音選街

音楽を中心に勝手にレビューしてます

追憶日記

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『ビート・チャイルド』と聞いてわかる人が何人いるだろう。

今から26年前の1987年8月22日、23日の2日間。

熊本県にある野外劇場アスぺクタのこけら落としろして行われた

日本初のオールナイト・ロック・フェスティバル!

事務所やレーベルの垣根を越えて集まったアーティストは

ザ・ブルーハーツ、レッド・ウォーリアーズ、BOOWY

尾崎豊、白井貴子、ハウンドドッグ、ストリート・スライダーズ

岡村靖幸、渡辺美里、佐野元春・・・・

もうこの先、同じステージに立つ事等万が一も無い超豪華なアーティスト達。

当初は3万人の予定だったハズが最終的には7万人を超えていた。

その様子を伝える記事がありますので引用させて頂きます。

以下は『パチ・パチ・ロックンロール』

11月号の記事で文は藤沢映子さん。

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せっせとバイトをしてお金をためた奴

18歳未満は保護者同伴という条件に親を説得した奴。

サマーキャンプだと嘘をついて家を抜け出した奴

お盆休みを返上して休みを振り替えた奴。

様々な人達が南阿蘇のアスペクタを目指して全国から集まった。

その数ざっと8万人!

それは今世紀最大の最高のロックイベントになる予定だった。

キャッチコピーには

『夏、星空、ダンス、涙、笑い、出会い、火山、大草原、ロックンロール』

という文字はあっても、『雨』という文字は予定には無かった。

ステージはから客席最後列までは約1キロ。

巨大なステージも最後列からは10円玉くらいの大きさにしか見えない。

1回目の雨は、開演前に襲ってきた。ポツリ、ポツリと大粒の雨。

それは傘をさす間もなくドシャ降りのスコールになった。

通路という通路が川と化しステージ付近は濁流の渦・・・・。

しかし、山の天気は変わりやすいとは良く言ったもので

雨は夕立のように30分でピタリと止み

大イベントの幕は切っておとされた。

午後6時ジャスト。

トップを切って、ザ・ブルー・ハーツが登場。

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『俺たちは絶対せこいステージはやらんけん!

みんなもせこいノリするなよ!』

というヒロトのMCに、ドォーッと沸く客席。

足場がぬかるんで悪いのに、泥なんかおかまいなしに踊り出す。

これから12時間もの長丁場・・・体力をセーブしておこう・・・

なんて発想は次々に登場するアーティスト達がそれを許さない。

『まるでウッドストックみてえだぜ!』

ステージからレッズの田所豊が叫んでいた。

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午後8時半すぎ。

白井貴子のセッティングが始まった頃、とうとうドシャ降りがやって来た。

ステージの上のスピーカーをビニールシートで隠そうとするが

激しい風雨で思うようにいかない。

せめてキーボードとドラムセットだけでもとテントが組まれる。

10分、20分、30分、40分……。

客席の足場もぬかるみから泥沼へと変わり

一歩踏み出すたびにクツが泥にとられて脱げそうになる。

とうとうハダシで歩き回る奴もいた。

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約1時間遅れでようやく白井貴子の姿がステージに現われた。

1曲目でギターとベースの音が出なくなった。

ドラムの音だけを頼りに歌う。そのうち足元のモニターも壊れ

白井は自分の声が聞こえない状態でライブを続行した。

音響が何度もトラブルを起こし、そのたびに曲と曲の間が開く。

『みんな寒くない!』

『後ろのほう聞こえてる!』

観客を気使い、自らバケツ一杯の水を頭からかぶって

ファイトを見せる。

客席の迷いは、この瞬間に吹き飛び

再びビートの中へと突入した。

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前半のトリとしてハウンド・ドッグが登場した。

アクシデントにはめっぽう強い彼らの登場は

前半で一番の歓声をもって迎えられ

豪雨も、寒さも、泥沼も、きっと彼等なら

忘れさせてくれるという期待が込められていた。

『こうなったら、とことん降ってもらおうじゃねぇか!』

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『こんな山ん中に8万人もの人が集まるってことは

大変なことなんだぜ!

これからは、俺たちロックの時代が来るんだよ!

今日が俺たちの、そしてここにいるキッズたちの

ロックンロールの夜明けだぜ!』

大友の力強い声は雨の中をつき抜けた。

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日付が変わった23日、午前一番で登場したのは

既に解散が決まっていたBOOWY。

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最強のリズム隊も、雨でパコパコという音になり

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エフェクターなしの布袋のギターはいつもの華麗さに欠けた。

しかしいい曲は

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雨に負けない!

