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上京区の智恵光院通上立売西入上ル聖天町にある雨宝院(うほういん)は、本堂に日本最古とも言われる大聖歓喜天を祀ることから「西陣の聖天さん」と呼ばれ親しまれています。
多くの寺院がある西陣地区でも、親しみやすい庶民的な雰囲気で特に印象的なお寺の一つだと思います。
隠れ家的な狭い境内には本堂、観音堂、大師堂、不動堂、稲荷堂、庚申堂が建ち並び四方から色々な仏様達に囲まれているような感じがします。また桜を始めとする多くの木々がいっぱいで、小さな植物園のような雰囲気もあります。
さて、雨宝院は古義真言宗の寺院で、元々は、弘仁十二年(821)弘法大師空海が嵯峨天皇の病気平癒を祈願し、六臂の大聖歓喜天像を祀った大聖歓喜寺が始まりと伝えられます。大聖歓喜寺の敷地は現在の千本五辻に至る広大なものだったようですが、応仁の乱で堂宇は焼失してしまいます。その後天正年間(1573〜92)に雨宝院のみが現在の地に再興されたということです。
このお寺は、穴場の観光スポットとしても採り上げられることも有るように、幾つかの見所があります。本堂の本尊歓喜天像の他にも、大師堂の「阿吽あせかき弘法大師像」、そして最も注目したいのは、観音堂に安置されている、藤原期の作と伝わる高さ2mを超える木造千手観音立像です。重要文化財に指定されていて、雨宝院が歴史有る寺院だということを感じさせるものです。この観音堂内の拝観は要予約で拝観料金は500円になります。
また、境内東南の井戸は、西陣五水の一つ「染殿井」で、現在は枯れていますが、この水を使うと染物が良く染まると伝えられてきました。境内にあるアカマツの木は「時雨の松(しぐれのまつ)」と呼ばれ、幕末に活躍した久邇宮朝彦親王が、雨宝院参詣の際ににわか雨を樹の下でしのいだという話が伝わります。その横の桜には「歓喜桜」と名付けられた八重桜、また「御衣黄(ぎょいこう)」という黄緑色の花をつける八重桜があり、他の桜が散った四月中頃が見頃になります。
これからの季節、狭い境内は桜の花で覆われて桜の館のような印象になります。もちろん夏場も多くの花が咲いて憩いのスポットになります。西陣の小さな花の寺は、有名観光寺院の少ないこの地区ではお勧できる場所の一つですね。(境内は木々で一杯で、写真は木ばかり目立つので少な目ですが)
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