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常照皇寺の続きです・・・・。
山奥にある寺院と言えば、山岳修行の厳しさを感じさせる寺院が多いですが、常照皇寺は京都市内でも最北端に位置しながらも、皇室ゆかりのお寺らしい雅な雰囲気が漂っていることが最大の魅力です。
境内周辺は、古くから寺の所有林として豊かな自然が保持されて来た地域で、ツガ、モミ、五葉松等の林に覆われていて、京都府の歴史自然環境保全地に指定されています。(12,000平方m)
この自然の豊かさと京風の優雅さが適度にマッチしているお寺は、京都でもそれ程多くない気がします。白洲正子さんが「かくれ里」の中で、このお寺を気に入って採り上げているのもその辺りのことがあるのではないかと思います。
さて、庫裡から書院を抜けて方丈から庭を拝見します。
まず方丈の背後の裏山斜面に多数の石組を積み重ねた庭が造られています。(写真)
またこの裏山には、「旧光厳法皇 巡遊路」といって、創建当時に光厳上皇が歩いたという約1キロ程度の自然散策路が整備されていて、1周約30分のコースのようです。
ようやく桜です・・・常照皇寺には境内に「九重桜」「御車返しの桜」「左近の桜」の3つの名桜がありますが、開花時期がずれる為に3本全てを満開状態で見ることは出来ないです。
今回は天然記念物指定の九重桜が散り始めで、緑が目立ったのは残念でしたが、その他の桜は綺麗に咲いていました。
一番有名な「九重桜」は、種類は江戸彼岸桜で、根元の周囲4.4m、周囲3.6m、樹高10m、最大枝張り11m、枝回りが最大20mあるといわれる美しい巨木の枝垂桜です。枝が長く垂れてまるで花のシャワーのような見事さです。
この京都屈指の名木を目的に多くの人々が集まりますが、それもそのはずで、この桜は樹齢約630年という驚異的な古木で、南北時代にこの山里へ隠棲した光厳天皇の厳しい暮らしを慰めるため、皇弟光明天皇が都から持参し共に手植えしたものと伝えられ、国の天然記念物に指定されています。(善峰寺の遊龍松、太田神社のカキツバタ群等と共に京都府下数少ない国指定天然記念物)
開花時期は毎年4月中旬頃ですが、元々花が小粒で繊細なのに加え、さすがに老いて開花時期も3〜4日程度と短くなってきているので、ピーク時を見られるのは運次第、また開花情報の収集も大切のようです。しかし葉桜でもやはり趣があります。とにかく必見の桜と言えるでしょう。(写真)
また、方丈前の「御車返し(みくるまがえし)の桜」は、一重と八重が一つの枝に咲くという豪華な桜です。こちらは樹齢約400年、江戸初期の後水尾天皇がその美しさに魅かれ何度も車を返して、別れを惜しんだと伝えられます。こちらも老木で衰えがありますが豪華な花を咲かせていて安心しました。(写真)
もう一つの名桜は、「左近の桜」で、こちらは岩倉具視が京都御所紫宸殿の「左近の桜」より株分けし手植したと伝えられます。(写真)
一つひとつの老木の歴史が、近年植えたその辺りのソメイヨシノとは違う年月の重み、格調を感じさせます。毎年ここを訪れて、これらの老木の無事な姿を見守って、自分の人生に置き換える方もあるというのもわかる気がします。
その他境内には舎利殿や開山堂(怡雲庵(いうんあん)があり多数の仏像と位牌が納められています。(写真)周りには石楠花も咲いていてこの小さな山寺に相応しい優しい雰囲気が漂っていました。
最後に、境内に隣接する光厳天皇の山国御陵、寺域を拡大した後花園天皇の後山国御陵を参拝しました。(写真)
山里らしい常照皇寺の素朴な茅葺きの方丈や開山堂と、桜の花の対比は素晴らしく、また紅葉も見応えがあります。JR京都駅から1時間20分程度かかりますが、それだけの価値のある(特に春は必見)お勧め寺院です。
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