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前回の龍源院の続きです。
方丈北庭は、龍源院で唯一創建当時の石組を残している由緒ある庭です。
「龍吟庭(りょうぎんてい)」と名付けられ、室町時代の伝統的な三尊石組から成る須弥山形式の枯山水庭園で、相阿弥作と伝えられています。青々とした杉苔が大海原を、28個の石組が陸地を表していて、その中央で斜めに高く突き出ているのが須弥山石で、その手前にある丸い板石が遥拝石です。一見目立つ現代的な「一枝坦(いつしたん)」よりも、落ち着いた趣のある庭だと感じます。
苔の美しい時期は特に素晴らしく、新しい庭が多い龍源院が古風な雰囲気を維持しているのは、この庭のおかげだと思います。
方丈東庭は、「東滴壺(とうてきこ)」と名付けられた日本で最小という壷庭です。
昭和三十五年(1960)の作ですが、壷庭としては珍しく格調高い枯山水庭として造られています。小さいので、庭全体を上から見下ろすことが出来ますが、砂紋、平石、尖った立石の対比等が魅力的です。中央に平たい石があり、白砂の砂紋が描かれているのが庭の中心で、一滴の水が生んだ波紋が、大海に広がる様子を表して、一滴一滴が大海につながるという禅の悟りの世界を象徴させている庭です。
実は、龍源院で一番人気はこの「東滴壺(とうてきこ)」ということです。日本最小の枯山水という話題性、さらに波紋が広がる様子など精神性を感じさせる造形で、禅の教えや枯山水入門の良い教材だと感じます。もちろん写真ファンにも人気です。
玄関へ入った左側の書院にあるのが、阿吽の石庭「滹沱底(こだてい)」です。
書院の南軒先に横に細長く広がった石庭で、ご住職が、宗祖の臨済禅師が住んだ、中国河北の鎮州城の南を流れる滹沱河にちなんで「滹沱底(こだてい)」と名付けたものです。「阿(あ)」とは、口を開いて発する最初の音、「吽(うん)」とは、口を閉じて発する最後の音で、そこから天と地、陰と陽、プラスとマイナスのような万物の始まりと終わり、切り離す事のできない宇宙の真理を象徴するものとされます。
この庭はそのような宇宙の真理を表現しているということで、庭の右と左に基礎石があり、向かって右が「阿(あ)」の石、左が「吽(うん)」の石になります。尚、この2つの基礎石は、豊臣秀吉が建設した聚楽第のものと伝えられています。この庭も新しい庭ですが、可愛い庭です。
また、この石庭の右には、創建当時から残る古い野井戸「担雪井」があります。
最後に、龍源院の寺宝についてです。
方丈脇壇に安置されている本尊の木造釈迦如来像(重要文化財)は、胎内に鎌倉時代の建長二年(1250)、行心造の墨書が残されていて、京都八釈迦の一体と言われています。
また、方丈の襖絵としては「列仙の図」や、十六枚の豪快な「竜と波の図(筆者不明)」があり(前回に写真あり)、秀吉と家康が対局したという四方蒔絵の碁盤と碁筒、種子島銃等も展示されています。
(他にも、長谷川等伯筆「猿猴図」、狩野探幽作の「達磨図」等の寺宝があるようですが通常公開されていません。)
また鈴木松年作「白蔵主と月にむら雲」という屏風が展示されていて、説明書きがありました・・・・昔、大阪堺の南宗寺の塔頭の松林寺にいた一人の雲水僧が、日夜修行し、また悩んでいる人々を助け活躍していましたが、実はこの雲水、松林寺山内の耕雲庵に住む一匹の老狐だったのです。この老狐の死後、付近の人々は「白蔵主」と呼び、今も耕雲庵の裏山に祠を立て祀っています。龍源院にある、この「白蔵主と月にむら雲」屏風ですが、明治の画家・鈴木松年が「白蔵主」の逸話を描いたもので、現在龍源院に納められることになったのは、以下の不思議な実話によるということです。
昭和三十五年(1960)に、ある大阪の人が、突然、龍源院を訪ねて、この絵の寄進を申し出たということです。何でも、家業がうまくいかず、身内の不幸が続き、行者に見てもらった所、家の中に狐の絵がないか?その狐は今も修行中で、どこかのお寺に納めて欲しがっているので、一刻も早く納めなさい、という話だったそうです。それで行者と一緒に、京都のお寺を色々訪ねますが、龍源院の前でどうしたわけか一歩も足が進まなくなったということで、龍源院に寄進をお願いされたということです。龍源院の方丈・東の間は、江戸時代の大徳寺百八十世・禅海宗俊和尚が「狐窟」と名付けていて、これは不思議な御縁ということで龍源院は寄進を受けました。現在も寄進者は無事に過ごされているということで、龍源院では東の間にこの屏風を展示しているということです。
龍源院には新旧の色々な枯山水があり、枯山水庭園に興味が出てきた人の入門篇としてもピッタリのお寺です。書院の畳の上で寛いでも良いし、「龍吟庭(りょうぎんてい)」の横には椅子も置かれています。私も学生時代に結構好きだった場所の一つで、夏の午後、涼しい堂内でゆっくり庭を眺めて時を過ごすという贅沢な体験をした記憶があります。可愛い庭があり、特にカップルにもお勧めという感じです。大徳寺の常時公開されている4塔頭では、まったり度の高い高桐院、龍源院が飽きがこなくて何度か訪ねられそうですね。
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エルマガジン1月号で大徳寺特集掲載されていましたね。この龍源院入ってなかったので次回いこうかなぁ。お庭が素敵ですね。
2007/2/22(木) 午前 1:14
エルマガジンで特集してるんですね。大徳寺はそれぞれの塔頭に個性があって誰にでもお勧め出来ますね。龍源院は親しみやすい気がします。畳の部屋で座ってホッコリできるのが良いですよ。
2007/2/22(木) 午後 6:07 [ hir**i1600 ]
小さいながらもきれいなお庭ですよね♪ こんなところでゆっくり過ごしてみたいですね★ トラバさせてもらいました よろしくね♪
2007/3/10(土) 午前 0:41
可愛いお庭なので、親しみやすく身近に感じるのが良いですね。こんな枯山水が家にあったら・・とか勝手に思ってしまいます。
2007/3/10(土) 午後 0:34 [ hir**i1600 ]