佐藤優が分析 ロシアの核恫喝外交は北方領土交渉にも影響する読了まで4分
佐藤優(作家、元外務省主任分析官) ロシアが外交の手段として核兵器を使い始めた。これは危険な挑発だ。デンマークのコペンハーゲン発のロイター通信は22日、こう伝えた。<駐デンマークのワニン・ロシア大使は、デンマークが北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛(MD)計画に参加すればロシアの核ミサイルの標的になると述べた。デンマーク紙ユランズ・ポステンがインタビューを掲載した。
デンマークは昨年8月、ミサイル防衛計画に高性能なレーダーを搭載した艦船を派遣する方針を明らかにした。ロシア政府はMD構想に反対していた。
ワニン大使は計画への参加がもたらす結果をデンマーク側が完全に理解していないと指摘。「参加すれば、デンマーク艦船がロシアの核ミサイルの標的になる」と述べた。
これに対してデンマークのリデゴー外相は受け入れられない発言だと強く反発、「NATOのMD構想がロシアを標的とするものではないことをロシア側は十分承知しているはず」と述べた。一方、NATOは平和に貢献しないと批判した>
デンマーク艦船を「標的」に ワニン大使の発言は、大使の独断ではなく、ロシア本国の訓令に基づくものと見るのが常識だ。しかし、ロシア当局は常識に反する情報操作工作を展開している。<大使の発言はデンマーク政府の反発を呼んでいるが、ロシアのラジオ局「モスクワのこだま」は「大使はこうした大きな声明を行う権利を付与されていない」とする政権幹部の声を紹介。この幹部は、大事には至らず、大使の独断的な見解だとの見方を示した>(3月22日「産経ニュース」)
ワニン大使の寄稿に対して、デンマーク政府の反発が予想を超える激しさだったので、ロシアとしては、とりあえず「現場の暴走」ということで、事態を沈静化したいのであろう。しかし、このような手法自体がシニカル(冷笑的)で不誠実だ。
15日にロシア全土で放映されたテレビ番組「クリミア、祖国への道」で、プーチン大統領が「ロシアはクリミア情勢が思わしくない方向に推移した場合に備えており、核戦力に臨戦体制を取らせることも検討していた。しかし、それは起こらないだろう、とは考えていた」(3月15日露国営ラジオ「ロシアの声」)と述べた。
ワニン大使の寄稿は、プーチン大統領の発言がロシアの新しい核戦略に基づいていることを裏書きするものだ。すなわち、ロシアが自国にとって死活的に重要と考える事項に関しては、核カードを用いてでもロシアの国益を実現するという方針だ。恫喝外交そのものである。
対露外交戦略の見直し必要 日本にとって米国は唯一の同盟国だ。中国、北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃の脅威に対抗するために米国のMD計画に日本が参加する可能性がある。米国のMD計画に日本が参加する場合、ロシアが「海上自衛隊のイージス艦と在日米軍基地を核攻撃の対象とする」と言い出しかねない。もちろんロシアがそのようなことを言ってきても、日本ははね付ける。そうなると北方領土交渉のハードルをロシアは上げてくるだろう。ビザ(査証)なし交流を一方的に取りやめ、北方領土への日本人の入域に際して日本のパスポートとロシアのビザを要求するようになるかもしれない。
ロシアの核戦略の変更が日本外交にどのような影響を与えるかについて、外務省ロシア課とモスクワの日本大使館はどのような分析をしているのだろうか。ロシアが一方的に外交のゲームのルールを変更している状況で、年内にプーチン大統領の公式訪日を実現することが、日本の国益と国際社会の利益にかなうのであろうか。北方領土交渉の方法を含め、日本政府は対露外交戦略の全面的な見直しをする時期に至っていると筆者は考える。 |
ハイエナ・ロシア
-
詳細
コメント(0)
知られざる島の実態 北方領土でいま何が起きているのか読了まで20分
名越健郎(拓殖大学海外事情研究所教授)北方領土は人口増 筆者は2年前、北方領土のビザなし交流に参加して国後、択捉両島を訪れた際、両島で発行されている地元紙の記者と接触し、新聞を添付ファイルのメールで送付するよう依頼した。その後、両紙編集部から有料で毎号届けてもらっている。
