幡野広志のブログ

写真家、猟師。 ブログ内の写真の無断転用はお断りします。http://hatanohiroshi.com

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余命の話。

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多発性骨髄腫という聞きなれない診断が下された、血液のガンの一種らしい。

日本人の10万人に56人が罹患し、ガン患者全体では1%未満の罹患率。
ほとんどの患者が高齢者で30代で患うのは非常に稀のようだ。
現代の医学では治すことは不可能とされている、ガーン。

前々から知っているように書いてるけど、全てGoogleの受け売りだ。
治すことができないので延命治療ということになる。

ガンには14までのステージと呼ばれる段階があり、数字が増えるにつれて終末期になる。
僕はステージ3、なんだまだ次のステージあんじゃん!!って思ったけど医師から多発性骨髄腫はステージ3までしかないと教えられた。
つまり末期状態って言っても過言じゃない。そもそもステージ4まで無理やり定義しておいてよ。
次のステージはあの世になってしまった。

多発性骨髄腫は一昔前までは抗がん剤による延命治療を施して平均して3年の余命だ。

ご存知の方も多いと思うけど抗がん剤は苦しい、一部では“増ガン剤”なんて揶揄されるほどだ。
ガンって苦しんで死ぬイメージがあるけど、あれって抗がん剤の副作用で苦しんでいるからね。
ガンじゃなくて抗がん剤で死んでる可能性もあるぐらいで、治らない末期患者に使ってわざわざ苦しめる必要はない。

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耳でタコが産卵するぐらい「頑張って、一分一秒でも長く生きてくれ。」という旨の励ましを頂く。
抗がん剤の副作用で頭はタコみたいになり意識は混濁、チューブで胃に直接栄養を送りこみ、
下の世話もしてもらってベットから動けずに機械で生かされ最後に死ぬ人生に何の意味があるのだろうと考える。

一分一秒でも長く生きるというのはそういうことだ。

「いやぁ、そこまでじゃないんだけど。」って返されると思うけど、
その線引きは医師でも親族でもなく、患者に残された最後の権利だ。

ただ生きていることを目的にしても意味がない。
健康でやりたいことができ幸せな時間を過ごすことを目的にすべきだ。
幸せな時間を過ごすことが目的で、生きることや健康はそのための手段だ。

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「頑張って、一分一秒でも長く生きてくれ。」という気持ちは善意からだ。
「苦しめよ。簡単には死なせないぜ。」なんて悪意から来ているものではない。

同じタイミングで別々の人から同じお守りを頂いた、2人とも僕のことで涙を流してくれた大切な人だ。

長く生きてくれという気持ちを批判したいわけじゃない、僕だって妻や子どもが不治の病いになったら死んで欲しくないと願う。

これを紐解いていくと、この心理は“自分が悲しみたくない”というところに着地する。
自分が悲しみたくないから、死んで欲しくない。
本人の幸せを考慮したものではなく、実は利己的だったりする。

気持ちは理解できる、でも患者の立場だから肯定も否定もできない。
何が正しいか僕にも分からないけど、大切なのは患者の意思を尊重することだと思う。

写真撮ってないで、文章を書いてないで、手品を披露してないで寝てなさいと言われたら、それこそ死んでしまう。
危険なのは延命治療や死なせまいという気持ちが時として、生きがいを奪う可能性があるのだ。

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ここまで書いておいてアレだけど、それでも僕は抗がん剤を使う。
つい最近、新しい新薬が承認された。
3年だった余命が10年以上になるかも、もしかしたら23割はもしかしたら治るかも。”という外国の論文もある。
もちろん英語の論文は読めない、Googleの受け売りだ。

最初にも書いたけど僕のケースはとにかくめちゃくちゃ珍しく、国内に症例データが少ない。
治すことを期待して治療するのではなく、今後の医療に役立てるデータになると確信している。
僕は高齢者ではないので体力はある、おそらく抗がん剤で苦しむけど耐えることはできると思う。

