幡野広志のブログ

写真家、猟師。 2018年3月 noteに移行しました、https://note.mu/hatanohiroshi

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訃報というのはいつも突然だ。
叔父が亡くなった、僕の父の兄で石材店の二代目だ。

80歳を過ぎていたのにもかかわらず、病気知らずの健康体だったので本当に驚いた。

昼食に好きな蕎麦を食べたあと、コタツで昼寝をしていたそうだ。
そしてそのまま眠りながら亡くなったらしい。
死因は分からずじまいで結局、急性心不全ということになった。

好物を食べて、眠るように死ぬというのは多くの人が望む最後だ。

人は死に方を選べない。
仕事柄いろいろな死に方を見聞きしてきたが、叔父は幸せな亡くなり方をしたと思う。

親族しかいない納棺中は笑顔が多いというか、わりと笑い声と笑顔が絶えない感じだった。

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姉の結婚式で叔父を撮影した記憶があったので、データを探してプリントして渡した。
写真はつねに撮影しておくものだなって思った。

わざわざプロに撮影してもらうとか、写真館とかで撮る必要はないと思う。
スマホやデジカメが普及しているんだから、いつでも撮ればいいと僕は思う。

納棺師を描いた映画「おくりびと」と同様に納棺師の方が納棺作業をする。
映画同様に所作が美しい。

生前吸っていたタバコを一緒に入れてあげる。

家族は全員叔父がタバコを吸っていることを知っていたが、叔父はタバコを吸っていることを隠していた(つもり)。

喫煙中に家族が近くを通るとサッと隠したらしい。
だから棺にも隠すようにタバコを入れてあげた、粋だ。

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男性陣が叔父を持ち上げて棺に移し、女性陣が白い布を叔父にかけてあげ、棺に花をいれる。

布を掛けているときも「布外したら手品みたいに、いなくなっていたら面白いよな、ガハハ。」
「本当は生きてて笑いながら裏からでてくるんだ、あっはは。」みたいな笑いが常に溢れる。

ちなみに花をいれている写真の彼は泣いているのではなく、笑っているんです。
不謹慎でもなんでもなく、心から笑顔で送ることができる。
叔父は本当に幸せだ。

棺のふたをしめて出棺。
孫が遺品のサングラスをかけてお見送り。
僕はこういう人が好きだ。

叔父の孫たちはちょうど思春期の子が多い。
僕は思春期ぐらいの時期に「死」というものに触れておいた方がいいと思ってる。
それが身近な人であればあるほどいいと思ってる。
身近な人の死は人を思慮深くしてくれる。

いまの社会はあまりにも「死」から目をそらしている気がする。

不謹慎や縁起でもないという呪いの言葉で「死」を見ることも意識することも、口にすることもいけないような空気がある。

人間は誰だっていつかは死ぬ、絶対に。

絶対にいつか来ることに向き合わない生き方は思考停止と変わらない。
思考停止した生き方なんて、死んでいるのと変わらない。

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お通夜まで時間があるので嫁とお墓参りにいってきた。

妊娠中は墓参りしちゃいけないとか、葬儀にでちゃいけないとか小言が聞こえてきそうだけど、僕はそんな迷信まったく信じない。

墓を見て嫁が「えっ、これ?これ?なんで?なんで?なにこれ?」と嫁は困惑気味。
そうだよね、多分ほとんどの人は理解できないかもしれない。

ホームセンターで売ってそうなブロック石で囲まれた敷地のなかにある、普通の石。

叔父が親の墓として建てたものだ、つまり僕のおじいちゃんおばあちゃんのお墓。

かなりDIY感がある、というかDIYらしい。
DIYってDo It Yourself.の頭文字なんです。

さっきもふれたけど叔父は石材店の二代目、石材職人です。
石材職人なら親の墓はすごいの建てそうじゃないですか?それがこれですよ。

叔父が亡くなった家族に似た石を近所の川原で探して拾ってきたものを置いています。

左の小さい二つは産まれてすぐに亡くなってしまった双子の墓石。
真ん中二つが両親の墓石。
右が若くして病気で亡くなった妹さんの墓石。

石材店が受注する仕事は職人として客が満足できるものを作り、自分の親兄弟の墓石は作品として制作する。

叔父の既存の墓石に対するアンチなのか、これが叔父がたどり着いた墓石の答えなのか。

僕はこの墓石に叔父のメッセージを感じずにはいられない。
本当にすごいと思う、立派な作品だ。
この墓を前にすると僕は興奮する。

いつかこの墓についての本音を聞いてみたいって思ってたけど亡くなってしまった、これが僕としては心残りだ。

僕以外の親族は「時間とお金が無かったからだ。」なんて言っていたが僕は絶対にそうは思わない。

本当に時間とお金が理由ならきっと時間とお金ができたときに建て替える。
並みの人なら世間体を考えて建て替える。

建てようと思ったらこの霊園で一番立派なものを建てられる。

きっといろいろな人に理由をきかれて恥ずかしかったのか、はたまた批判されたりして面倒だったのか、ちょうどいい答えが 「お金と時間」って答えたんだろう。

タバコを吸っていたことを隠すように、本当の理由を隠していただけだと思う。

叔父は僕のことを「幡野家から芸術家がでて嬉しい。」なんて言ってくれていたそうだ。

僕からすれば叔父の方が遥かに芸術家だ。多分一生追い抜けない。

僕からすれば幡野家にこんなすごい芸術家がいたのかと思う。

この墓の真相を聞けなかったのが本当に悔しい。
この後お通夜と告別式があるけど、その話はまたの機会に。


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あと宣伝です。

明日4月2日〜3日までの2日間ですが写真展に出展します。
鈴木心ワークショップ大写真展です。

僕が鈴木心のワークショップに通っていたのは2011年から1年間。
師匠のもとから独立したのも2011年。
だからちょっとおこがましいけど鈴木心は第二の師匠だったりします。

僕がこのワークショップで学んで、いまでもそれが生きているのは「考えること」です。
とにかく考えることの多いワークショップだった。

場所は福島県郡山市 郡山駅のすぐちかく郡山ビックアイ6階です。

ギャラリートークがいまから楽しみです。

2日17時から「なぜ僕らは死ぬのか」
3日13時から「なぜ僕らは生きていくのか」
3日15時から「なぜ僕らは写真を撮るのか」

この「なぜ?」の疑問と答えを模索する行為が僕は好きです。
いいですよね、写真うんぬんじゃないこのテーマ。

僕も2日間在廊します。
今週末はぜひ郡山で過ごしましょう!

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初めまして。いつもブログ拝見させて頂いていました。

実は私は昨年急に祖母を亡くしたのですがあまりに写真が

うちの葬式の雰囲気と瓜二つだったのでビックリしてしまいました。

写真を拝見しててその空気感に時間を忘れて見入ってしまいました。

僕も好きで写真を撮りますが今回は自分の写真が初めて遺影に

不謹慎ですが写真やってて良かったと思いました。

叔父様のお墓、もう凄すぎて何も言葉が出ません。

凄い叔父様だったんですね。

2016/4/1(金) 午後 5:36 [ swordfish ] 返信する

> swordfishさん
遺影に写真を使われるなんてすばらしいことだと思います。けっして不謹慎ではなくお祖母様もご親族も喜んでいるはずです。

2016/4/1(金) 午後 6:16 [ 幡野広志 ] 返信する

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