国後島で発行されている地元紙は「ナ・ルベジェー(国境で)」、択捉島の地元紙は「クラスヌイ・マヤーク(赤い灯台)」といい、発行部数は国後紙が715部、択捉紙が562部。いずれも週2回発行のタブロイド版4ページ。北方領土に住むロシア人は約1万6000人強で小さな社会ながら、両紙は地元行政府や議会の決定から島で起きたニュースや話題、住民の一口広告まで掲載し、島の生活に寄り添うコミュニティーペーパーだ。
北方四島の面積は千葉県に匹敵し、竹島の2万倍、尖閣諸島の2000倍である。今年で旧ソ連軍による不法占拠から70年となるが、そこでは経済活動や社会生活が営まれ、犯罪もあれば汚職・腐敗も多発する、ロシア社会の縮図だ。近年は、ロシア政府のクリル(千島)社会経済発展計画(2007─15年)に沿ってインフラ整備が進んでいる。
ロシア人がサハリンやウラジオストクでどう生活しようと勝手だが、わが国固有の領土である北方四島に居座る島民の生活は注視せざるを得ない。自宅の庭の一角が武器を持った隣人に不当に奪われて居座り続ける状況では、奪われた庭がいまどうなっているのか、誰もが関心を持つだろう。島の状況を知ることは、将来の返還後の対応を検討するうえで不可欠となる。
ビザなし渡航も近年はロシア側の規制が強く、毎回、同じ場所を案内されて同じ人と交流するだけで、情報収集に限界がある。2つの地元紙を読むことが、北方領土の現状を知る最も有効な手段だろう。本稿では過去2年の紙面から、印象的な記事を紹介しながら四島の実態に迫った。
両紙の刊行は古く、いずれも1947年に創刊された。47年といえば、対日参戦したソ連軍が千島全島を武力制圧してまだ2年。国後の新聞「国境で」は12年11月、創刊65周年記念号を出し、同紙の歴史を紹介した。
それによれば、「遠隔地で地区の新聞を発行することが急務だ」とのスターリンの指示に沿って、国後、色丹、歯舞三島からなるサハリン州南クリル地区の共産党委員会・行政府の機関紙として発行が決定された。国後島の中心地、古釜布(ロシア名・ユジノクリリスク)に小さな新聞社が設置され、輪転機が持ち込まれた。択捉島の「赤い灯台」も、クリル地区機関紙としてスタートした。
「国境で」は当初、週3回発行で編集部が15人、印刷部門は10人を擁したという。70年代の発行部数は3500部で、国後、色丹で配布された。過去65年の歴代編集長は15人、取材に携わった記者は300人に上るという。
ソ連時代は「親方赤旗」として安住できたが、ソ連崩壊で市場経済が始まるとスポンサーを失い、経済苦境のなかで必死の経営努力を強いられた。記者を3人に減らして週2回発行とし、発行部数も縮小した。商店や島民の広告も掲載して広告費も稼ぐようになった。択捉島の「赤い灯台」も状況は同様らしい。
90年代のロシア民主化時代、「赤い灯台」は択捉島幹部の汚職・腐敗を追及するキャンペーンを展開するなど過激な論調を掲げ、島民の北方領土返還論も載せたという。しかしプーチン体制による情報統制下、両紙には政府や地元行政府の批判はほとんど載らない。論評自体が少なく、紙面がつまらなくなった点ではロシア本土の新聞と共通する。
それでも、両紙は島の現状を知る貴重な情報源だ。両紙が伝えた行政府の統計によれば、13年末時点の人口は、国後が7355人、色丹が2913人。歯舞諸島には居住者はいないが、南クリル地区への入植者は13年1551人、退去者が988人で563人の純増となった。
13年、誕生した新生児が109人に対して死亡者は68人で、人口増が顕著だ。択捉島でもやはり出生数が死亡者数を上回った。ロシア極東やサハリン州は人口減や少子化が顕著なのに、北方領土は人口増という意外な現象がみられる。
ただし、択捉島の人口は6006人で離島者が多く、前年比で452人減少したという。択捉にはサハリン州最大規模の水産加工企業ギドロストロイの工場があり、産業基盤は国後、色丹より充実しているが、離島者が多い理由は新聞には載っていない。
国後・択捉では13年、結婚が87組に対して離婚は52組で、ロシア本土と同様に離婚率が高い。「国境で」は、「国後、色丹には30の民族が住む」と伝えている。終戦直後、ウクライナなど他の旧ソ連構成共和国の住民が入植した名残だが、島の人口分布は多民族国家・ソ連の雰囲気を残している。
