幡野広志のブログ

写真家、猟師。 2018年3月 noteに移行しました、https://note.mu/hatanohiroshi

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余命の話。

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多発性骨髄腫という聞きなれない診断が下された、血液のガンの一種らしい。

日本人の10万人に56人が罹患し、ガン患者全体では1%未満の罹患率。
ほとんどの患者が高齢者で30代で患うのは非常に稀のようだ。
現代の医学では治すことは不可能とされている、ガーン。

前々から知っているように書いてるけど、全てGoogleの受け売りだ。
治すことができないので延命治療ということになる。

ガンには14までのステージと呼ばれる段階があり、数字が増えるにつれて終末期になる。
僕はステージ3、なんだまだ次のステージあんじゃん!!って思ったけど医師から多発性骨髄腫はステージ3までしかないと教えられた。

次のステージはあの世になってしまった。

多発性骨髄腫は一昔前までは抗がん剤による延命治療を施して平均して3年の余命だ。

ご存知の方も多いと思うけど抗がん剤は苦しい、一部では“増ガン剤”なんて揶揄されるほどだ。
ガンって苦しんで死ぬイメージがあるけど、あれって抗がん剤の副作用で苦しんでいるからね。
ガンじゃなくて抗がん剤で死んでる可能性もあるぐらいで、治らない末期患者に使ってわざわざ苦しめる必要はない。

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耳でタコが産卵するぐらい「頑張って、一分一秒でも長く生きてくれ。」という旨の励ましを頂く。
抗がん剤の副作用で頭はタコみたいになり意識は混濁、チューブで胃に直接栄養を送りこみ、
下の世話もしてもらってベットから動けずに機械で生かされ最後に死ぬ人生に何の意味があるのだろうと考える。

一分一秒でも長く生きるというのはそういうことだ。

「いやぁ、そこまでじゃないんだけど。」って返されると思うけど、
その線引きは医師でも親族でもなく、患者に残された最後の権利だ。

ただ生きていることを目的にしても意味がない。
健康でやりたいことができ幸せな時間を過ごすことを目的にすべきだ。
幸せな時間を過ごすことが目的で、生きることや健康はそのための手段だ。

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「頑張って、一分一秒でも長く生きてくれ。」という気持ちは善意からだ。
「苦しめよ。簡単には死なせないぜ。」なんて悪意から来ているものではない。

同じタイミングで別々の人から同じお守りを頂いた、2人とも僕のことで涙を流してくれた大切な人だ。

長く生きてくれという気持ちを批判したいわけじゃない、僕だって妻や子どもが不治の病いになったら死んで欲しくないと願う。

これを紐解いていくと、この心理は“自分が悲しみたくない”というところに着地する。
自分が悲しみたくないから、死んで欲しくない。
本人の幸せを考慮したものではなく、実は利己的だったりする。

気持ちは理解できる、でも患者の立場だから肯定も否定もできない。
何が正しいか僕にも分からないけど、大切なのは患者の意思を尊重することだと思う。

写真撮ってないで、文章を書いてないで、手品を披露してないで寝てなさいと言われたら、それこそ死んでしまう。
危険なのは延命治療や死なせまいという気持ちが時として、生きがいを奪う可能性があるのだ。

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ここまで書いておいてアレだけど、それでも僕は抗がん剤を使う。
つい最近、新しい新薬が承認された。
3年だった余命が10年以上になるかも、もしかしたら23割はもしかしたら治るかも。”という外国の論文もある。
もちろん英語の論文は読めない、Googleの受け売りだ。

最初にも書いたけど僕のケースはとにかくめちゃくちゃ珍しく、国内に症例データが少ない。
治すことを期待して治療するのではなく、今後の医療に役立てるデータになると確信している。
僕は高齢者ではないので体力はある、おそらく抗がん剤で苦しむけど耐えることはできると思う。

20年前はガン患者本人にはガンということを告知をしないのが常識だった。
患者に心理的なショックを与えないためという配慮だ。

現在は本人に告知するのは常識になっている。
医師と患者が二人三脚で協力して治さないと乗り切れないためだ。

医療は進歩している、もちろん医療だけでなく日本の全ての分野で進歩している。
その進歩には必ず何かしらの犠牲が伴っている。
道路交通法が改正を繰り返し進歩しているのは痛ましい事故の犠牲者の存在のおかげだ。

いまは治らない多発性骨髄腫も20年後は治るガンになっているかもしれない。
未来の誰かのために役立てるなら素晴らしいじゃない。
もしかしたら日本で初めて治した人間になるかもよ。

自分にできることをする、ただそれだけ。

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