茂戸藤浩司 “The Metal Taikist” のブログ

ハードロック、メタル業界で生きるプロフェッショナルの太鼓打ちです。

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「ドンドコ」

茂戸藤流太鼓術(1)
 
長胴太鼓の斜め打ちに於ける基本リズム「ドンドコ」に関して、解説します。
 
<用法>
■地打ち(ベース・リズム)
 
■曲中に於けるブリッジ、アクセントなど
 
■打法またはフレーズ習得のためのトレーニングとして

<ポイント>
■基本手順は「右・右左」
 
■どの音にも強弱をつけず、3つの音すべてが同音量になるように。
 (※「ドンツク」とはまったく違う)
 
■打つ時に身体を上下動させず、常に腰が入った状態で打つこと。
 左足の膝を曲げ伸ばしして体を左右にスライドさせるのもNG。
 体幹軸を太鼓側へ「スピン」させるのはOK。
 
■他流派との最大の違いは、左の「タメ」。
 右の「ドン」を打っている時に、やたらと左を振り上げないこと。
 そうしてしまうと「どーんこどーんこ」という符点リズムに聞こえてしまう。
 (それってリズムはイナカ臭いし、見た目もだっさい。(>_<) もういいかげんやめようね。)
 
■弱音→強音まで10段階くらい使い分けられるように練習すること。
 どの段階においても3つの音が均等になるように。
 
■テンポは最低でも ♩=150 くらいまで打てるように稽古する。
 
■応用編として「右・左右、 左・右左…」という「オルタネート打法」がある。
 テンポ♩=200以上の速い曲や桴の太い大太鼓、ソロなどで非常に重宝するので上級者は是非習得するべし。
 
不明な点や質問などは、いつでもコメントを。
 
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東京の太鼓

4月3日(土)

イメージ 1我が地元・荒川区でこんなイベントが開催された。
出演する太鼓グループは、東京のプロアマ合わせて13団体。
これは行かねばなるまい!ということでチケットを購入して、いざサンパール荒川へ。
まあとにかくバリエーション豊かで最後までまったく飽きさせない、本当によく出来た素晴らしい公演だった。
観ながらコソコソメモを取っていたので、今回のレポート(解説)を勝手に書かせてもらうとしよう。
(いつものようにガチの本音でいかせてもらいます。)

<第一部>

1.太鼓集団 天邪鬼
長いお付き合いをさせてもらっている、渡辺洋一先輩率いるプロ集団。
先輩がアマチュアの「関東寿太鼓」にいたころ、オレは「根津権現龍神太鼓」にいて、先輩が「助六太鼓」の中心メンバーだった頃はオレは「大江戸助六太鼓」に弟子入り。先輩が独立され「天邪鬼」を結成した後に、オレも独立して「六三四」結成に参加した。
今思えば、常に同じ流派に源流を持ちながらもそれぞれの道を歩んだ、オレにとって「いとこのお兄さん」的存在。
さて久々に拝見する渡辺アニイ。
とにかく「技」が練りに練り上げられていることに感心した。
身体能力をフルに活用した、「打芸モノ」の頂点であることは間違いないだろう。
迫力と美しさを兼ね備えた、太鼓芸能のひとつの理想形を究めている。
本当にいつも良い刺激をもらえるなぁ…
渡辺さん、たまには呑みましょうね!

2.天王太鼓つくも会(ゲスト)
オフの日によく散歩で通りかかる南千住の素盞雄(スサノオ)神社を拠点とする、地元のアマチュアグループ。今回は総勢14名。
「ドンドコ」ベースの単調なリズムに乗って、打者が太鼓間を入れ替わり立ち代りの「フォーメーションモノ」。
楽器のウェザリング具合(?)や絆纏の着方などに、アマチュア特有の雰囲気を醸し出していて、観ているうちに段々と神社の境内の映像やお祭りの的屋が並ぶ下町の土着な風景が浮かんできた。
音楽的にとか技術的にとか、そういうことはここで言うつもりない。
この地域に根付いて、これからも頑張って下さい。

