京都を感じる日々★マイナー観光名所、史跡案内Part1

写真容量の関係で、過去の記事をかなり削除していますが、よろしくお願いします。

京都府下

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蟹満寺

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京都府木津川市山城町綺田浜(旧相楽郡山城町大字綺田小字浜)にある蟹満寺は、「今昔物語集(巻十六第十六話)」の「蟹の恩返し」の縁起で知られるお寺です。
本尊の銅造釈迦如来坐像は国宝に指定されているので、間違いなく必見寺院ですが、道がわかり難いと聞いていてこれまで敬遠していました(実際に歩いてみるとそれ程でもなかったのですが、簡単な地図は必要です。JR棚倉駅からまっすぐ北上すると行き止まりになるので、左に回り込んで天井川の不動川を越えれば、後は田畑の中で遠望できるJR線の東側の道に戻って北上すればすぐ)とにかく謎の多い面白い寺院です。





蟹満寺は、山号を普門山と称する真言宗智山派(京都東山の智積院を総本山とする派)の寺院です。
蟹満寺という面白い寺号は、「蟹の恩返し」の伝承に由来するように感じますが、本当はこの地が蟹幡(かにはた)郷、加無波多(かむはた)郷と呼ばれたことから転じたようで、かっては紙幡寺(かみはたじ、かばたじ)、加波多寺(かばたじ)、蟹満多寺(かにまたじ)とも呼ばれていたようです。
これまで、蟹満寺は、現在の小さな本堂が江戸時代の再建ということ以外、創建年代や規模が不明の謎の寺院と言われてきました。太秦の広隆寺に伝わる古記録では、蟹満寺がその末寺として奈良朝以前に秦氏の一族・秦和賀によって建立され、後に行基菩薩の関与により民衆のあつい信仰を集めたと伝わりますが、真偽を含め不明な点が多いお寺でした。

この棚倉周辺は、33個の三角縁神獣鏡が発見された椿井大塚山古墳があり、高麗氏(こまのうじ)の本拠でもあり、壬申の乱の戦場になったり、奈良への交通の要所としても知られますが、政治的には空白地帯で歴史的な資料が少ないことが謎を深めていたのです。地方豪族レベルでは制作できないような立派な国宝・本尊釈迦如来像が、なぜこの地に祀られているのかも論争され、来歴も不明のため奈良から移設した等の様々な説があったようです。





平成十七年(2005)に境内発掘調査が行われて、白鳳時代の巨大な金堂の基檀跡が発見されたことにより、かっての姿がようやく判明しました。
寺域は約200m四方の広大なものでした。また基檀跡は南北17.8m、間口推定28.5m、白鳳時代末期(690頃)に創建されたと推定され、基檀や金堂の規模は薬師寺金堂と同程度の同時代最大級の金堂だったのです。さらに現在本尊の釈迦如来像が祀られている位置が創建時とほぼ同じ位置で、釈迦如来像は白鳳期から本尊として全く動いていないことが判りました・・・この事は、蟹満寺の本尊と様式的に類似し同時代の作と考えられてきた薬師寺の三尊像の制作年代の決定にも大きな影響を与えたようです。(薬師寺の三尊像は、制作年代が白鳳か天平(奈良時代)かの2説で論争がありました。白鳳説が有力になったと言うことです。)
その他、まだ問題点はありますが、地方豪族レベルでは造れない大寺だったことから、これまで考えられていた以上に、この地域が大和朝廷との繋がりがあったと推測され、古代政治史の面からも注目されているようです。

調査により、平安時代に火災に遭って金堂が焼失した跡も発見されましたが、本尊は無事だったようです。尚、その後蟹満寺は衰退し寺域を縮小したようで、後に江戸時代の正徳元年(1711)智積院の亮範上人によって再興され、現在の本堂は宝暦九年(1759)の再建になります。





さて、今回の調査で白鳳期の作と判明した本尊の銅造釈迦如来坐像は、高さ八尺八寸(2m67)、重さ二千貫(7トン)の堂々とした姿で、螺髪と白毫が無くて曼網相という指の間に水掻きがあるのが特徴となっています。日本の仏像史上の名作として国宝に指定されています。

最後に「今昔物語集」や「古今著聞集」に出てくる蟹満寺縁起のストーリーを少し書いてみます。この仏教説話は蟹満寺の創建に関する物語ですが、実際の歴史的な蟹満寺とはまったく関係ない伝説です。しかし、古代の寺院・蟹満寺が現在までも生き残ったのは、このような素朴な物語を通して、民衆の信仰を集めてきたからでしょう。

