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一年以上前に読んだ本です。
いわゆる「本能寺の変」と呼ばれる政変の本質に迫る傑作です。
本能寺の変…黒幕説の本がいっぱい出てます。
子孫と名乗る方の書もその類です。
まあ、実際にそのことが受け継がれることはなかったろうから、仕方ないですが…。
諸々の本に書かれる黒幕は、羽柴秀吉、徳川家康、足利義昭、おおむねその3人で、あとは朝廷や四国勢?と言ったところでしょうか?
色々読んできましたが率直に言って、黒幕説は全部間違いでしょうね。
この本に出会う前からそれは思っていました。
黒幕による根回しがあったなら、細川家にも話がいくでしょ。
あんまりネタバレになることは書かない方がいいので、紹介は難しいのですが、一番目
本書で例として挙げられている鎌倉幕府三代将軍実朝暗殺の時ですが、例えば将軍が暗殺されて、その場に後継者がいない時…幕府はどこに存在するでしょうか?
私がこれを読んですぐに頭に浮かんだのが、少年マンガの「聖闘士星矢」です。
地上に定期的に顕現する女神アテナの元に集う聖闘士たち…その聖闘士を取り仕切る機関が聖域(サンクチュアリ)です。
さて、この物語、現代のアテナこと城戸沙織は13年前の政変を逃れて日本で成長するのですが、聖域が存在するのはギリシャなのです。そして、アテナの居る場所としてあった聖域ですが、アテナが失われた13年間、聖域はギリシャにあって存在したのです。
返って分かり辛くなった感があるので、日本史に例えますと、徳川14代将軍家茂が京都で死んでも、幕府は江戸に存在し、武士を統括する機関として機能を果たしていたと言うのはどうでしょう?
本書の例である鎌倉幕府の実朝の件でも、将軍暗殺後も幕府としての行政機関は北条家を代表する鎌倉武士団によって支えられ、それによって天皇の反乱という未曾有の事態すら勝利をおさめたのでした。
そして、将軍暗殺というのなら、この時代まさに該当する出来事がありました。
それが、将軍義輝の暗殺です。
その後、紆余曲折を経て将軍になったのは義輝の弟・義昭ですが、彼を義輝と同じ将軍と捉えるから色々誤解が生じたのでしょうね…。
義輝暗殺ののち、新しい将軍を擁立しようとしたのが幕府の人間であることは間違いありません。
そしてその呼びかけに応じて尾張の大名が立ち上がったのでした。
これは詳しい信長の本を読んでいる方ならご存知でしょうが、信長は父親の代から室町将軍と深い関わりを持ってきました。
その延長にあるのが義昭を伴っての上洛で、それは室町幕府の意向であったのです。
ここまで読んで、ピンとくる方もいるでしょう。
つまり、この後に信長が行った将軍義昭の追放をもって室町幕府の終焉と見なすのは間違いということです。
ここまで書いてタイトルの明智光秀がまだ出てきてないのはなぜでしょう。
その光秀の正体こそが、この政変の本質を知るキーワードなのです。
いやあ、この良書はみんなに読んでもらいたい!
ここには、全てを破壊する魔王たる信長は存在しません。
ただ、最期まで旧体制との共存を模索し続けた政治家としての信長の苦悩が書かれています。
私はこの信長の姿に惹かれずにはいられませんでした。
人が作り上げた信長像に物足りなさを感じる方は是非新しい信長を見つけてください。
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