3.和太鼓 邪無音
初めて聞く名前だが、それもそのはず。まだ結成3年とのこと。
太鼓界ではお馴染の、三宅島のあの打法と、長胴太鼓縦打ちの編成。
リズムは三宅島木遣り太鼓のシャッフル系。
ここは子供達が一所懸命頑張っているようだ。
今後の発展を期待しよう。

4.和太鼓大元組
荏原流れ太鼓出身の湯沢元一君率いる、各地で「コンテスト荒らし」しまくっている噂のグループ。
メンバーが笛と担ぎ桶とチャッパで会場から現れ、観客を楽しませていた。
舞台では縦打ち、斜め打ち、大太鼓の基本編成。
とにかくパワー!バリバリパワー!
衣裳や女性の髪型、舞台上での佇まい、楽曲のフレージングなど多少好みの分かれるところではあるが、これも若さの特権。
こういう元気バリバリの太鼓は、全然アリ。
というかある意味、これが現在の王道なのかもしれない。
こりゃ、コンテストで受けるわ。…

5.和太鼓飛翔
代表の河野さんは、いつもリハで使っているスタジオでよく隣同士だったり、楽器搬入ですれ違ったりで何度も話したことはあるが、演奏を拝見するのは今回初めてだった。
司会者のテンパリおばさんが「アフリカや韓国など世界各国のリズムで…」を連呼してましたが、今回の曲は思いっきり直球の「和」のリズム。(衣裳も王道ど真ん中の英哲さんスタイル。)司会者は場つなぎでテキトーなこと言っちゃいかんよ。
締太鼓のチューニングがちゃんと計算されていて、ロールの掛け合いのピッチ感が心地よかった。
それに対して長胴太鼓の音がちょっとバタバタしてたのは、締太鼓と長胴太鼓を同じ桴で打つことによるリスクか、もしかしたらこういうイベント特有の「楽器の使い回し」のせいか?
締太鼓と長胴太鼓の変則セット×3人のアンサンブルは、けっこう面白かった。
これからも頑張って下さい!

6.石神井太鼓保存会せんば太鼓(ゲスト)
今回の「東京都太鼓連合」とは別の組織「東京都太鼓連盟」の会長・森田さん率いるアマチュアグループ。
まず目を引かれたのが、昔のマンガに出てくる「火星人」のような変った格好の大太鼓の台。
どういう構造だったのか、近くで観てみたかった。
そして上手(かみて)下手(しもて)に2基設置された纏(まとい)。
曲中のクライマックスで威勢良く派手にブン回すのかと思いきや、…ゆったりとしたステップでクルクルっと回すんですね、これが(ちょっとツボってしまいました。ごめんなさい…)。
太鼓は恐らく、助六流か城北流などの盆太鼓を源流に持つと見うけられる。
年々数が少なくなっていく「関東の斜め打法」のグループとして、いつまでも継承して行って下さい。

<第二部>
1.助六太鼓
今日はコレを見に来ました!と言っても過言ではない。
代表の今泉豊さんは、オレの中では小林正道師匠と並ぶ子供の頃からのヒーロー。
中学〜高校時代に稽古を受けたり、現場で一緒に演奏したことは少しだけあるが、大江戸助六太鼓発足以来は色々と訳あって疎遠になってしまっていた。
オレは自宅で昔のヒーロー達(助六太鼓の歴代の名人達)のビデオを観ながら一杯やることが大好きなのだが、今泉さんの映像は今まで何千回観ことか。…
十数年振りにナマで観る今泉先輩の歯切れのいい太鼓は、今も全然色褪せていなかった。
左脚を一旦引いて、上体の捻りと共に振り子のように体重をスイングさせて鋭く打ち抜く独特なフォーム。
ソロ打ちの表現力の引き出しの多さ。真横一文字に腕を開く独特な「かまえ」。
やっぱりカッコよかった。ジュニアさん(※先輩の昔の愛称)、サイコー!!