20年前はガン患者本人にはガンということを告知をしないのが常識だった。
患者に心理的なショックを与えないためという配慮だ。

現在は本人に告知するのは常識になっている。
医師と患者が二人三脚で協力して治さないと乗り切れないためだ。

医療は進歩している、もちろん医療だけでなく日本の全ての分野で進歩している。
その進歩には必ず何かしらの犠牲が伴っている。
道路交通法が改正を繰り返し進歩しているのは痛ましい事故の犠牲者の存在のおかげだ。

いまは治らない多発性骨髄腫も20年後は治るガンになっているかもしれない。
未来の誰かのために役立てるなら素晴らしいじゃない。
もしかしたら日本で初めて治した人間になるかもよ。

自分にできることをする、ただそれだけ。

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こんにちは。いつも遠く離れたニューヨークからブログを拝見させていただいております。僕にも同じ年ごろの男の子がいます。そして血液内科医です。
今後の治療がうまくいき、こころとからだが満たされることを心から願っております。
僕自身、家族が出来て、子供ができて、そのたびに新しい人生が始まりそして価値観も大きく変わっていきました。ご自身の価値観で信じる道を進んでください。応援しております。 削除

2018/1/10(水) 午後 0:41 [ NEKOSUKE ] 返信する

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まさに自分の出来ることをする。

ただそれだけだと思います。

2018/1/10(水) 午後 0:49 [ swordfish ] 返信する

はじめまして、写真が好きで最近こちらのブログを知り拝見させて頂いております。

昨日体調が悪く仕事を早めに切り上げ普段帰らない時間に帰宅し、あまり見ないテレビをたまたまつけると「丸山ワクチン」という薬について放送していました。
放送を見ながらネットで調べ、もし自分の大切な人がガンを患ったら必ず選択肢の一つにして欲しいと思いケータイにメモりました。
(たまたま見たのも何かの縁とも感じました)

それで先ほど本日の記事を読ませてもらい、幡野さんの選択肢が増えるかもと思いコメントさせて頂きました。

投与するには多少手続きが必要みたいです。
詳しい事はグーグルにて。

まだ厚生省の認可は出ていない薬だそうです。
私は医師ではないので詳しい事は分かりませんが、仕事の関係で医療の内情は少し知っており、患者の事が最優先になってない部分が少なからずある事は知っているので、尚更自分の大切な人の時にはと思いました。

長文失礼致しました。
ブログこれからも楽しみしております。

2018/1/10(水) 午後 3:45 [ pho*ogr**her_* ] 返信する

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初めまして。
滋賀県の山村で医師をしております。
ホームレス小谷さんのシェアから、幡野さんのブログを知りました。ブログを読んでみて、冷静で観察力も鋭いけれど、ユーモアがあって人生を楽しまれている方、とお見受けしました。

わたしはがんは不治の病ではなく、身体と魂からのお知らせだと思っています。実際にそういった前提で患者さんに関わり、患者さんの長生きのお手伝いをしている医師も知っています。

長生きが必ずしも善、とは思いません。とにかく幡野さんがご自身の人生を満喫されますように。そしてもし、ご迷惑でなければ、一度お話を伺ってみたいです。
わたしのブログのリンクを貼っておきます。ご興味あれば、ご覧頂ければと思います。 削除

