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邪馬台国問題に寄せて

邪馬台国問題のポイント

考古学の勉強をし、会を運営していますと、たくさんの人から邪馬台国についての

質問が出されたり、意見を求められます。邪馬台国がどこにあったのか、という課

題は確かに魅力的で、日本の歴史を考えていく上でも重要な問題です。ただこれらの

課題を解決していくには、クリアーしなければならない幾多の問題があることをまず

明らかにする必要があると思います。

それはまず邪馬台国問題は、文献上の問題であるということを常に鮮明にしなければ

ならないと言うことです。ごく当たり前のことですが、卑弥呼や邪馬台国が書かれて

いるのは、あくまでも文献の上のことです。考古学で検出される遺構や遺物には、ほ

とんど名前が書かれておらず、また文献に対応するような実年代もまったくわかりま

せん。

「曖昧な古墳の年代」でも述べましたように、弥生時代から古墳時代中期までの実年

代は、現在の考古学ではまったく分からないのです。問題の邪馬台国の時代が弥生時代

の後期なのか古墳時代の前半なのかすら、実は分かっていないのです。

このような考古学の状況ですから、積極的に考古学からこの問題に迫ることは難しく、

参考になる程度でしかありません。

問題は文献解釈がきちっとなされているか、ということがまず第一義にあると思います。

漢文の特性

邪馬台国や卑弥呼が書かれているのは、中国の史書『三国志』です。ご存知のようにいわ

ゆる漢文で書かれています。中国語で言う「文言」、文語文です。中国では、白話運動に

見られるように、話し言葉(口語)と書き言葉(文言)の乖離が著しく、そのような一大

運動が起こりました。

碩学の岡田英弘氏は、「漢文には文法がない」とまで言い切っています。どういうことかと

言いますと、橋本萬太郎氏によれば「漢文は漢民族をむすぶ唯一の交信手段として」成立し、

これまで書かれてきたものを下敷きにして、重ねていくという独自の自閉性をもつ独特のも

のだということです。(「ことばと民族」『漢民族と中国社会』1983年山川出版)

現代でも、広東語や上海語などがあり、古代でもおなじかそれ以上に中国国内には多くの言

語が存在し、それぞれの話し言葉では通じず、漢文という共通記号を使って、意思の伝達を

していたという独特の歴史があります。

この共通交信手段である漢文を習得するにはどうしたかというと、科挙の制度に見られるよう

に先人の古典を丸覚えして、それを下敷きにして表記するという方法がとられました。

漢字に品詞がないということは、よく言われていることです。漢字一字では、名詞なのか動詞

なのか副詞なのかすら、わかりません。漢文の中にあるその字の位置によって決まります。

プロ・アマを含めて、「魏志倭人伝」の解釈が様々になるのは、日本流の訓読法の弊害と漢字

の持つ曖昧な無品詞性によるものです。

’70年代に颯爽と登場した古田武彦氏は、「魏志倭人伝」を解釈するに当たって、『三国志』

内の用例調査や先行文献調査を提唱して、自身の方法論を提起しました。文献の史料批判を行う

上でこれらの方法は極めて有効なおかつ客観性を保持するもので、多くの人々に受け入れられま

した。

この先行文献調査というのは、岡田氏や橋本氏がいうこれまでの文献を下敷きにして書かれると

いう漢文の特性そのものなのです。

魏志倭人伝の下敷きになったもの

では、魏志倭人伝の下敷きになった文献は何でしょうか?この答えはある程度判明しています。

それは、青龍3年鏡問題の時に紹介した川村明氏が明らかにしています。魏志倭人伝の行路記事

は『漢書 西域伝』を参考にして書かれたことが論証されています。

『三国志』を書く際して、先行史書としては最も有名な司馬遷の『史記』がありますが、私が調べ

たところ、3世紀代には『史記』はあまり流布されていないことがわかりました。このことからも

「魏志倭人伝」の行路記事が『漢書 西域伝』を下敷きにしていると究明した川村論文は、画期的

な意義を持っていると思います。

邪馬台国問題を解明して行くには、先行史書の用例と表記法の調査を土台に進めていくことが条件

となります。こう読めるとか、こう解釈できるという恣意的な解釈が続く限り、何も問題は進展し

ないと思います。

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京大の好太王碑拓本

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indigo2sgi さんに教えていただいた京大人文研の好太王碑拓本が