2.向島遊神太鼓
オレが大江戸助六太鼓の「鬼師範」時代、時にアタマから怒鳴り散らし、時に朝まで酒を酌み交わした年上の後輩、“まっさん”こと増田勝明氏率いる、墨田区拠点のアマチュアグループ。
今大会最多数の総勢30名以上の出演。
「究極のアマチュアイズム」を目指しているだけあり、変に背伸びせずにシンプルな楽曲の一つ一つの音をきちんと丁寧に打っている会員の姿には好感が持てると共に、まっさんの指導力の素晴らしさが垣間見えて、とても嬉しかった。
特筆すべきは、このグループが今大会中(プロアマ含め)最も腹にズシンと響く音だったこと。
これは、人数が多いせいもあるが、全員の息が揃っていなければ出来ないこと。
あと、曲中の女性の掛け声が独特で面白かった。
太鼓の音に混じると、まるでシンバルのような「シャーン」という音のように聞こえ、曲に面白いアクセントをつけていた。

3.葛飾諏訪太鼓
先に触れた“まっさん”も、大江戸助六太鼓に弟子入りする以前に所属していたことがある、「御諏訪太鼓」を正当に継承するグループ。スタンダードの名曲「諏訪雷」を披露。
ただ今回は舞台下手に扇子を持った講談師(?)が座り、曲中に時折入る解説口上は新しいアプローチ。
非常に判りやすく、必然性もあり、アマチュアながらとても良い演出効果だった。
舞台上に置かれた大きなドラム缶も一瞬目を引いたが、こっちはあまりインパクトが無かった。
楽器(?)がデカイ割りに音が小さいし、音楽的に必然性が無い。打ち方も地味かな。
一度、スティーヴ・エトウさんのパフォーマンスなど観に行かれてみては如何でしょう?

4.荏原流れ太鼓ひびき会
昔からずっと変らない、アマチュアの「あるべき姿」がここにある。
会長の湯沢さんの教育、人柄がすべて出ている。
真っ白い絆纏に男子は水色、女子は赤の鉢巻をきちんと締め、半股引(ハンダコ)もキチッと品よく丈を詰めて着こなしたその姿は、いつ観ても「若さ」と「清潔感」を感じる。
昔見た記憶では、斜め台の太鼓を正面から構えて打つ独特な打法だったが、今日は一般的に多い「伏せ置き/縦打ち」で演奏していた。これも時代だろうか。
湯沢さんの独特なナレーションの語り口調「〜多摩川の流れ…」を聴いた瞬間、ものすげー懐かしかった!

5.武州粋鼓会
このグループのルーツは、オレが所属していた「根津権現龍神太鼓保存会」。
つまり、オレとは血を分けた兄弟のようなもの。
オレの持論では、このグループこそが究極のアマチュア・グループ。
すべてにおいてアマチュアの鏡であるといえる。
今回の楽曲はストレートな8分音符のベースで、フロント4人が一拍ずつ掛け合うという「回し」という手法を基本モチーフにした曲。
アマチュアでこういう難易度の高い手法に果敢に挑戦することが素晴らしい。
歯切れの良い「江戸前打芸モノ」がウリのこのグループにしては、今回は少々モダンな曲ではあったが、最後に地打ちの2人が、腕を開いて閉じる動作(助六流で言うところのいわゆる「かまえ」)をした瞬間、グループ名の「粋」と言う文字がオレのイメージに浮かんだ。
永島さん、また「太鼓談義」で楽しく呑みましょうね!

6.みやらび太鼓研究会
太鼓界では、もはやオレの師匠と並ぶ重鎮・川田公子さん率いる、琉球スタイル組太鼓のパイオニア。
十数年振りに拝見したが…いや〜もう、絶句。…
すべての点で、我々の常識を超越してる。別格だ。
タイムマシーンで時が戻ったか?と思うくらい、公子さんはオレが昔観たまんま。
常に曲線を描く桴の軌道、太鼓を打つ時の目配せ、首を傾げて打つ女性的なフォーム、そして今も健在な、高い位置に設置された後ろの太鼓をノールックで打つ「後面打ち」。
芸が全く老けないから、ご本人もまったくお変わりない。
溜息が出た。…美しい。
バックのメンバーの独特なステップと琉球語の掛け声によるグルーヴ感は、今回会場で観ていて唯一身体が動いた。

7.大江戸助六太鼓
大トリだ!すげー!!…
今回はオレの後輩の今田栄一が在籍中に作った「絆」という楽曲(ちなみに曲タイトルの名付け親はオレ。どうでもいいけど…)。
もうここに関してはね。改めて言うまでも…
今度メンバーと師匠に直接話します。
とにかく師匠はすげー。 日本一!

