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現在、「第41回 京の冬の旅」として、京都の10ヶ所で非公開文化財特別公開が行われています。(〜3月18日)大徳寺の塔頭の聚光院(じゅこういん)もその中のひとつで、これまでも時々特別公開されているようですが、今回初めて行って来ました。
(尚、境内の写真撮影は一切禁止なので、写真は表門周辺のみです。)
聚光院は、永禄九年(1566)河内の戦国大名・三好義継が、養父長慶の菩提を弔うために、大徳寺の第百七世・笑嶺宗訢(しょうれいそうきん)和尚を開祖として建立した寺院で、聚光院という寺名は三好長慶の法号によります。三好義継は、松永久秀や三好三人衆と共に、13代足利将軍義輝を暗殺したり、最後には織田信長に抵抗し滅ぼされてしまったりして評判の良くない人物です。
でも開祖の笑嶺宗訢和尚は、中々の人物だったようで、彼は聚光院以外にも、堺に海眼庵、尼崎に栖賢寺(このお寺、前にこのブログに登場しました。現在左京区上高野にあります。)や広徳寺等を再興し、蒲庵古渓(大徳寺総見院の開祖。千利休事件の際、激怒した秀吉が、大徳寺全てを破却しようとするのを命がけで阻止したことでも知られる人物)や春屋宗園(大徳寺三玄院の開祖。小堀遠州・古田織部・長谷川等伯等に禅を教えた人物)など優れた弟子を育てました。
そして祖心本光禅師の号を賜り、天正十一年(1583)に79歳で死去しました。
「太閤記」にはこの笑嶺宗訢の人柄を示す話が出ているそうです。
天正十年(1582)十月の織田信長の大徳寺での葬儀の際に、笑嶺和尚は、秉炬(ひんこ=葬儀の導師で、荼毘に付す役)焼香の役目を勤めました。主君信長が死んだ後、秀吉の織田家の継子に対する態度を無礼と感じていた笑嶺は、秀吉が葬儀の席でどのように振舞うかを見張って、場合によっては刺し殺そうと衣装の間に短刀を隠していたのでした。弟子の蒲庵古渓がこれを知って驚き、強いて退席させて代わりに秉炬焼香の役を勤めたので無事に葬儀は済んだという事です。
(信長死後の、秀吉の態度に関しては、他にも似たような話が残っているので、誰が見ても、態度を翻したかのように傲慢に振舞い始めたのでしょうね。)
さて、聚光院にある寺宝の中で特に有名なのは方丈の襖絵です。
桃山時代を代表する狩野永徳による「花鳥図」と「琴棋書画図」、また永徳の父、狩野松栄による「瀟湘八景図」「竹虎遊猿図」「蓮鷺藻魚図」が書院各部屋を飾っています。これらの襖絵は国宝に指定されているのでとにかく必見でしょう。狩野永徳は若干24歳でこの躍動感ある作品を完成させたということで、まさに天才だと感じました。寺宝として他に三好長慶画像一幅、沢庵禅師頂相一幅等があるようです。
また、聚光院は、かの千利休との関わりの深さでも知られます。千利休は、堺時代から当時堺・南宗寺住職だった笑嶺和尚の弟子(俗弟子)となって禅を学びました。そして笑嶺が大徳寺に移り、聚光院を創建した際は、多額の寄付をして助力しました。以来、聚光院は千利休の父母、そして三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の菩提所として今日に至っています。
方丈前の枯山水庭園は、千利休の作庭と伝えられる名庭で、国の名勝に指定されています。
元は白砂の敷かれた庭でしたが、現在は自然に生えてきた苔で覆われています。庭の奥には、中央に架けられた石橋を中心に東西に石組が直線上に並んでいて、石組の多いところから「百積(ひゃくせき)の庭」と呼ばれています。この庭は、方丈の襖絵(狩野永徳筆)と相対する関係にあると言われ、部屋東側の襖絵と庭園の西側の石組の配置が良く似ていて、襖絵と庭園が同じ意図の元に造られたと伝えられます。(襖絵に描かれた水の流れが、大海を表す庭につながっている演出のようです。)
庭園の西には、小さい島が造られていて、利休のお手植えと伝わる名木「沙羅」が植えられていましたが、昭和三十八年(1963)に樹齢380年で倒れ現在は3代目のようです。この庭園は、石橋をアクセントに、庭石が横一線に置かれているのが面白く、手前の島の沙羅の木もワンポイントとなっていて、私は結構気に入りました。
また、「閑隠席(かんいんせき)」と「桝床席」という2つの茶室があり、共に重要文化財に指定されています。特に「閑隠席(かんいんせき)」は利休好みの草庵風の三畳の茶室で、小さな空間に中柱を立て天井の高さを変えることで、点前座を一段低くみせ、客座を上段の間のように見せ奥行きを感じさせる造りになっています。
尚、公開されていませんが、聚光院には三好長慶と千利休の墓があります。
長慶の墓は、河内飯盛山下にあったものを、三好義継が当地に移したもので、約1mの五輪石塔のようです。また利休の墓は仏塔型で、利休が亡くなる2年前に寄進状を添えて一族の供養としたもので、毎月28日には三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)が交替で利休忌法要が営まれています。
特別公開寺院は、通常の観光寺院と違って拝観券しかもらえない事が多いですが、ここではパンフレットももらえました。聚光院は、国宝の襖絵、名勝庭園、重文茶室と見所が揃っていて、大徳寺の塔頭中でも美術的価値の高い寺宝を持つ重要な寺院の一つです。
国の名勝指定されている庭園もシンプルですが良いです。ちなみに、大徳寺の全塔頭の中で、名勝指定されている名庭を持つのは以下の4塔頭で、庭園に関心のある方は一応押さえておかなければいけない場所かとおもいます。
○大徳寺・大仙院書院庭園(史跡・特別名勝)・大仙院庭園(名勝)
○大徳寺・真珠庵庭園(史跡・名勝・・・特別公開中)
○大徳寺・聚光院庭園(名勝・・・・特別公開中)
○大徳寺・孤篷庵庭園(史跡・名勝・非公開)
もし良ければこの機会に訪ねてみてください。
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大徳寺良いですね。特別公開庭園ぜひ次回尋ねてみたいです。
2007/1/26(金) 午後 11:29
大徳寺の真珠庵も行ったのですが、閉門前に駆け込んだので、門の閉まった写真しかないので、掲載しようか迷っています。
2007/1/26(金) 午後 11:56 [ hir**i1600 ]