昔、この辺りに善良で慈悲深い夫婦と一人娘がいました。
娘は幼少時から慈しみ深く、熱心に観音菩薩を信仰していました。ある日、娘は村人がたくさんの蟹を捕らえて食べようとしているのを見て、その蟹を村人から買い求めて逃がしてやりました。
その後、またある日のこと、娘の父が田を耕していると、一匹の蛇が蛙を呑もうとしています。父も蛙を助けようと、とっさに蛇に向かって「その蛙を放してくれたら、娘を嫁にやろう」と言ったのです。すると不思議にも蛇は蛙を放して、何処へともなく姿を消しました。父はたいへんな事を言ったと後悔して、仕事も手につかず家に帰って、娘にいきさつを語って悔いたのでした。
その夜、さっそく衣冠をつけた立派な男が家を訪れて昼間の約束を迫ってきました。困った父は嫁入りの支度を理由に、三日間引き伸ばしますが、遂に約束の日となり、男は再び現れました。家の戸を堅く閉めて閉じこもった父娘に腹を立てた男は、本性を現して大蛇の姿となって雨戸を破壊するほど荒れ狂います。 その間、娘はひたすら観音経を誦えて、父母は恐怖で身を縮めていましたが、その時、輝く光と共に観音菩薩が現れて、「恐れることはない、お前達の娘は慈悲の心深く善良な行いを心掛け、又私を信じて疑わない。私がこの危難を除いてやろう」と語って消えます。
やがて外の物音が聞こえなくなりました・・夜が明けてみると戸外にはハサミで寸断された大蛇と、無数の蟹の死骸が残されていました。家族は観音菩薩の御加護を感謝して、戦って死んだ蟹と蛇の霊を弔うために一堂を建立し観音菩薩を祀り、蟹満寺と名づけられたという伝説です。現在、蟹満寺にはこの仏教説話から造られ他と思われる聖観音菩薩像が観音堂に祀られ、本堂にはこの説話を絵にした額が展示されています。





かって大寺院だった蟹満寺は、現在は普通の小さなお寺という印象です。しかし、国宝釈迦如来坐像という素晴らしい寺宝を持ち、京都府南部地域の寺院としては浄瑠璃寺や岩船寺、海住仙寺、観音寺、一休寺(酬恩庵)等と共に必見寺院のひとつとして有名な存在です。

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閉じる コメント(8)

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蟹満寺、とても懐かしく拝見しました。
昔は、修学旅行で京都から奈良へ、木津川に沿って来て、平城山へかかる手前で
バスガイドさんが、この蟹満寺の乙女とその由来を説明するのが普通でした。
春先には筍弁当を出していたことがありましたが、今もやってるのしょうか?

2009/5/1(金) 午後 6:40 [ tsu**a85 ]

ご訪問ありがとうございます。京都市周辺の寺院というのは、ガイドブックに出ていない場合も多く、蟹満寺も国宝仏があるにもかかわらず、京都市内の人でも訪れたことの無い人も多いようです。でも、仏像ファンは必見の寺院ですね。私もそれほど馴染みの無い地域なので、筍弁当とかやっているのか知らないのですが、また機会があれば訪れてみたいです。

2009/5/1(金) 午後 10:41 [ hir**i1600 ]

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蟹萬寺 これから 行きます
京都からの 一番良い交通手段 お教えいただけますか?

2009/7/11(土) 午後 1:53 [ bun*ib*4* ]

京都駅から、みやこ路快速で玉水で、奈良線普通に乗り換えて棚倉駅下車(または、京都から奈良線普通で棚倉駅下車)で、棚倉駅からまっすぐ北上すると行き止まりになるので、左に回り込んで天井川の不動川を越えれば、後は田畑の中で遠望できるJR線の東側の道に戻って北上すればすぐです。

2009/7/12(日) 午前 8:51 [ hir**i1600 ]

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御教えいただきましたが あまりの暑さで 新ほうその 駅からタクシーで行きました 残念ながら 工事中で中には入れませんでした
気候のいいとき さいど 棚倉から歩いてみます。

2009/10/7(水) 午後 1:41 [ bun*ib*4* ]

工事中とは残念でしたね。のんびりした雰囲気が良い棚倉なので、また、機会があればご訪問ください。

2009/10/12(月) 午前 11:02 [ hir**i1600 ]

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僕は蟹満寺のちかくに住んでいますが、棚倉駅からは結構遠い所にありしかも、道もとても細くて迷いそうになります。今は工事が終わりとてもきれいになっています。
今書いても見ている人はいると思いませんが見た人はぜひきてください。

2012/1/8(日) 午後 9:58 [ AK-&) ]

なぜ、道に迷いながらも仏像ファンは、蟹満寺に向かうのか・・もちろん、京都有数の国宝仏があるからですね!
京都の一般観光ルートからは外れがちですが、日野法界寺(京都市伏見区)、宝菩提院願徳寺(京都市西京区)観音寺(京田辺市)、浄瑠璃寺(木津川市)等と共に仏像ファンは必見の寺院です。

2012/1/12(木) 午後 2:33 [ hir**i1600 ]


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