「忝い。」
HIROSHI xx.

↓発売中!!
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さつき祭2010 大江戸助六太鼓&茂戸藤浩司〜La.mama 28th anniversary〜

イメージ 2
◇日程:2010年5月7日(金)
◇時間:18:30 Open/19:00 Start
◇場所:La.mama(東京/渋谷)
◇出演:大江戸助六太鼓]、茂戸藤浩司
◇料金:前売\3,500(当日\4,000)+1ドリンク\600
◇お問合せ:大江戸助六太鼓事務所 03-3255-3484
◇予約受付:茂戸藤浩司WEB SITE/CONTACKフォーム

太鼓の皮の話

よく、「太鼓の打面に裏・表はあるのか」という質問を頂く。
太鼓メーカー側では鋲打ちの長胴(宮)太鼓を「こっちが表でこっちが裏」と意識して作っていることは、ほぼ無いだろうと思う。

私は何度か、工場で太鼓の皮を張る現場に立ち会ったことがあるが、その時に職人さんが意図的に打面の裏・表を決めて皮を張っているケースは見かけたことがない。

しかし、すべての太鼓の打面には明らかに「裏・表」が存在するのも事実。
これは、自然素材特有の「バラつき」によるものが大きい。

「裏・表」と言うと誤解があるかも知れないが、太鼓の場合はそれぞれの打面を、ある一定の期間打ちこなしていくうちに、段々と音に差が出ていく場合もあるし、新品の時点から音の響きに個性の差が有る場合もある。

要は、打っていて響き(音のピッチ、立ち、伸び、低音のふくらみ具合など)が良い方を「オモテ」とすればいい、というのが私の見解。

また、それぞれの打面を「稽古用/本番用」として使い分けてたり、「室内演奏用/屋外イベント用」や「ソロ打ち用/地打ち用」など、その場に応じて使い分けるのもひとつの方法。

しかし、中には例外も存在する。

以前「楽器フェア」で見かけて面白かったのが、ある太鼓メーカーが作った平胴大太鼓なのだが、それぞれの面に雄牛と牝牛の皮を張り分けてある。
同じ部位の皮を使用しているとのことだったが、雄牝の差で表面の質感や色、厚さ、硬さまでここまで違うものかと感心した。
この場合は「裏・表」というよりはその音の違いを使い分けて楽しむのが目的とされているのだろう。

ドラムなどは表と裏のチューニング(張り具合)をそれぞれ個別に行うことが出来るし、ヘッド(皮)も打面用と裏面用の専用のヘッドが存在するほどなので、明らかに「打面はこっち」「裏面はこっち」と実にハッキリしている(裏の面はまず叩くことはない)。
桶胴太鼓や締太鼓も面ごとの個別チューニングは難しいが、皮を自由に選べるので打面用と裏面用を分けることが可能。

しかし鋲打ちの長胴(宮)太鼓の場合は独立チューニングも出来ないし、裏表の皮の指定も出来ない。
そこで逆転の発想ではないが、「打面が2つある」と考え、その日の気分やシチュエーションで使い分けることが出来るとも言える。

太鼓の打面は、天然素材である動物(多くは牝牛や馬)の皮で作られている故、厚さ、柔らかさ、強度などを一定に品質を管理して作ることは、ほぼ不可能。
言い換えれば、すべての太鼓が世界で唯一の「オンリーワンの音」でもあるわけだ。
そこも魅力の一つである。

