以下本記事転載
【主張】
森本防衛相 安保政策をただす機会に
野田佳彦首相が第2次改造内閣で民間人から初めて起用した森本敏防衛相について、「政治家でない以上、責任をとれない」などと文民統制上の問題を指摘する意見が野党を中心に出ている。これはおかしい。
閣僚は文民から選ぶとし、民間人の起用を認める憲法に照らしても、森本氏の起用に何ら問題はない。
むしろ、防衛省内で背広組が制服組を統制する「文官統制」の悪弊の方が問題だ。
制服組トップを含む防衛会議の創設など改善点もあるが、省内の重要な意思決定は背広組が中心に行い、制服組を遠ざけるようなゆがんだやり方を是正すべきだ。
安全保障担当として不適格と指摘される大臣が2代続き、国会でも政府内でもまともな安保政策の議論ができなかった。
森本氏は、米軍普天間飛行場の移設問題で、日米合意に基づく辺野古移設案を「最善」とし、一貫して支持してきた。
北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出で日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなるなかで、森本氏の専門的な知見を生かしながら、防衛政策の強化や必要な防衛力整備を図る必要がある。
中でも根本的な課題は、集団的自衛権の行使容認に踏み込むかどうかである。
日米同盟の実効性を高めて中国などの脅威に対処するには、集団的自衛権の行使を容認しない憲法解釈を変更し、日米共同防衛の実を挙げなければならない。
安倍晋三政権が設けた首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は、平成20年の報告書で「従来の解釈では新たな安全保障の重要課題に対処できない」と明記した。
森本氏が「行使を認めなければ日本の安全や国益は守れない」と語ってきたのは正しい。だが、野田首相は政権与党として「考え方は変えない」と述べるなど消極的な対応だ。
野田政権は武器輸出三原則の一部緩和に踏み切り、重要な防衛政策の転換にも着手した。集団的自衛権行使の課題にも積極的に取り組んでもらいたい。
防衛省では5日から「防衛問題を語る有識者懇談会」を始めた。森本氏には、日本の安全に必要な安保・防衛政策の強力な推進を求めたい。