どこにあるか見つからず、水井さんにURLを教えてもらい、やっと

見ることができました。その拓本がかなりよいもので、どの時期の拓本

か気になり、人文研のHPを見てみましたが、見つけることができませ

んでした。私が見つけられないだけで、ひょっとするとどこかに書いている

のかもしれません。それで色々と調べてみました。

それでこの拓本と思われるものをやっと見つけました。それは王健群『好太

王碑研究』吉林人民出版1984年にありました。同書付録に内藤虎次郎旧蔵

本として、写真が添えられていました。

考古学をやっていると、どうしても資料の来歴や性格を調べるのが習い性に

なり、気になって調べてしまいました。今度は、この拓本がいつ頃採られた

ものか、気になって仕方ありません。これは少しずつ調べてみたいと思います。

継体紀

現在、今城塚古墳を中心とした継体関連の遺跡を拾っていっています。

そうしますと、どうしても考古資料だけでなく、文献資料にも目を通

す必要性が出てきます。文献資料の中でも特に、継体について詳しく

書いている継体紀は重要なものです。『日本書紀』や『古事記』という

文献資料は8世紀代の成立で、後世の粉飾や削除などの可能性があり、

そのままストレートに使うことができないとよく言われます。確かに

そのような注意が必要ですが、森博達『日本書紀の謎を解く』で詳細に

分析されているように、雄略紀以降は日本語を解さない中国人述作者に

よって書かれたものであることが明らかになっています。音韻の研究から

、これらは唐代北方音で書かれていることも明らかになっています。継体

紀もこの中国人述作者によって書かれていますので、書かれる前の原資料

があったことは間違いありません。継体紀の冒頭は次のようになっています。

{{{男大迹天皇【更名彦太尊】譽田天皇五世孫、彦主人王之子也。母曰振媛。

振媛、活目天皇七世之孫也。天皇父聞振媛顔容(女+朱)妙甚有(女+徴)色、

自近江國高嶋郡三尾之別業、遣使聘于三國坂中井、【中、此云那】納以爲妃。

遂産天皇。々々幼年、父王薨。振媛廼歎曰、「妾今遠離桑梓。安能得桑梓。

余歸寧高向、【高向者、越前國邑名。】奉養天皇。」}}}

男大迹天皇またの名彦太尊は、誉田天皇の5世の孫、彦主人王の子なり。

母は振媛という。振媛は活目天皇の7世の孫なり。天皇の父、振媛の顔容が

女+朱妙にして甚だ徴色有るを聞く。近江国高島郡三尾の別業より、使いを

三国の坂中井(中、これをナという)に聘し、納めてもって妃とせしむ。

遂に天皇を産む。天皇幼年にして、父王薨ず。振媛すなわち嘆いて曰く、

「妾は今遠く桑梓(故郷)離れたり。いずくんぞよく膝養を得るや。

余は高向(越前国の邑の名なり)帰りて寧じ、天皇を奉養す」と

別業と言うのは、別邸という意味で彦主人が実際にいたところは何故か書かれて

いません。別業は、中国の24史の中で『北史』『隋書』『旧唐書』に用例が

見られ、限定された時代に使われ、なおかつ北方音で書かれていることがわかり

ます。森氏が分析したとおりです。この別業があったとする三尾は、現在の高島郡

高島町三尾にあたり、そこには冠・馬具などまさに王を思わせる鴨稲荷山古墳が

あります。ここの石棺は淡いピンク色で、一見阿蘇ピンク石を思わせますが、二上山

の鹿谷寺(ろくたんじ)の弱溶結の流紋岩質凝灰角礫岩質溶結凝灰岩です。また継体が

育ったとされる越前には、椀貸山古墳という古墳があります。継体の子供の墓という伝承

がありますが、この古墳の石室には石屋形があると言われています。

一方、近江の湖北にある山津照神社古墳も石室内に石屋形があり、さらにその中に石棺が

あったと言われています。

近江と越前は隣国ではありますが、継体紀にあるようにかなり密接な関係があり、同時に

この2国は肥後とも密接な関係があったことが推定できます。

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