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今城塚古墳の3種類の石棺
継体天皇のお墓と考えられる高槻市の今城塚古墳からは、これまで3種類の石棺
石材と推定される石材が出ています。一つは熊本県宇土半島馬門の阿蘇ピンク石、
二つ目は兵庫県高砂市の「竜山石」、三つ目は二上山の白色凝灰岩です。
このブログでも以前に書きましたが、現地説明会の時に展示されていた「竜山石」
とされる石材は、どう見てもこれまで見てきたいわゆる「竜山石」ではありません。
その疑問点を書いておきました。
同様の趣旨のことを会報「考古文化」にも書いておきました。私ども研究会のスタッフ
の吉野さんがたまたま今城塚で上の3種の石材を採集されましたので、手にとって見る
ことができました。
竜山石という呼称についての整理
考古学では、石棺石材や石槨石材で、播磨系石材で姫路酸性岩に属する流紋岩質火山礫
凝灰岩質溶結凝灰岩〜流紋岩質凝灰角礫岩質溶結凝灰岩を竜山石と呼んだり、表記してい
ます。一見呼びやすいこの竜山石という呼称には、二重・三重に誤認を引き起こす要因が
潜んでいることに気がついていない考古学研究者が意外と多いことです。
これらの播磨系石材の採石地は、高砂市の竜山を含む地域、加古川市池尻の地域、加西市
長(おさ)の地域、加西市古法華の地域、加西市高室の地域と大別しても、5地域に分ける
ことができます。また岩相からも、このように分けられます。
そして次に、竜山を含む高砂地域では、これまで見られる主に石棺石材の分析からは、竜山
とは、山筋が異なる伊保山の石である可能性が高く、これまでのところ明確に竜山の石で作られ
たと考えられる石棺等はありません。
ですから播磨系石材を表記する時には、大別においても細別においても、竜山石という表記は
間違い、もしくは問題が大きいということです。できれば、採石地を表記するか、それができな
いときは、「」つきで表記するのがよいと思います。
問題の今城塚古墳の石棺片?
さて、問題の今城塚古墳の播磨系石材ですが、写真1矢印部分には明らかに加工痕があります。
直交する平面に仕上げ、角は丸く加工されています。基質は極めて淡い淡黄色で、細粒の岩石片
と鉱物が含まれています。従来「竜山石」と言われてきた伊保山の石でありません。長持形石棺
をはじめ、家形石棺のほぼ大半が伊保山の石ですが、この石材はそうではありません。
播磨の石材であることは間違いないのですが、どこの採石地のものかはわかりません。
実体顕微鏡による細かい観察と分析によって、明らかになると思います。その報告は会報「考古
文化」に掲載する予定です。
分析如何では、今城塚の性格がより鮮明になる鍵になるかもしれません。
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