2018/1/10(水) 午後 9:07 [ あや ] 返信する

昨年の「ガーン」から読ませて頂いてます。故義兄も発症率0.01%以下の、医者が大挙して見に来る程特殊な癌の症例でした。

この先、癌がどう変化するにしても、幡野さんが最期まで尊厳を守れる様に祈ります。

2018/1/11(木) 午前 0:59 [ yu0*071**5 ] 返信する

>幸せな時間を過ごすことが目的で、生きることや健康はそのための手段だ。

>自分にできることをする、ただそれだけ。

まさにその通りだと思います。
自分のやりたい事を、できる範囲の中でする。

だから、闘病を頑張って下さいなんて言いません。

ただ負けないでいて下さい。

そうしていたら、日本で初めて治した人間になるかもしれませんね^_^

2018/1/11(木) 午前 1:13 だいくみや 返信する

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> NEKOSUKEさん
ニューヨークからありがとうございます。
まさに血液内科にお世話になっています、医療スタッフと薬を開発してくれた研究者に感謝する日々です。そして医療の進歩に貢献した何万という患者にも。

家族と患者の気持ちは必ずしも一致するわけでなく、尊厳死について考えさせられる日々です。それでも家族がいて良かったとも考えます。
ありがとうございました、また読みにきてください。

2018/1/11(木) 午後 8:52 [ 幡野広志 ] 返信する

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> swordfishさん
自分にできることを見つける作業からスタートです。
健康なうちに考えておいたほうがいいですね。

2018/1/11(木) 午後 8:53 [ 幡野広志 ] 返信する

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> pho*ogr**her_*さん

ありがとうございます。薬というのは相性があり必ずしも全員に効くものでもなく。バファリンがいいかイブがいいかロキソニンがいいかそれぞれなようにです。

未承認薬を高額で購入して治療するのもアリですが、まずは標準治療で担当医と力を合わせて頑張ります。

でも、有益な情報ありがとうございます。

2018/1/11(木) 午後 8:57 [ 幡野広志 ] 返信する

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> あやさん
滋賀県の山村で医師なんてすごいですね。
お話ししたいのは山々ですが、ちょっとガン患者には遠いですね
この山々は山村の山と掛けています。

2018/1/11(木) 午後 9:00 [ 幡野広志 ] 返信する

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> yu0*071**5さん

ありがとうございます。
義兄さんは医療の進歩に貢献されたのですね。
もしかしたらそのおかげで新薬ができたのかも。
そう考えるとみんなで治しているんですよね。

2018/1/11(木) 午後 9:03 [ 幡野広志 ] 返信する

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> だいくみやさん
ありがとうございます。
がん細胞は外部の細菌ではなく自分のもともと保有していた細胞です。
仲良く一緒に死にます。

2018/1/11(木) 午後 9:07 [ 幡野広志 ] 返信する

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はじめまして。
小児がんの子どもを持つ一児の父です。ブログを拝読しまして、本当に、そう思います。わが子のがんの治療の礎には、これまでの沢山のお子さんや親御さんの闘病と悲しみがあること、わが子の闘病が、この先の子ども達をいくらか救うデータとなること…おつらいことも多々あるかと思いますが、どうか、ご自愛なさってください。そして、ぜひ、生きられる限りご納得できる生き様でありますようお祈りしております。 削除

2018/1/12(金) 午後 1:55 [ せっちゃん ] 返信する

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> せっちゃんさん

コメントありがとうございます。
もし僕と息子が逆の立場だったらと考えると胸が苦しく、想像するだけで涙が出ます。

僕の気持ちというのは同じくガンで苦しむ本人や家族の方で、なおかつ受け入れて覚悟を持って立ち向かう方が本当の意味で理解してくれます。

医療現場だけでなく、ドラッグストアで売っている日用品のほとんどが動物実験を経て商品化されています。人間は食べるだけではなく、医療や日常のなかで様々な命の上で生かせてもらってます。

自分も生かせてもらったから自分も今度は役に立たせようと思ってます。

2018/1/12(金) 午後 3:19 [ 幡野広志 ] 返信する

> jun*o_a*a*a_9*3さん

詳しくお話を聞きたいです。
もし可能ならツイッターのDMかフェイスブックのメッセンジャーでお話聞かせていただけませんか?

たくさんメッセージ頂戴してますが、同じガンは初めてです。

2018/1/13(土) 午前 1:38 [ 幡野広志 ] 返信する

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