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今日紹介するのは、光文社新書から出ている『ハプスブルク家12の物語』(中野京子著)です。
わりあい最近に出たので、本屋にてエリザベートの表紙を目にすることもあるはず…。
この本は名画を基に12人の…いえ、ハプスブルク家が生きた12の時代について書いてあります。
愛らしい子供3人に囲まれたマリー・アントワネットやベラスケスの『ラス・メニーナス』、
美し過ぎる『エリザベート皇后』など一度は目にした名画が半分を占めています。
有名画家たちの星空のような作品を基に、いたましい逸話が語られます。
中でも『ローマ王』こと、ライヒシュタット公の物語にならなかった悲劇に心をうたれました。
ヨーロッパを支配し続けたハプスブルク家の斜いていく中のその敗北の象徴のような存在−神聖ローマ皇帝の娘として、ナポレオンに捧げられたマリー・ルイーズによってこの世に生まれたこの少年は父の敗北によってウィーンに閉じ込められたのでした。
高貴なる血を守る為に、それゆえに寿命を縮めていることを承知の上で近親結婚を繰り返してきたこの一族にとって、成り上がりのナポレオンの血をひいたこの子の存在がどれ程忌まわしいものであったか!!
しかし、外へ出せばたちまちのうちにナポレオン残党によって担ぎあげられることがわかっている少年には飼い殺しの運命しかなかったのです。
けれど英雄の血は確実に彼の中で脈うっていて…。
血によって結ばれた名門の永い永い物語です。
歴史の残酷さと、人間の英知を感じることが出来る一冊です。
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