12年の統計では、国後・色丹両島の労働者の平均所得は3万3700ルーブル(約10万円)で、ロシア全体の平均所得2万3000ルーブル(約7万円)よりかなり高い。公務員らに遠隔地手当が加算されるのに加え、高級魚の宝庫という漁業資源の恩恵とみられる。島民にとって、給与が高くなければ辺境の地に暮らす意味がない。
島の経済の生命線は漁業、特にサケ・マス漁だが、昨年は記録的な不作という。「赤い灯台」は9月、「これは漁ではなく破局だ」との見出しで、択捉でのカラフトマスの漁穫はまだ当初予想(2万7000トン)の10%程度にすぎないと伝えた。
「マスが故郷の川に戻ってこなくなった。気候変動などで帰るべき川を間違えているようだ」
「71年から択捉で漁をしているが、こんな不漁は初めて」
との談話も紹介した。択捉経済は苦境に追い込まれている。 |
|
ルーブル暴落、ロシア脱出計る外国人たち
AFP=時事 12月27日(土)16時46分配信
http://blog-imgs-72.fc2.com/p/r/i/prideofjapan/20141228072909113.jpg 露モスクワで、ルーブル急落に抗議し与党・統一ロシアのシンボルのシロクマの着ぐるみ姿でルーブル硬貨の大型模型をのこぎりで切るロシア共産党の支持者(2014年12月22日撮影)。 【AFP=時事】ロシアの通貨ルーブル暴落の衝撃は、ロシア国民だけではなく、同国に暮らす外国人たちにも広がっている。黄金郷から金融ブラックホールへと化した首都モスクワ(Moscow)では、外国人労働者たちが国外への脱出時期を計りはじめている。 ロシア、ルーブル暴落で穀物輸出を制限へ
出国したがっている外国人の数は定かではないし、実際に外国人が大挙してロシアから脱出していることを示す具体的な事例もない。それでも先週、ルーブルが数日間で25%も急落したことを受けて、そろそろロシアを去る潮時と考え始めたと明かす外国人は少なくない。 多少は持ち直したもののルーブルは今年に入って対ドル、対ユーロとも40%も下げており、多くの人々が財政的に不安定な状況に追い込まれている。 ■半年余りで収入半減 ジョイさん(28)は今年4月、子ども3人をフィリピン・マニラ(Manila)に残してロシアに出稼ぎに来た。モスクワの富裕層向けアパートで、清掃スタッフとして働く。賃金は4時間で1500ルーブル。 「こちらに来た当初は、換算すれば42ドル(約5000円)くらいになった。今は、同じ仕事なのにせいぜい20ドル(約2400円)程度にしかならない」とジョイさん。 家族を支えるため、ジョイさんは収入の3分の2をフィリピンに仕送りしていた。長男の進学費用と、夫がバイクタクシーの仕事に就くためのオートバイ購入資金を貯めるのが、出稼ぎの目標だった。両親の家の屋根の修繕もしたいと考えていたが、もはや、かなわぬ夢だ。 「今では家族の生活費さえ、満足に仕送りできない。でも、両親は状況を理解してくれなくて、私が以前より真面目に働かなくなったと思っている。心苦しいです」 とはいえ、賃金が支払われているだけジョイさんは幸運なほうかもしれない。多くの移民労働者たち、とりわけ旧ソビエト連邦圏出身の建設作業員らの間では、給料が全く支払われない例も増えている。 だが、帰国しようにも航空運賃はドル建てだ。「航空券はどんどん高騰しているのに、私の稼ぎは減る一方。すぐにでも出国を決意しないと、モスクワに取り残されてしまう」とジョイさんは話した。 ■「去るときが来た」 一方、30代のフランス人トレーダー、オリビエさんは、9月末にモスクワにあるロシアの銀行に転職したことを後悔している。転職の条件として提示された給与と賞与の額面は、申し分ないものだった。 「こいつは良い機会だ、と自分に言い聞かせたんだ。4年間ずっと成長し続けている活気に満ちた市場で活躍できるぞ、停滞しきった欧州におさらばするのも悪くないってね」 しかし、オリビエさんの着任後わずか2週間で、高額の給与も多額のボーナスも幻想となってしまった。ルーブル建ての給与の価値は、対ユーロで瞬く間に下がってしまったのだ。 2桁インフレで定期昇給分が相殺される可能性は想定していたかもしれないオリビエさんも、「毎日がブラックマンデーなんて事態は全く予期していなかった」と悲鳴を上げる。 「ロシア人が手持ちのルーブルを丸ごと売却しているのは確かだ。その国の人たちが自国の通貨を見捨てたら、外国人にとっては去るときが来たということだ」。そう語るオリビエさんは既に、帰国便を手配する用意があるという。 「帰国するのは僕が最初だろう。僕は独身で、子どももいないから。でも、他の人たちが出国し始めるのも、そう遠い先の話ではないと思うよ」 【翻訳編集】 AFPBB News
