|
久しぶりに行った本屋さんで(隣のビルに大型店が入った為に、そっちの本屋ばかり行っていた)、山積みになってた本です。
「弥助」の名を見て、歴史好きな人ならすぐに…とは、言いませんが、信長好きな人の半分くらいならすぐに、
「ああ、黒人のね…」って、分かるでしょう。
彼は宣教師のヴァリニャーノが連れてきた召使?(そもそもは奴隷、もしくは傭兵だったと思われるが、実際の身分はよく分からない)で、すでに日本で確かな実績を残していたオルガンティーノが織田信長に引き合わせて、信長の家臣となった黒人です。
彼の人生を現在、日本大学の講師をしているイギリス人のロックリー・トーマス氏が、英語圏の読者向けに執筆したのが、この本です。
なので、とにかく分かりやすい!
私たちも、安土・桃山時代だったら異国人と変わらないわけですから、弥助とトーマスさんが感じることを感じるわけです。
しかも、著者の日本史に対する造詣もかなりのものなので、日本人から見ても物足りないところもありません。
弥助自体は「世界ふしぎ発見」やゲームなどで取り上げられたので、知っている人も多いと思いますが、この本の見所は、「この時代に黒人サムライがいたんだ」ではなく、弥助の生きた人生そのものにあります。
丹念に弥助の生きた時代のヨーロッパ、ヨーロッパから日本への航路、そして日本について書かれ、弥助の出自への考察も成されています。
それも、自論の押し付けではなく、様々な可能性を述べています。
実際、「ふしぎ発見!」で言われていたことがあんまり根拠がないことを知って、ガッカリはしたけれど、仮説に合わせた証拠を無理やり挙げるのは間違っていることなので、作者の姿勢は素晴らしいと思います。
その弥助の人生は、本能寺の変の1年三ヶ月前に信長にとり立てられ、変の時に二条城で明智光秀の軍に投降して、イエズス会に帰されたことまでしか判りません。
おそらく主人であったヴァリニャーノと日本までの航海を共にしたであろうけれど、果たしてどこから同行したのかは判らないのです。
しかし、遠い異国の地から来た黒人の従者が日本語を勉強して、天下人になるであろう信長に気に入られ、とり立てられたと言うだけで、どれ程波乱の人生だったか…。
しかしながら、黒人の人々が作品に採り上げられることはあっても、彼らが自ら語り出すようになるには、あと300年はかかるので、弥助自身が数奇なその運命にどういう思いで立ち向かったのか、殆ど分からないのが残念でなりません。
ただひとつ分かるのが、恐らく彼が本能寺に於いて、主人・信長からの何らかの命を受け、それをいのち懸けで遂行し、二条城で奮戦していたという点から、主人である信長に対して他の武士と変わらぬ忠義を抱いていたであろうということ。
そうでなかったら、本能寺から安全な場所へ逃げていたと思うからです。
(弥助にとって、信忠軍の中に逃げることが一番安全と思えた線もなくはないけど…)
そして、まだ黒人への差別の少なかった世界に於いて、ひときわ黒人差別の外にいた日本の中で、好奇の眼差しだけを降り注ぐ人々の中でただひとり、黒人の従者を理解しようとした信長のフラットな性格が、際立っています。
そう感じるのは海外の人も同じようで、興味深いです。
海外の…と、言えば「差別意識」を封じたふりをしたこの世界のウソが至るところで暴かれる世の中で、弥助が、例え400年以上昔の人間とはいえ、彼の存在が今の世界に何を語りかけているのか、私たち日本人には想像出来ないくらいの広がりを見せます。
多分、当事者であるがゆえ、日本人には最後までピンと来ないと思います。
そんな難しいことを抜きにしても、弥助の感じた戦国時代の日本での驚きと感動を一緒に追体験できる貴重な本です。
是非多くの人に読んで欲しいし、ハリウッド映画化すればいいのに(笑)、なんて思います。
(弥助目線で描いて欲しいので、日本映画じゃダメ)
私は買った日に2回読みました。
(久々にマジメに本の感想書いたけど、上手くいかないなあ…
|
過去の投稿日別表示
[ リスト | 詳細 ]
全1ページ
[1]
全1ページ
[1]


