中将の君のひとりごと

歴史とサッカーが好きな私のオススメを紹介します。最近はもっぱら旅人か、映画評論家気取りですが…

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しつこく、故河合隼雄氏の本です。
図書館の本を「源氏物語」で検索するとウチの図書館の場合、750冊くらい出てくるんですが、これはタイトルからは借りない本ですね〜。
 
しかし、この一連の河合隼雄ブーム()の中で、この本の切り口を知ってから借りたんですが、面白かったですね〜。
 
タイトルの「紫マンダラ」とは、「源氏物語」に出て来る女性たちが紫式部というひとりの女性自身から派生したのではないか、という考えを基に「源氏物語の構図」を読み解くというものです。 
その紫式部から、幾多の女性像が広がっていく様子があたかも仏陀を中心とするマンダラ図の如くであるということでのこのタイトルだそうです。
 
筆者は「源氏物語」を読むうちに、主人公・光源氏の実像がぼやけていくことに気付きます。
そして、この物語で紫式部が書きたかったのは、光源氏の栄光と挫折ではなく、彼を取り巻く女性の痛みと尊厳ではなかったかと思い至るのです。
 
ここで、それぞれの女性について実に深い洞察がありますが、それは置いておいて、やはり臨床心理学にとって切っても切り離せないのが「父」と「母」の問題です。
特に母親というものに対しての永遠の執着を書いたのが「源氏物語」でありますが、実際に「母性」の二面を表わしているのが、妻・葵の上の母親の「大宮」と兄・朱雀帝の母「弘徽殿の女御」の二人の義理の母というのが秀逸でした。
 
大宮の限りない慈母としても優しさと、弘徽殿の女御の破壊へ導く激しさは一見、相容れないように感じられますが、それこそが母の二面性を表わしていると言うのです。
ここらへんは実に面白かったです。
 
しかし、紫式部自身は母親を早くに亡くし、父親によって育てられた「父の娘」であるのです。
彼女自身、男兄弟と一緒に父親から漢籍の手ほどきを受け、漢文も読みこなす才女となったのでした。
そして、「源氏物語」にも父の意思(遺志)を継いだ多くの「父の娘」が出てきます。
 
平安時代の上流の姫君たちは、天皇へ嫁ぎ、その寵愛を得るという父の期待を背負って生きてきました。
財産の相続も女子がするものでした。
末摘花のように、枯れ行く青春も遺産を守るために捧げた女性たち。
そして、父の遺言に殉じようとした宇治の姫君たち。
 
けれど、紫式部が最後にヒロインとして選んだのは、父に捨てられた「母の娘」浮舟でした。
彼女には更に出家という要素が加わります。
 
浮舟は母によって救われたのでもなく、仏によっても救われませんでした。
女性の生を生きる為に紫式部が用意したものは?
そこに至るまでの論証は流れるようで引き込まれます。
 
千年も前にここまで「個」としても人間を見つめた女性がいたのです。
そのことに思いを馳せるだけで、私も興奮してしまいます。
 
正直、ヒロインの全部が紫式部の一面であるというのは、ちょっと暴論だと思います(例:源典侍を同名で呼ばれていた義理の姉を揶揄して書いたことは有名)が、ひとつの分野を突き詰めた人は、それを他の目に変えても深く理解出来るものなんだな〜と、心から感心しました。

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