多くの場合、太鼓を購入する一般ユーザーは、太鼓の寸法(口径)や木の材質などは(カタログに書いてあるし値段が大きく左右するので)指定するが、皮の厚さ、柔らかさ、張り具合などまでは注文しないのがほとんどです。
というか、多分そこまでわからないのが現実だろう。

なので、出来上がった太鼓(または店頭にディスプレイされている太鼓)に使用された皮はどこ産の牛なのか知る由もないし、皮の張り具合は職人さんの永年の「勘」に委ねられているわけだ。

でも、せっかくもの凄く値の張る太鼓を購入するのだから、最低でも皮の張り具合や厚さの指定、出来れば皮の選定くらいまではしたいものだ。

聞くところによると、現在は宮内庁にだけ存在する特別な儀式に使う「牛車(ぎっしゃ)」用の作業牛の皮が、太鼓用には最高らしい。
つまり、「霜降り牛」が圧倒的に人気がある昨今の食肉牛(メタボ牛?)は、皮にも脂分が多く残留していて太鼓用には本来あまり適さないらしいのだ。(赤身肉の方が美味しいのになぁ…)
作業牛なら筋肉質なので皮下脂肪も少ない。
だが当然、頭数は極めて少ないので、向こう何十年も順番待ちという噂も聞いた。

大手太鼓メーカーの場合、太鼓用の皮は全国のあらゆる牧場の食肉用の牛の皮をひとまとめにして仕入れられているそうなので、例えば牛の雌雄や年齢までは指定出来るとしても、その牛が育った牧場の環境や牛の血統、産地など細かいデータ管理はされていないのが現状らしい。

でも将来例えば、「三田牛は音が良い」だの、「松坂牛は最高だ」「いや、近江牛だ」「実はオーストラリア産が一番」などと、牛の産地や種類による音の違いなんかが比較出来るようになると楽しいと思うのだが。…

   3月13日 記。

「カッコイイ」のツボ

いつも、もっと気軽にさらっと書こうと思っているのに、書いているうちに熱くなりついつい話しを深く掘り下げてしまう。
なので、たまには軽いテーマで。…

太鼓祭りやコンテストなど、様々な太鼓グループが集まるイベントを観ていて、ふと思うことがある。
それは、「カッコイイ」のツボが、各グループによって違うこと。

衣裳もそうだし、楽曲もそう。
打ち方も魅せ方も、各グループごとに「微妙に?」どころか、けっこう大幅に違う。

昔は地域性がもっとハッキリしていて、その地方にしっかりと根付いた文化としてそれぞれに特有の「匂い」というか「味わい」があり、その違いも楽しめた。
しかし近年はどちらかというと、「最初に誰に習ったか」で決定的にセンスが刷り込まれているのではないだろうか。

例えば「太鼓を習いたい」と思った時に、いくつもある流派や教室の中から自分の好みに合ったスタイルのところをじっくりと選べればいいのだが、そういうのは稀なケース。
実際は、知人の紹介や地元でやってる保存会、広告を見て申し込むような教室など、きわめて狭い選択肢から選ぶのが現状。
これだけネットが普及していても、教室の絶対数が不足しているため、住む場所や勤務先の近くで太鼓を教えてくれるところなどなかなか見つからないため仕方の無いことである。
たまたま見つけられた教室で、太鼓のことを何も知らない「まっさら」な素人さんが、そこの先生から太鼓のイロハを一から習うわけだから、「太鼓に関することはすべて先生の言うとおり」になるのも、これまた仕方の無いことだろう。
(卵から生まれたヒナ鳥が、最初に見たものを親だと認識するあの現象?)

師匠に忠誠を誓うのは、日本人の美意識としてある意味正しい。
でも太鼓の魅力の一つは、「自由」であること。…とオレは思う。
たかだか戦後からの歴史の太鼓文化。
良くも悪くもまだまだ「アオい」ジャンルだ。
「太鼓はこうでなければいけない」なんて勘違いなことを言うアタマの固いオッサンは昔より随分少なくなってきているから、もっと若く柔軟なセンスと、現代にも通用する「カッコよさ」を怖がらずに追求していって欲しいものだ。

 曲のエンディングで、お客目線で得意げにポーズなどキメる「よさこい風(!?)」の見得切り…??