|
|
ロシアも「アジア・ピボット」で西側の制裁に耐える--メドベージェフ首相が強気の発言。ソチの経済フォーラムで講演
http://blog-imgs-67.fc2.com/p/r/i/prideofjapan/640px-Dmitry_Medvedev_official_large_photo_-1.jpg メドベージェフ首相は9月19日にソチで開催された「経済フォーラム」で講演し、「ロシアも「アジア・ピボット」で西側の制裁に耐える」と発言した。 どうやら欧米の対ロシア経済制裁が相当の痛みになってきたようだ。 経済制裁は効果がでるのに時間がかかると言われたが、ロシアのクリミア併合以来の、米国主導のロシア制裁は、主として金融締め付けだったため、報復関税や輸出入制限などの措置より効き目が早かった。 なにしろロシア財閥の上位十数人の海外口座を凍結したため、外貨欠乏という事態になった。
メドベージェフ首相の演説は、このポイントに言及している。 弱気とも取れる内容が含まれている。 「外貨不足によるルーブルの下落が成長の鈍化をもたらしているのは事実であり、いまロシアと西側の関係は最悪の状況にあると言える。しかし過去の対ロシアへの圧力は成功した試しがなく、われわれは中国を主体としたアジアへの転換によって、迅速に経済回復を図りたい」 プーチン大統領は九月訪日を延期したが、十一月訪日で調整中といわれ、自らが安倍首相に電話をかけてきた。 ロシアは再び、日本への急接近を試みているようだ。 |
|
プーチン訪日を中露分断戦略に利用せよ。
ロシアを追い詰めて中ロ連携強化をさせてはならない。
安倍総理のセキュリティー・ダイアモンド構想を強化するならば、中国包囲網はより強化されることになる。
当初のこの構想を前進させるとしたら、多少の不利益を生じてもプーチンとの友好を維持していくべきと考える。
ロシアが輸出したいものは資源であり、欲しいものはわが国の技術支援である。
ロシアは中国人のシベリア等進出を警戒している。決して中ロは連係できない弱みがある。
むしろわが国企業が積極的にシベリア進出し、信頼の高い技術を駆使すればロシアは喜ぶだろう。ただし技術を売ってはならない。ブラックボックスを作る必要もある。
そして、ロシアの資源を日本自らの手で開発し、輸入するという手立てもある。
このことは中国をシベリアから追い出すことにもなり、ロシアにとっても好都合である。
ただし、最大の同盟国である米国の誤解を招かないように、充分意見を交わし調整しておく必要がある。
【正論】露大統領に日本の土踏ませるな 北海道大学名誉教授・木村汎
≪アメとムチの併用にご用心≫
ロシアのプーチン大統領は8月に2つの対日シグナルを送った。ロシアへの農産物の輸出禁止に関して日本を対象外にすることと、ロシア軍をして北方領土で軍事演習を実施させることだ。ロシア得意の「アメ」と「ムチ」の併用作戦といえよう。これらの背後で、大統領は一体どのような対日政策を狙っているのか? 安倍晋三政権が採るべき対抗策は?
ロシアは北方領土の国後、択捉両島や千島列島で大規模な軍事演習を行った。もとより、これは以前から準備され、しかも、力を誇示しようとした主な相手は中国だったのかもしれない。だが、その場合でも、プーチン氏(露軍最高司令官を兼務)は、日本に対し気を使うことができたはずだった。演習場所を変えたり、規模を縮小したり、実施自体を延期したりするなどの配慮である。
ロシア側には、そのような気配りをしておかしくない十分な理由があった。クリミア併合以来、米欧諸国から制裁を科されているロシアは、以前にも増してアジア方面へと軸足を移し、中国や日本の歓心を買う必要に迫られているからである。それにもかかわらず、プーチン最高司令官は演習を強行した。
日露間では、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)が、2013年4月の安倍首相の初公式訪露により創設されている。両国の外相と防衛(国防)相が定期的に会合を持ち、外交・安保分野について話し合う枠組みである。 |