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自分のジャケットを彼女にはおり、肩を強く寄せ合いながら

リズムをとるカップル。

ランニング1枚でプッツン切れて躍り狂う少年たちの一団。

ビニールのゴミ袋に穴をあけて頭からかぶっている少年。

全身泥だらけでも『ヒムロック!』と叫んでいる少女。

BOOWYが終わったあたりから、急激に気温が下がり始めていた。

同時に救護テントに運ばれる人の数が増え始める。

くちびるをまっ青にして、泥の中にうずくまる少女。

木の机にもたれかかりながら眠る少年。

雨は容赦なく打ちつけていた。

状況は、極悪だった。

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時折くる横なぐりの雨が、カッパの内側に入り込む。

もはやビニール1枚のペラペラのカッパなど

着ていてもいなくても同じだった。

意図的にロックンロール・ナンバーばかりを

たて続けに演奏するスライダーズ。

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ハリーも蘭丸も、1曲目から髪はペシャンコ。

いつもは決して見られないなりふりかまわぬ姿が

熱いビートが、何かを支えていた。

救急車が次から次へとステージサイドに到着しては人を運んでいく。

救護テントはまたたく間に一杯。

ステージ下の本部も、まるで難民収容所と化していた。

そんな中、尾崎豊が登場。

アコースティックギター1本の弾き語りから始まった。

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その時、いきなり会場は暴風雨に見舞われた。

横なぐりの雨が、歌う彼の頬に打ちつける。

小倉から車で仲間3人とやってきた二十歳の女の子は

仲間の1人の気分が悪くなり、その付添いで

もう1人も車に戻るといい出した為引き返していた。

会場にひとりで残るのが心細くて、つい仲間に付いて戻ってしまった彼女

車の中にかすかに届いて来た尾崎の歌を聞いた時

彼女は後悔が止まらなかった。

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『ひとりって言ったって、まわりには何万人もの人達が

同じ雨に打たれてがんばってたのに

私の尾崎に対する気持ちは、この程度のものだったのかって……

私は雨に負けたんじゃなく、自分に負けたんです』

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午前3時すぎ。疲労、空腹、悪寒・・・

すべてのピークを迎えようとしていた時刻に

渡辺美里はステージに上がった。

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『みんな、もうちょっと頑張れる?』

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『震えなのかビートにのっているのか、足の感覚がマヒしてて分らなかった』

『気力をふり絞って、それでも眠くて立ったまま眠ってた』

『意識の外で口が勝手に動いて歌ってた』

『コンサートは朝までこのまま続行します!

気分の悪くなった人は、我慢しないで申し出て下さい!』

主催者側から何度も繰り返されるアナウンス。

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中止はあり得なかった。

雨もビートも止むことなく11時間が過ぎようとしていた。

夜が白々と明け始めた頃、オオトリで佐野元春が登場した。

もうファンであるない、好き嫌いを越えたところに

あるひとつの感動を生んだ。

夜明けの空に向かって、8万人に向かって歌う『SOMEDAY』

雨はほとんどやんでいた。

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この夜、救急車で運ばれたり、救護テントや体育館に

身を寄せた人の数は500人余りにものぼった。

阿蘇測候所の調べによると、この間の降雨量は71、5ミリ。

ちょっとした集中豪雨並みの雨量だった。

自家用車で来た人以外は、途中で帰りたくても交通手段は一切ない。

雨に打たれ、泥の中に立ちっ放しでいるしかなかった。

出演を終え、バスに乗り込むアーティストが言った。

『僕らは1時間濡れているだけだけど
客席はずっと濡れっ放しなんだよね。
とてもじゃないけど
ここにいて暖かいお茶を
飲む気分にはなれないよ』

23日の昼・・・。

熊本駅、空港は、泥だらけの若者たちであふれかえっていた。

事情を知らない大人たちが、けげんな顔でその集団を振り返る。

『思わずどうだ!って胸を張りたくなった。

だって、私たち泥んこはみんな

ビート・チャイルドなんだもん!』

と、いうワケで、今回が最後の上映でDVDも発売されないという事で

映画『ベイビー大丈夫かっBEAT CHILD1987』を観てきました。

80年代を突っ走ったアーティスト達の絶頂期のライブ映像を

堪能するつもりの軽〜い気持ちで見に行ったら

とんでもなかった!

壮絶ライブの完全ドキュメンタリー!

これでもかと止まない雨

疲労困憊のスタッフ

ボロボロの観客・・・・

こんな地獄絵図のような状況で

アーティストが見せる最高のパフォーマンス!

今、こんな豪雨が降ったら即中止である。

続行したらしたで、社会的責任を追及されてしまう。

あの時代だったから出来たのかもしれない。

最後に主催者のハートランドの春名源基さんが出て来てこう言った。

『すいませんでした!あの日にしたのは

私の誕生日だったからで・・・』

TV放送、DVD化、ネット配信、一切ナシ!

まさに今世紀最低で史上最高の

ロックコンサートでした。

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