京都を感じる日々★古今往来Part2・・京都非観光名所案内

京都を感じる日々★古今往来part1・・京都非観光名所案内のニューバージョンです。

左京区

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駒井家住宅その3

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駒井家住宅の最後です。
(今回の写真は二階部分と、二階から眺めた庭園の様子。そして庭園と温室等です。)


さて、駒井家住宅(駒井卓・静江記念館)ですが、外観は当時アメリカで流行していたアメリカン・スパニッシュ様式を基調にした木造二階建てで、建坪は約三十坪です。三十メートル四方の敷地の西よりに建てられ、比叡山や大文字山が一望できる東に庭を設けています。その北側には五坪程の付属屋と書生部屋として使われていた約十坪、二階建ての離れ、そして故駒井博士が研究のために造らせた小さな温室があります。

アメリカン・スパニッシュ様式とは、元々スペインから北南米のスペインの植民地に伝わり、二十世紀初頭のアメリカでリバイバルしていたもので、ヴォーリズによって日本に伝えられたものです。日本でも昭和初期にこの様式は流行し、ヴォーリズもこの様式の数多くの住宅を設計しています。
スパニッシュ様式は本来、スペイン瓦と呼ばれる丸瓦を用いますが、駒井家では日本の伝統的な形式の桟瓦を使用しています。尚、当初の設計図面ではスペイン瓦を用いた外観が描かれていることから、施工段階で何かの理由で変更されたものと考えられています。


屋根は切妻屋根の赤色桟瓦葺、外壁はモルタルのスタッコ仕上げにで、洋風住宅の一角に和室を設けた折衷的な間取りになっています。
内部は、玄関を入った一階の玄関ホール、その右に六畳和室(建物中で唯一)があります。正面が居間で、その左部分が食堂、右は当時日本では珍しかったサンルームです。
そして、庭に突き出して東にテラスが設けられ、階段下にトイレ、食堂の北に台所、ホールの北に浴室と洗面があります。また、離れの西に、洗濯室が設けられ、離れの南は日本ナショナルトラストの事務室になっています。
二階には主寝室、寝室、書斎、サンルーム、二階用トイレ(当時はまだ珍しい)があります。全体として和洋折衷で、それ程広くは感じませんが、現代のマンション等のように家屋の全ての収納スペースを埋め込み式にして空間の有効利用を工夫しています。(温室、離れ、事務室以外は文化財登録部分です)


玄関の扉の上には、ヴォーリズが良く用いた半円型(孔雀形)アーチの飾り窓があり、アクセントになっています。室内の意匠にも色々な特徴があります・・ホールの階段の曲線は造形的にも優れていて、階段上の大きなホールのガラスは、その一部が割れて新しいものに変えていますが(建築当初と、同じガラスは今では入手不可能のようです)、西日で黄金色に輝きます。
ピアノや蓄音機のある居間には、腰掛付きの出窓があって、実用と同時に居間全体のアクセントになっています。また、広く外光を取り入れられるサンルームからは、西洋松をはじめとした庭木が眺められて、素晴らしい寛ぎのスペースだと感じます。


掘りごたつのある和室の出窓は、外部からは上下式の洋風窓の外観ですが、内部には障子や欄間障子を入れて、洋風の外観と和室の意匠を融合させています。さらに和室とサンルームは襖で仕切られているだけで自由に出入りできますが、襖の両面の意匠を和洋で変えているので、一見部屋が通じていることに気づかない工夫がなされています。
ドアノブは、社交的な空間とプライベートな空間の違いがわかるように紫と透明クリスタルの色で分けていて、これも静江夫人のアイデアということです。台所では、大型の上下式のガラス窓の下に流し台を置き、収納にも考慮した合理的な造りになっています。

二階の階段を登ってすぐの客用寝室は、現在は博士のコレクション等の展示室となってます。また、博士の書斎は、本の日焼け防止のために、ピンクのカーテンが閉じられています。また、主寝室の作り付けのワードローブの床は、隠し金庫になっていたり、ギアを回すと屋根裏の収納スペースの梯子が現れるなど、当時としては斬新なアイデアが用いられています。そして、明るいサンルムールからは、正面に西洋松が眺められ、二つの寝室からは比叡山や大文字山も眺められます。



さて、駒井家住宅は、黒澤明監督の昭和二十一年(1946)の映画「わが青春に悔いなし」のロケ地にもなり、駒井卓博士と静江夫人の死後(昭和四十八年(1973)以降)は、遺族の関係する研修保養所として用いられました(この間に住宅は一部改築されています)

しかし、平成九年(1997)の閉鎖後は建物の将来を巡って模索が続きました・・一時は、当時の管理人らが建物を借りて、ミニコンサートや美術展などの会場にもなりました(近所の住民からの苦情も有り取りやめになったらしいです)そして、平成十年(1998)に京都市の有形文化財指定を受けて保存されることとなり、平成十四年(2002)に、所有者の駒井喜雄氏とその家族が、土地と建物を文化財保護に取り組んでいる財団法人日本ナショナルトラストに寄贈して現在に至ります。

尚、昨年暮から、東京に事務局のある日本ナショナルトラストが、距離的に管理困難となり公開を中断していましたが、ヴォーリズ設計の六甲山荘(神戸市)を保存公開している西宮のNPO法人「アメニティ2000協会」との共同運営により、この三月下旬から再公開されました。(公開は、毎週金・土曜日の10時から16時 大人500円)  


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