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観光名所とはいえない企業施設的な史跡ですが、デパートの三越や三井グループの元となった越後屋呉服店の京都本店の跡を採り上げます。(尚、半年程前の写真を使っています。)
中京区衣棚通夷川下る大恩寺町にある三井越後屋京本店記念庭園は、江戸時代に三井高利が創業した越後屋の京都本店跡地に整備された小さな庭園です。
三井財閥の基礎を造った三井家の祖・三井高利(1622〜94)は、伊勢松坂の生身で、延宝元年(1673)に、江戸本町一丁目に借家して呉服店を開業し、屋号を越後屋(後に三越)としました。
同時に京都室町通薬師町の東側北寄りに呉服仕入店を設けています。店はその後南寄りに再度移転し、元禄四年(1691)頃、同町西側に家屋敷を購入して、前者を東店、後者を西店と称し、両店を京本店として商売を行いました。
後に越後屋の成功により店が手狭となったため、宝永元年(1704)、室町通二条上る冷泉町西側に間口八間、奥行き十八間の屋敷を買って移りました。そして、旧京本店の西店は三井創業の功臣・中西宗助に、東店は同じく小林善次郎に賞与されましたが、後にこの両店は三井家が再び買い戻し、昭和十六年(1941)の三井不動産株式会社の創立時に、三井不動産がこの土地を継承して現在に至っています。
一方、冷泉町京本店は、正徳年間(1711〜15)以来、隣地を次第に買収して衣棚通夷川下る竪大恩寺町東側まで敷地を広げました。そして、明治以降も三越京都支店として存続し、昭和五十八年(1983)には九百五十余坪に達していました。しかし、同年二月に同支店が廃止され、同敷地も第三者に譲渡されることになりました。
この時、三井不動産は、その土地の一部、六十八坪を特別に三越より譲り受けて、越後屋京本店の記念公園を造って、宝永以来二百八十余年に及ぶ三井創業の地を伝承させることにしました。
尚、公園内には小さな社があります。これは、この地に越後屋京都本店時代から祀られていた三国稲荷大明神です。
この稲荷神は、昭和五十八年(1983)二月に、三越が洛東の真如堂(ブログにも登場しています、紅葉の名所)の塔頭・法伝寺に一旦遷座しましたが、三井不動産が、三井各社や近隣有縁の人々の商売繁盛・安全息災を祈念して、昭和六十年(1985)二月、庭園の竣工を機に再びこの地に勧請崇祀したものです。
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