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河合神社は下鴨神社(賀茂御祖神社=かもみおやじんじゃ)の境内摂社ですが、並の神社より立派な雰囲気もあり、単独で取り上げる価値はありそうです。
河合神社の祭神は神武天皇の御母神になる玉依姫命(たまよりひめのみこと)です。
創建年代は不明ですが、記録によると、古代から(神武天皇の頃からそれ程遠くない頃)あった古社のようで、延喜式には「鴨河合坐小社宅神社(かものかわいにますおこそやけのじんじゃ)」と記されています。「鴨河合」というのは古代からの神社の鎮座地名、「小社宅(こそべ)」というのは、「日本書紀」では「社戸」と読まれ、本宮に祭祀された神々と同系流の神との意味のようです。
「玉依姫命」という神様は、一人の神様の名ではなく、豊穣や多産といった女性的な能力を象徴する多くの神の総称になります。下鴨神社の主祭神も「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」なのですが、こちらは同じく主祭神の賀茂建角身命の娘、建玉依姫命(たけたまよりひめのみこと)になります。一方、摂社の河合神社の主祭神「玉依姫命(たまよりひめのみこと)」は神武天皇の母親神ということで、同名異神ということになります。
延喜元年(901)の官符によれば、「河合社は、御祖・別雷両神の苗裔(遠い子孫)の神である」と記されているようで、古くから本宮・下鴨神社に次ぐ大社として知られ、平安時代には名神大社に列せられています。そして明治十年(1887)に下鴨神社の第一摂社になりました。かっては下鴨神社の21年毎に行われた式年遷宮の度毎に、河合神社の社殿も造替されていたようですが、現在の社殿は延宝七年(1679)に造替された古社殿を修理したもので平安以来の書院造り形式をよく留めているということです。
河合神社は「方丈記」で知られる鴨長明ゆかりの神社でもあります。
「方丈記」で知られる鴨長明は、久寿二年(1155)下鴨神社(賀茂御祖神社)禰宜・鴨長継の次男として泉の館(現在の京都大学北方一帯)に生まれました。
七歳の時に、下鴨神社の第6回式年遷宮が行われ、それを機会に神職に就き、幼少より学問、特に歌道に秀でていたようです。平家の福原遷都にも随行し、平家の滅亡により京都へと戻っています。正治二年(1200)46歳の時に後鳥羽上皇から召されて院の歌会に参加し、翌年には和歌所の寄人に任ぜられ琵琶や琴、笛にも才能を発揮したことが記録にあるようです。
しかし、元久元年(1204)50歳の春、宮中の職を辞して出家し洛北大原の里に隠遁してしまいました。元久二年(1205)の「新古今和歌集」に、鴨長明の「石川や 瀬見の小川の 清ければ 月も流れを たずねてやすむ」という和歌等十首が採録されていますが、この「瀬見の小川」は、河合神社の東に今も流れている小川になります。
鴨長明の突然の出家に関しては、周りから反対されて父の跡を継いで河合神社の禰宜になれなかったことを原因にするという説がありますが、平安時代末から京都を襲った火災や地震、飢饉による地獄図を目撃したこと等様々なことがあったのかもしれません。
とにかく強い厭世感を抱くようになり、世の無常と人生のはかなさを建暦二年(1212)から随筆「方丈記」、「無名抄」に著し、建保四年(1216)に62歳で死去しました。
さて、長明は大原から各地を転々として、承元二年(1208)に日野(現在の伏見区日野町)に落ち着きますが、各地を移動している間、棲家としていたのが、組み立て式の「方丈」でした。
河合神社では、定期的に「鴨長明と河合神社」という資料展を行っているのですが、この資料展の際には、「方丈記」に基づいて復元された、長明の「方丈」の実物大の模型が展示されます。先月にも展示されましたので、写真を撮りました。(写真)
復原された方丈は、移動に便利なように組み立て式になっています。
大きさは一丈四方(約3メートル四方)で、面積は約2.73坪、畳約五畳半程度です。間口、奥行きともに一丈四方(約3メートル四方)であるところから「方丈」と言われています。さらにもう一つの特徴は、土台状のものが置かれ、その上に柱が立てられていることで、下鴨神社の本殿と同様の構造ということです。21年毎に社殿が造替される下鴨神社の自在な建築様式にヒントを得たものと言われているそうです。
一種のプレハブ住宅のようなものですが、中央に炉が設けられ、壁には仏画が掛けられ、琵琶や琴を置くスペースもあり、日常の精神生活に必要なものがすべて整っています。結構快適な住空間のようで、この移動式の住宅、現在でも利用できるかもしれません。
尚、河合神社の境内には、末社の八咫烏(やたのからす)を祀る任部社(とべしゃ)、諏訪神他を祀る六社、三柱社もあります。
昨年、河合神社境内の御料屋で行われている資料展を、拝観料を払って見学したのですが、特に長明に関心が無い方は「方丈」だけ見れば良いという印象でした。こちらは境内の拝殿の横に作られるので、お参りのついでに見ることが出来ると思います。
下鴨神社に来られた際は、摂社の河合神社にも少し寄ってみても良いかと思います。
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河合神社ひょっとして見逃しちゃったのかなぁ???でもそんなわけないような…。
2007/2/5(月) 午後 11:07
michaeltomoさん、河合神社は、下鴨神社の参道の正面入口を入ると、すぐに左側に道があるのでわかるかと思いますよ。方丈の模型は、いつも組み立てられているので訳では無いので、神社に要確認ですが・・。
2007/2/5(月) 午後 11:30 [ hir**i1600 ]