場する貧乏神の仕草が愛らしく、笑みを誘います。

男の身の回りの世話だけでなく、
内職をすることになってしまう貧乏神。
爪楊枝削りの内職をいたしますが、
「貧乏削り」にしてしまうわけでございます。
両方が尖っている爪楊枝など使い物になるわけがございません。
貧乏神が爪楊枝を削ると「貧乏削り」になるというのは
なんとも面白いですねぇ。

町内の洗濯物を請け負う内職もいたします。
洗濯物をしながら、醤油のシミがとれないとか
なんでこんなことをせんならんのやと
愚痴をこぼします。
しゃがみこんで一所懸命に洗濯していたもんですから
腰をあげますと、腰に痛みが響きます。
しかし、西の空のきれいな夕陽にみとれてこぼす言葉が
「明日も洗濯もんがよう乾くな」です。
すっかり近所の女房連中と打ち溶け合っている様子が想像できますね。
なんともほのぼのしていて、
貧乏神が洗濯もんをしている風景というのは面白いですねぇ。

しまいには、ひたむきな貧乏神に悲哀さえ感じることもありますが、
そこは落語でございます。
ちゃんとオチがございますので
最後まで安心して楽しめます。

一人暮らしをしておりますと、たまに退屈なときがございます。
どっかに貧乏神でもおらへんかなぁ…
と部屋をみわたしてみております今日この頃でございます(^-^;


【参考】
新作=古典に対するもので、小佐田定雄さんの個人的な解釈では、
   江戸〜明治・大正・昭和初期の時代背景で新しくつくられたものを「新作」、
   現代の時代背景で新しくつくられたものを「創作」
   と分類されているようです。

「次の御用日」

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久しぶりに落語レビュー。もちろん桂枝雀師である。

船場を舞台にした商人の情緒漂う、夏の噺、「次の御用日」。
枝雀芸の完成品ともいえる「夏の物売り」の情景描写もたっぷり楽しめる。

もちろん、あの名人芸である「お日ぃさんがぁ〜カーーーーっ」もでてくる。
ぼくはこの前半の『お日ぃさんがぁ〜』の部分が好きだ。
さぁ、これから『カーーーーっ』をいくでぇ!とばかりに
エネルギーをためて両腕をいっぱいに広げる。
これがないとあの『カーーーーっ』はできないのだ。

また、金魚の物売りの声につられて、コクリコクリと居眠ってしまう描写、これも至芸のきわみだ。
最後には舞台に頭をゴーンとうちつける。
髪の毛がフサフサの噺家さんがやると臨場感に欠けるだろうと思う。
よくぞ抜けてくれた枝雀さんの毛よ、と感謝せずにはいられない。

ストーリーの大詰めはお奉行さまの登場というただならぬシチュエーションになるのだが、
これが落語にはもってこいの材料となりえたのである。

威厳たっぷりのお奉行さまが書面にある町人言葉を語るところが醍醐味である。
丁稚・常吉とお奉行さまとのやりとりで
常吉が言った「べべちゃにご膳をいただいて…」を
お奉行さまも「べべちゃにご膳をいただいて…」というおかしみ。
まだ、この時点では、お奉行さまも余裕綽々なのだが、
この余裕が裁きが進むにつれてなくなっていき、
ついには取り乱してしまう。もう貫禄もなにもあったものじゃない。

大家の娘を往来でみつけた天王寺屋藤吉(てんのうじやとうきち)が
ちょっとしたイタズラ心で「アッ」と大声で驚かせたところ、
娘はそのショックで記憶喪失になってしまう。
一人娘をそんな目に遭わせた天王寺屋藤吉を許せない旦さんがお奉行さまに訴える。
お裁きで「アッ」など言っていないとシラを通す天王寺屋藤吉に対して
お奉行さまは徐々に冷静さを失い、自分が何を言っているのかわからなくなる。
折り目正しいお奉行さまが乱れていく姿がみものである。

この噺がよくできているところは、
ここに登場する人物に悪人は一人もいないということだろう。
お奉行さまも怖い人ではなくいい人だったのだ。

実はサゲも枝雀さんのオリジナルなのだ。
「桂枝雀のらくご案内」(ちくま文庫)では

   『次の御用日』という題は、
   奉行が奇声を出しすぎて、ノドが痛くなり「次の御用日を待て」
   と言うサゲからきているのですが、
   私はサゲを変えてしまいました。
   『次の御用日』ではなくなったのです。
   『元・次の御用日』とでも申しましょうか……。

と語っている。

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不朽の名作「時うどん」とよく似たストーリーの噺だが、
随所に当時の生活様式をうかがいしることができる。
この噺のネタにもなっている「壺」はお勝手の必需品「水壺」。
もちろんガスもない時代、「へっつい」という言葉もでてくる。
台所を守る神さんとして「布袋さん」がまつられている。

この噺では大中小の三体が猫に蹴られて
一体ずつ将棋倒しになっていく。
この将棋倒しになる布袋さんを枝雀師匠が
コミカルに演じる。
となりから倒れてくる像へ
「何すんねんな」と布袋像を擬人化する。

また、枝雀師匠ならではのアドリブもはいってくる。
徳さんが買い物のコツを羽織の買い物を例にして話す。
羽織がほしくても、別の縞物の着物をくれとまずは言うのだと。
「羽織ほしいのに、西瓜くれっていいまんの?」
おそらく、噺はここから瀬戸物屋へ入っていくのだろうが
「西瓜にも縞がおまっせ」というセリフをいれてしまう枝雀師。
混乱しそうになるところへ
「突然に言うさかい、ごっちゃになってしまうやないか」と登場人物へ突っ込む。

水壺を購入することは、この噺の醍醐味。
あまりここで語るよりは実際に聞いてもらうのがイチバン楽しいと思う。


当時の生活様式を垣間見ることができるのもこの噺の楽しいところ。
ある意味、この噺が理解できない世代がでてくるのだろうかとも感じる。
いや、すでに理解できるのはマイノリティなのに気がついていないのかもしれないね(^^;

おめでたい噺だが、
ハッピーエンドにいたるまでが一筋縄でいかない。

上方落語では船場の商家が舞台になる。
高津神社にお参りにいった若旦さん(若旦那)が
見ず知らずのお嬢さんに一目惚れがもとで
寝込んでしまう。
親旦さん(大旦那)にもいえず、
使用人の熊にだけは打ち明けようということで
おっちょこちょいだが人情深い熊が
若旦さんから事情を聞きだす。

この事情を親旦さんに伝えるのだが
これがまた、大阪弁でいう「スカタン」。
聞いたとおりに話ができない。
この噺の面白いところ。

枝雀師匠の落語でよくでてくるフレーズだが、
知識がないことを理由に
文字が書いてある紙についてのセリフ。
「それ書いて張っといたらアブラムシが出んのでしょう」
大好きなところ。

ついに、捜し求めていた娘の手がかりを得た瞬間の熊の表情。
極限状態の男を見事に演じる。
枝雀師匠の真骨頂。

この噺は「千両みかん」と似通ったところも垣間見ることができる。

ちなみに、DVD版のカップリグは「道具屋」。
子どもがそのまま大人になったようなあつかましい男の噺。
まったくの喜劇。

また、このDVDには
TV番組「枝雀寄席」にゲスト出演された
六代目松鶴師匠との対談が収録されている。
これも今となっては実現できない顔合わせ。
お互いの個性が出た対話がとっても楽しい。

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