音選街

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追憶日記

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高倉健


訃報は職場で聞いた。

『健さんが?』

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日本を代表する俳優の高倉健さんが10日

悪性リンパ腫の為に都内の病院で亡くなった。

83歳だった。

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☆高倉健(おだ ごういち)1931年2月16日生まれ
福岡県中間市出身 180cm B型

僕の中で健さんと言えば子供の頃水曜ロードショーで見た

『幸福の黄色いハンカチ』

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演技に余計なテクニックは要らない。最少限の言葉と動きが芝居の真骨頂であり

本番は1テイクしか撮らせなかったという健さん。

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『映画はその時によぎる本物の心情を表現するもの

同じ芝居を何度も演じる事は僕にはできない』

アーティストで言うならば、レコーディングを毎回一発録りしてるのと同じである。

有名なのが『幸福の黄色いハンカチ』のこのシーン。

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刑務所から出所してきた健さんが食堂でコップに注がれたビールを一気に飲み干し

深々とその味をかみしめ

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テーブルにやってきたかつ丼とラーメンを見つめ

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勢いよく麺をすするあの食べっぷり!

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凄くリアルだった!

山田洋次監督も絶賛した1テイクOKの場面で、このシーンの為に健さんは

2日間何も食べずに撮影に臨んだんだそうだ。

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健さんは一旦役が決まると、その物語の舞台となる土地について書かれた本を読み

撮影の前には必ず現場を自分の目で確かめに行くというこだわりで

ある撮影現場では雨が降ってる中、傘もささずにずぶ濡れになりながら

下見にやってきた健さんを見て、驚いたスタッフは全員差していた傘をその場に投げ捨てたという。

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そんな健さんが武田鉄矢を諭すシーンで言ったセリフがいい。

『いいか!おなごちゅうもんは弱いもんなんじゃ。

咲いた花のごと、もろい、壊れやすいもんなんじゃ。

男が守ってやらないけん。大事にしてやらないけん!』

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『聞いとるんかコラ!』

『ハイ!』

ドスの効いたコラ!にこっちも背筋が伸びました。

他の役者さんやスタッフが仕事をしているのに自分だけが休憩するのは申し訳ないと

決して椅子には座ろうとしない健さん。

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食事の際、自分だけ豪華な料理が用意されると

『自分もみなさんと同じにして下さい』

と、スタッフと一緒のものじゃないと手を付けない健さん。

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薬師丸ひろ子がデビュー作の『野性の証明』で共演した時、健さんの所に挨拶に行こうとすると

『高倉です!よろしくお願いします!』

と、14歳で無名の子供に対して直立不動からの礼をして挨拶をした健さん。

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絶対的な映画界の大御所であるにもかかわらず、スタッフや裏方さんはもちろん

エキストラの人に対しても礼儀正しく真摯な態度で接し

握手する時は必ず両手で相手の手を包み込むようにするんだそうだ。

こんな人、二度と出て来ないでしょうね・・・。

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映画の相手役を務めたのは

昭和の女房を演じさせたら右に出る者はいない

倍賞千恵子。

刑務所に入った健さんが離婚を切り出すシーン。

『俺の名前の横にお前の名前書いて、ハンコついてそれ市役所に

持って行けばそれでいい

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『それでオレとお前は赤の他人だ』

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『あんたって・・・勝手な人だね・・・』

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『一緒になる時も・・・別れる時も・・・』

一度は別れた2人だったがこの映画の最大の見どころは

倍賞千恵子が健さんの帰りを待ってるかどうか。

その目印が黄色いハンカチというのがいい!

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『ひょっとしたら引っ越したかもしれないな・・・』

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『勇さん・・お菓子やさんの前よ』

『その先左に曲がると・・・フロ屋があるはずだ』

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『あれかな・・フロ屋・・・』

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『勇さん・・今ね、フロ屋の前にいるんだけど・・』

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『ほら!アレ!!』

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『勇さん!』

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『ほら、見て見ろホラ!』

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『なんだかわかる?』

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『ハンカチよ!!』

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『ホラ、ちゃんとあったじゃないの!』

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ラストで風になびくたくさんの黄色いハンカチを見た瞬間

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こんなに涙が出るのかと、思ったくらい止まらなかった。

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いつものように洗濯を干してるところに健さんが帰ってくる。

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抱き合うワケでもなく

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少し見つめあい、健さんのカバンを受け取り

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泣き顔をさっとエプロンでおさえる倍賞千恵子。

これがいいんだ!!

