海洋戦略研究

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米台中関係緊迫

 新年早々、米国の台湾に武器供給姿勢で、米中関係が緊迫化している。
 6日米国防総省は、当局が、ロッキード・マーチン社と契約し、地対空ミサイル「パタオリオット」を台湾に供給することを可能にしたことを発表した。 この米国の決定に対して北京当局は、強く反対している。
 6日の記者会見でクローレ国防総省報道官は、米政府は、台湾関係法に基づいて、引き続き台湾への防衛目的の武器を供給すると強い姿勢を見せた。今回の武器供給は、ブッシュ政権が2008年10月に発表した総額65億ドル近くの対台湾の武器輸出を枠組みとしている。
 これまでオバマ政権は、中国に配慮し、対台湾の武器供給に対して明確な態度を示してこなかったが、ブラックホーク・ヘリコプター、対ミサイルなど数十億ドルに上る対台湾輸出を可能にする見込みだという。また、ディーゼル潜水艦の設計・製造能力を査定する計画書も添えられる可能性が高いという。
 米国の決定に北京当局は、強く反対している。
 黄雪平中国攻防部報道官は、「二国間の相互の信頼関係を傷つける」との声明を発表した。米中間の軍事関係における向上・発展を深刻に阻害するものとし、台湾との軍事関係を断絶するよう、米国に強く促した。さもなければ、中国側は更なる措置を取る権利があるという。
 また、米中間の軍事交流を凍結し、台湾に武器を売っている米企業に対して制裁措置などを発動すべきと中国の軍事関係者らが次々と提案している。
 北京当局の怒りは、対台湾武器売却の他にも、オバマ大統領が近くダライ・ラマ14世と面会する意向にも起因している。
 これまでオバマ政権は、対中関係を配慮し、昨年10月のダライ・ラマ14世訪米の際には面会を控えていた。11月には歴代の大統領に比べ早期に訪中を行った。
 しかし、中国側は、これらの配慮を逆手に取り、12月のコペンハーゲン環境会議(COP15)では、米国との会合には下級大臣を出席させ、温首相の司る会合からは米国を閉め出そうとするなど、米国のみならず各国首脳までもいらつかせる戦略を図り、協定を系統的に破綻させた。
 最近、中国のトップや民間の間に、中国は世界に勝ち誇ったという態度が見受けられる。世界経済の中、景気が低迷する米国や自由主義社会とは対照的に、中国経済が継続発展していることから、中国の統制経済及び全体主義の政治体系の優位性を見せていると北京当局は広く宣伝しており、中国社会全体にこの勝ち誇った態度が形成されていると米政府の職員や専門家は感じているという。
 中国問題専門家ボニー・ガラサー氏は、「もし彼らが本当に米国は衰退し、中国は間もなく超大国になると信じているならば、今後、米国にとって大変やっかいな行動に出るだろう」と指摘している。
 一部の米国アナリストは、オバマ政権が、早期に中国との関係を深めようとしたため、「中国が米国を必要とする以上に、米国は中国を必要としている」というメッセージを伝えた形となり、中国が威嚇的な態度に出やすくなったと批判しているという。
 中国の高飛車な態度に終止符を打たせるかのように、米政府は、新年早々、台湾への武器供給を具体化させ、ダライ・ラマとの面会の段取りを図るなど、中国への強硬姿勢を取り始めているという。
 しかし、米中関係の荒波は、これだけに止まらず、米中貿易摩擦問題もあるという。
 昨年、中国政府は、市場志向型経済改革のベースを緩め、更に逆行させるような一連の動きを取り始め、外国企業に不安定をもたらしている。中国製品への米国による関税措置に対して、中国当局は、ワシントンの貿易保護主義を批判すると同時に、中国の外資系メーカーによる製造品の販売市場を閉鎖した。そのため、従来は中国との関係を支持してきた米国商工会議所などの団体も態度を転換し、対中政策を変えるよう米政府に圧力をかけているという。
 中国が、引き続きこのような強硬路線を取るなら、政治的に反発する国は、米国だけに止まらないだろうと語る米国政府関係者の声もある。
 米国が断固たる意志を固めたのではなく、国債もあって中国が下手に出れば、直ぐに代わる類の戦術的駆け引きであろう。

註:「米、台湾に武器供給姿勢 緊張感高まる米中関係」http://www.epochtimes.jp/jp/2010/01/html/d88632.html
  「中国、設計図開示強制へ(7)」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/60920304.html
  「(不機嫌な中国)中国が世界を思いどおり動かす日」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/60875050.html
  「徐ワシントン講演」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/60681821.html
  「米中軍事交流再開(2009年)」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/60459873.html
  「中国の二枚舌」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/60109210.html
  「米中2極2G論争」http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/59574178.html

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昨日見た日高リポートのキッシンジャーさんの見立ても、米国が自身の弱体化を認識&勢力均衡外交を志向してる事を明示してましたし、日本も覚悟を決めないと・・・

自分は、台湾武器売却は「中東にかかりっきりになることに備えて、アジアの軍事バランスを少しでも改善する布石」とみていたのですが、それはオバマ政権を買いかぶりすぎでしょうか?

2010/1/11(月) 午後 6:44 [ tero19632001 ] 返信する

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そういえば、その番組に関して大石英司さんが興味深い分析記事を書いてましたのでTBいたします・・

「米中が軍事同盟(紛争処理に中国軍を活用?)」って部分には異論がございますが、日本が多極化時代にどうあるべきかに関しては中々いい分析を出してますので、よろしければご感想をいただければありがたいのですが・・

2010/1/11(月) 午後 7:21 [ tero19632001 ] 返信する

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tero19632001様、米国がオフショア・バランシングを志向する限り、当事者の立場から離脱して、行動の自由を得なければならないでしょう。そのためには米本土に撤退する必要があると思います。

2010/1/11(月) 午後 7:22 [ hiromichit1013 ] 返信する

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tero19632001様、米中が軍事同盟を築くとすれば、仮想敵国は日本でしょうか。それともテロリストでしょうか。イスラム過激派が勝つと踏んでいる中国が、米国と手を組む利益があるのでしょうか。2Gでいいのではないでしょうか。疑問が残ります。

2010/1/11(月) 午後 7:55 [ hiromichit1013 ] 返信する

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その件ですが、大石さんの見方は「米国が財政&世論的に海外での長期軍事行動が難しくなり、中国を『安上がりの鉄砲玉に活用』」と言うものですが、自分はどちらかといえば「G2&米中同盟は『独ソ不可侵条約のアジア版』(日本は「中国への安全装置」と位置づけ)」と見てるのですが、どう思われますでしょうか・・

2010/1/12(火) 午前 7:05 [ tero19632001 ] 返信する

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tero19632001様、中国は思うように米国の鉄砲玉にならないでしょう。鉄砲玉と思わせておいて、自己の利益の追求でしょう。不可侵条約のように勢力分割の可能性はありますが、中国はローカル・パワーでは満足しないでしょう。

2010/1/12(火) 午前 9:45 [ hiromichit1013 ] 返信する

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