◆ 歌 舞 伎 素 人 講 釈 ◆〜私の観劇ノート〜

映画「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」上映会は大成功のうちに終了しました。ご来場の皆様、ありがとうございます。

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 今年で3回目を迎える浪花花形歌舞伎。昨年は丸本物がテーマだったが、今年は愛之助が「伊勢音頭」の福岡貢を、翫雀が「土屋主税」という「家の芸」に挑む。あわせて新作「大塩平八郎」をやるという野心的な構成だ。他の配役も魅力的で、期待を持って見物に行った。
 第一部『伊勢音頭』は「妙見町宿屋」から「野道追駆け」「地蔵前」「二見浦」を経て「油屋」「奥庭」と通しでの上演。それだけに筋が非常によくわかる。
 全体を通して光るのが愛之助の福岡貢、今田万次郎・お鹿二役の翫雀。まず愛之助の福岡貢はまさに仁左衛門写しで姿の良さ、色気と申し分ない。「油屋」「奥庭」ともに仁左衛門型。道具も盆流し暖簾に上手屋台だ(ただし、衝立も盆流しで平舞台なので道具は一部菊五郎型が折衷されている)。みどころのひとつ「万野呼べ」で羽織を脱ぎかけて決まり、万野に嘲られると、扇を裂いての見得ではなく両手を帯に回して決まる形だ。菊五郎型を見慣れた観衆には珍しい型だが、正統の仁左衛門型で、まさに「家の芸」を丁寧に演じる愛之助の姿勢が素晴らしい。10人斬りも舞台を回して丸窓から血みどろの貢が飛び出す。仁左衛門型の見せ場のひとつで、実に迫力があって面白い。
 福岡貢はいわゆる「ピントコナ」という芯の強さを持った色男という難しい役だが、愛之助はその強さと色気を十分出した。「身不肖なれど福岡貢」の台詞にも力がこもっている。いまさらながら愛之助が松嶋屋の若手の中で群を抜いた実力を持っていることを実感させる舞台だ。
 翫雀の今田万次郎は、気品と色気がある。だが、いちばん印象に残ったのはお鹿の方だ。実に可憐で、しかも頭が少し足りない感じがするお鹿である。それがかえって可愛さとなっている。翫雀の人の良さが活きている。おまけに仁左衛門型だから10人斬りでお鹿は斬られてしまう。可哀相なお鹿。
 愛之助、翫雀についでお手柄は、亀鶴の奴林平。とくに「追駆け」「地蔵前」では橘三郎の桑原丈四郎、松之助の杉山大蔵というベテラン脇役2人を相手に大活躍。身体能力の高さと、持って生まれた華を感じさせる。ついでにいうと、橘三郎、松之助もいかにも上方役者らしいチャリを利かした演技。WBCの王監督や荒川静香まで登場させ、最後にはイナバウアーまで決めた。こういうサービスはどんどんするべき。また脇役陣では松之亟の千野が清楚さで目に付いた。新車の料理人喜助も落ち着いた演技で、上方歌舞伎にとって貴重な戦力であることを印象づけた。
 一方、やや残念だったのは吉弥の万野。おそらく六代目歌右衛門のような、女性的で「いけず」な万野を目指したのだろうが、やはり芸格が不足。万野という役の難しさを改めて知る。いっそのこと二代目鴈治郎のようなコッテリとした意地悪さ(これはこれで、そうとう難しいが)を目指した方がいいのではないか。その方が上方歌舞伎らしいし、吉弥にとっても芸系を広げる可能性があったと思う。孝太郎のお紺も情が薄い。
 進之介の藤浪左膳は貫目が不足。やはりまだ老け役は無理だろう。ただ、その老け役の拵えを見て、私の後に座っていた老紳士が思わず「おとっつあんにソックリやな」と呟いたことを記しておく。こういうことは歌舞伎役者にとって、大事なことだからである。
(写真は、番付表紙)
(後篇に続く)

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