 今どき、三拍目アタマで打ち切って四拍目で「やー!」って言ってしまう楽曲センス…??

 絆纏や鉢巻の「着崩れ感満載」のラフな着こなし。…??

 モンキーダンスの群舞のような打法技術&振り付け。…??

必ずしも否定はしないけど、「これってもしかして?…客観的にダサくね?…」くらいの疑問を常に持つことは大事だと思うよ。
ちょっと間違えると、太鼓文化はけっこうヤバイ方向に行きやすいから。

たまには先入観を捨てて、素直な気持ちで他のグループの演奏などを観ることも強くオススメします。


2010年2月8日 記。
いつもそうだが、別にオレは「こうあるべきだ」という「べき論」的な意見を押し付けるつもりは無い。
あくまでもオレの私的見解で、単なる独り言。
特に何の影響力も無い。
そのつもりで、このコラムはさらっと読み流して頂ければ幸いだ。

さて本題。

オレは昔、プロになる前は当然、アマチュア太鼓打ちだった。
このコラムを書くようになってから、最近ふとその時代のことを思い返すことがあるのだが、あの頃は良くも悪くも「純粋さ」と「頑固さ」に満ち溢れていた。

若かりし頃の恥ずかしいエピソードだが、訪問した先で極めて理不尽な要求をされた時、演奏中にもかかわらずさっさと太鼓片付けて、メンバー連れてとっとと帰ったこともある。
でもこの時の判断は、オレの考えるアマチュアイズムにおいて正しかったと今でも思っている。

これがプロだと、絶対にありえない。
仕事を引き受けた以上、現場でどんなことがあろうと耐えなければいけない。
どんな形であろうと、「仕事」として成立させるのが使命。
現場で太鼓担いでとっとと帰るなどは、言語道断(笑)。
普通なら二度とこの世界で食っていけなくなる。

そういう意味では、アマチュアの方が太鼓に対して純粋である。
「人様に見せてお金貰って…」という概念そのものが必要無いため、誰に媚びることなく、日頃鍛えた己の技を人様の前で披露出来ることのみを、最大の「報酬」とする。
その上で、お客様に喜んでもらえたとすれば、それこそ至福のボーナスだ。

ご祝儀(謝礼金)が頂けたら会の運営費に回すし、無報酬の時も当然ある。
現場が、太鼓を演奏するにはあまりにも過酷な悪条件だったら、演奏を断ったって良いのだ。

オレが考えるアマチュアイズムとは、

「気持ちよく太鼓を打ちたい」

この精神に尽きる。

「気持ちよく打つ」ために、さらなる技術向上を目指すべく日夜汗を流し、痛みに耐え、技術と共に肉体と精神を鍛える。
「気持ちよく打つ」ために、仲間と協力し合ってグループを運営し、社会貢献し、その喜びを仲間と分かち合う。
「気持ちよく打つ」ために、ひたすら無欲に純粋に太鼓を愛する。

これが理想のアマチュアの姿ではないだろうか。
オレはこういうアマチュア奏者やグループを、心からリスペクトしている。

それなら、理想のプロとは?

う〜ん、プロにも色々なタイプがあって、それぞれが描いているビジョンや目指すベクトル、価値観などによってかなり違ってくる。
広い品揃え重視の百貨店もあれば、深く追求した個人経営の専門店もある。
どちらも存在としての価値がある。
実に難しい。

まあプロの世界は厳しく、時に苦しいこともある。
この厳しさも苦しさも全部ひっくるめて楽しめることが、プロとしての資質かもしれない。
これに関しては、またの機会にゆっくり書くとしよう。

「お金頂けるならどんな仕事でもやるのがプロ」?
いやいやいや、もしそうだとしたら、オレは完全にプロとして「失格」だ。
「気持ちよく打ちたい願望」は、実はアマチュア以上に持っているのだから。

一本でも多く仕事があるに越したことは無いのだが。…


    2月4日 記。

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