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前回の続きです。
退蔵院の寺宝としては、室町時代の山水画の元祖とも言われる禅僧・如拙(じょせつ)が描いた有名な国宝「瓢鮎図(ひょうねんず)」があります。
退蔵院の最高の寺宝ですが、京都国立博物館に寄託されているので、レプリカが方丈前に展示されています。(写真)レプリカではありますが、繊細な線のタッチは感じられます。(京博では「雪舟展」とか「美のかけはし展」等で展示していて、私も本物を見る機会があったのですが、機会があれば是非本物をご覧ください。)
さて、「元信の庭」の後は、もう一つの庭園が待っています。
小さな露地門を潜ると、回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」が広がります。まず中央に枝垂れ桜を配し、右手に灰色砂の「陰の庭」と、左に白砂の「陽の庭」という2つの彼山水庭園があります。
桜の後ろには羅漢石のある築山、そして東屋(あずまや)があり、清水が滝(竜王滝)から流れ入る広い池(瓢箪池。瓢鮎図から採られた)が広がります。名勝庭園「元信の庭」をチラ見で後にした人も、このわかりやすい大きな庭には大いに満足されるようです^_^;
この広い庭園は、明治の小川治兵衛(植治)、大正・昭和の重森三玲と共に現代を代表する作庭家・庭園研究家の中根金作の設計によるもので、昭和三十八年(1963)に着工し、3年の年月を経て完成したものです。
尚、京都に残る中根金作の庭園としては、前回に登場した妙心寺の大心院庭園、南禅寺の天授庵庭園、御香宮神社庭園、城南宮の楽水苑、二条城の清流園庭園、大徳寺の芳春院庭園(前に登場しました)などがあります。
この余香苑は、やはり中根金作の代表作のひとつで、伝統的な回遊式庭園の手法に色々なアイデアが取り入れられているようです、特になだらかな傾斜に清流を流し周囲に高い樹木を配置することで、正面から庭園を見渡すと、遥かな丘から川が流れてくるような実際以上の奥行きを感じ、庭園全体を広く見せる効果を上げています。そして周辺には四季折々の花が咲き、桜、藤、サツキ、ツツジ、紫陽花、蓮、紅葉等が楽しめます。庭園内の茶室・大休庵で抹茶を頂きながらゆっくりきれいな庭を鑑賞することができます。
また、庭園には、水琴窟もあり澄んだ音を楽しめます。(京都寺院にある「水琴窟」の中でもやや地味な印象)その他、かくれ茶室「囲いの席」もあり、普段は非公開ですが、特別公開されることもあるそうです。
禅宗寺院の中の塔頭というと、修行の場として重々しい雰囲気を思い浮かべますが、退蔵院は開放的な回遊式庭園「余香苑」を持つことで観光寺院化してきたのでしょう。この一般受けする現代庭園は、古風な「元信の庭」の対比としても面白く感じます。観光寺院として押さえるべきツボを押さえたような退蔵院は、京都初心者にもリピーターにも親しみやすいお寺ですね。
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おはよう
お友達になって京都の寺院、史跡の交流お願いしたいのですが、
2012/6/19(火) 午前 10:39 [ 中路正樹 ]