セリフは一切なく、全て遠くからのカットのみという場面だが

不思議な事に健さんと倍賞千恵子の会話が聞こえてくるのだ。

これが『幸福の黄色いハンカチ』の一番凄い所かもしれない。

子供の頃は家の中に入って行く健さんと倍賞千恵子で映画は終わってると思いこんでいたが

大きくなって改めて見てみたら、本当のラストシーンは

武田鉄矢と桃井かおりのキスシーンだった。

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これが山田洋二監督の凄い所!

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『人に裏切られたことなどない。

自分が誤解していただけだ』

天国で奥さん(江利チエミ)と会えてるといいな・・・・・

ご冥福をお祈りします。

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閉じる コメント(8)

しろしさんの記事を読んで、朝から感動したマカロニです。

感動して、仕事したくなくなりました。
出勤前に読まなければ良かったです(笑)

2014/11/20(木) 午前 7:33 [ マカロニ ]

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この時(幸せの黄色いハンカチ)の武田鉄矢は俳優成り立ての云わば素人。何度もテイクを重ねながら最後の撮影が武田鉄也が涙を流すシーンで演技で涙が流す事の出来なく何度も取り直しをしてスタッフも呆れかけた所に健さんが武田鉄矢の所に歩み寄り、耳元で『色々有難う! 楽しい撮影が出来たよ・・・』と感謝の言葉を囁いたら武田鉄矢は号泣しそのまま撮影に入ってOKが出たエピソードを先日ラジオで聞きました。
すごい人です。
ご冥福をお祈りします。

2014/11/20(木) 午前 8:59 [ toc*ito*hib**g ]

私の記事で感動して頂いたとはビックリです。
マカロニさんのコメントに感動します(笑)
『駅』も捨てがたい名作でしたが、一つだけ挙げるとするなら
やっぱり『幸福の黄色いハンカチ』ですね。マカロニさんにとって
健さんと言えば何の映画ですか?

2014/11/20(木) 午後 7:20 [ しろしです。 ]

そんなエピソードがありましたか・・・
感動ですね・・・。
武田鉄矢は『母に捧げるバラード』が大ヒットした後、ヒット曲が出ず
印税も使い果たして奥さんと2人で皿洗いのバイトをするほど
生活に困っていたそうです。そんな時にオファーが来た仕事が
『幸福の黄色いハンカチ』だったんですよね・・・。
モアイ像みたいな顔して当時売れっこだった桃井かおりとキスできるなんて
羨ましいです!toc*ito*hib**gさんは健さんと言えば
何の映画ですか?

2014/11/20(木) 午後 7:42 [ しろしです。 ]

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> しろしです。さん
私の時代は網走番外地が小中学校頃で、地元に東映の映画館が在ったのですが怖くては入れませんでした。
好きな映画は『居酒屋兆治』『夜叉』『鉄道員』ですかね!脇役の方々の素晴しい演技が印象的でした。DVDでも何度も借りてみましたね!
所で『北の国から』の95年頃の年一のドラマで主役の純が94年にF-1でアイルトン・セナが事故で亡くなり悲しんで涙を流したとのドラマ筋書きで、セナで泣いている・・・・・であだ名が『唐獅子』ってオチでした。

2014/11/20(木) 午後 8:08 [ toc*ito*hib**g ]

『背中(せな)で泣いてる唐獅子牡丹』ですね!
脚本家の倉本聰さんはプレゼントのお返しを絶対に受け取らない
健さんに『駅』の台本にリボンをつけて誕生日に送ったそうです。
そしたら『ぜひやりましょう』と。二人とも粋ですよね・・・

2014/11/20(木) 午後 10:18 [ しろしです。 ]

はは。感動して頂き、ありがとうございます。
マカロニは健さんの映画を観たことがありません。
その代わり、健さんは無類の時計好きで、マカロニと共通する面が好きです。
共演者に時計(ROLEX)を贈ると聞いています。

2014/11/20(木) 午後 11:59 [ マカロニ ]

健さん映画の初心者であれば『ブラックレイン』なんかおすすめです。
松田優作が犯人役で健さんは刑事役で出ています。
ちなみに僕は『007』シリーズを未だかつて一度も
観た事がありません(笑)

2014/11/21(金) 午前 2:02 [ しろしです。 ]


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