ザ・ビートルズ 完全日本盤レコード・ガイド

THE BEATLES PERFECT JAPANESE RECORD GUIDE(BPJRG)を目指して、研究しています。

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ポリドール・セッションのおまけとして、このセッションの代表曲である「マイ・ボニー」の元歌について考察してみました。今回はお盆休み特集?としてちょっとヴォリュームがありますが、お付き合いください。
 
以前、K.0.S.さんのブログのポリドール・セッション解説で、スリー・ファンキーズの「恋人は海の彼方に」(JP-5201)の元歌の件について触れられていました。シェリダン(ビートルズ)・ヴァージョンが元歌とする書籍もありますが、ビートルズ・クラブ会報ではボビー・ダーリンが元歌との記述もあります。確かにスリー・ファンキーズの曲の日本語詩を書いた漣健児氏の作品リストがアップされた「SAZANAMI WORKS」というサイトでも、元歌はボビー・ダーリンとなっています。事実はどうなのでしょうか。この疑問について調べてみました。
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調べますと、ダーリンの「マイ・ボニー」は、62年国内発売のLP「ボビー・ダーリン・ストーリーⅢ〜ボビー、レイ・チャールスを歌う」(SJET-7096)に収録されており、タイトル通り、元歌はレイ・チャールズです。
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チャールズは59US発売のLPWHATD I SAY」(Atlantic 8029)で、「マイ・ボニー」を発表しています。このLPの日本盤発売については不明ですが、「マイ・ボニー」が収録されたEP639月発売のEP「レイ・チャールスをあなたに」(SJET-96)や、64年の初来日記念で649月発売のEP「ウエルカム・レイ・チャールス」(SJET-212)に収録されています(ここまで紹介した国内盤3枚は、全て「チャールス」で「チャールズ」ではありません。当時は「チャールス」だったようです)。
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音源を聴く限りチャールズの歌はソウルフルな歌い方で、ダーリンもチャールズ・ヴァージョンに準じており、スリー・ファンキーズ・ヴァージョンの曲調とはかなり異なります。なお、チャールズ及びダーリンの「マイ・ボニー」の作者は「レイ・チャールズ」になっています?作者不詳のトラディッショナル・ソング、スコットランド民謡ではなかったのでしょうか?
 
さて、スリー・ファンキーズのタイトルと全く同じ、ズバリ「恋人は海の彼方に」というタイトルの曲が国内で発売されています。ドンナ・ハイタワーが62年に国内で発表したシングル(US-9)です。ツイストの曲調や楽器の使い方等を比べると、スリー・ファンキーズ・ヴァージョンとハイタワー・ヴァージョンは類似していますので、結論から言うと、ハイタワー・ヴァージョンが元歌になるものと思われます。日本語タイトルからしてもそのように考えるのが自然と思われますが、何故かそのような指摘は見たことがありません(指摘されている方がおられたらすみません)。
 
ハイタワー盤は日本で629月発売、スリー・ファンキーズ盤は633月発売ですので辻棲は合います。ハイタワーは当時「ミス・ツイスター」と呼ばれ、またレコードも中古市場でも時々見かけるので、ある程度の枚数は売れたようです。スリー・ファンキーズがカヴァーしても不思議はありません。更にその2カ月後、飯田久彦も同じ日本語タイトルで同曲をシングル発売しています(SAS-21)。ここでは、62年発売シングル(US-9)、4曲入りEPUW-12)、70年再発シングル(UP-182-V)のカヴァー写真を載せます。
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なお、62年盤はカヴァー表と、カヴァー裏解説・レーベルではAB面が逆に表記されています。またレコード番号は同じで、AB面逆になった文字だけのカヴァーも存在します。実は文字カヴァーが初回盤で、写真カヴァーはビートルズの影響でカヴァー表だけをAB面逆に表記した、64年再発のカヴァーかもしれません。さらに70年再発盤のタイトルは「マイ・ボニー」に変更されています。解説にビートルズのことも記載されており、これもビートルズの影響でしょうか?
 
なお、日本語タイトルに関しては、チャールズのEPは「マイ・ボニー」そのままで、ダーリンに関しては国内でシングル発売されているのかは不明ですが、上記LP収録のタイトルも「マイ・ボニー」となっています。スリー・ファンキーズ・ヴァージョンの元歌がダーリンとする説は、推測ですが、ダーリンの代表曲「ビヨンド・ザ・シー」の日本語タイトルが「海の彼方に」で、しかも「マイ・ボニー」も録音している、このような状況が重なって、「スリー・ファンキーズの元歌=ボビー・ダーリン」となったのではないでしょうか。
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シェリダン・ヴァージョンは、チャールズ・ヴァージョンを参考にしたとする文献もありますが、シェリダン本人の言葉を借りると、「あれはジーン・ヴィンセントから借りてきたもの」だそうです。97年来日の際のインタヴューでそのように発言しています。全く同じではないが、私たちと似たようなものをやっていた、結局ヴィンセントのアイディアを頂いたが、彼もアイディアをレイ・チャールズからから頂いた、とも語っています。シェリダンは60年頃に、ヴィンセントやエディ・コクランのUKツアーにギタリストとして参加しています。コクランが亡くなり、ヴィンセントが重傷を負った、604月16日の自動車事故の際も、シェリダンは格の違いで車に同乗できず、難を逃れています。ヴィンセントがライヴで演奏し、それを見たシェリダン(ビートルズも?)がヴィンセント・ヴァージョンを参考にして録音したことは間違いないようです。
ちなみに、チャールズやダーリンはこの曲の2番の歌詞も歌っていますが、シェリダンは2番は歌わず、1番を繰り返し歌っています。しかし、YOU TUBEで見られる近年(2011年前後)のシェリダンのライヴ映像では2番も歌っています。
 
では、ハイタワーもチャールズ・ヴァージョンを参考にしたのでしょうか?もしかするとダーリン経由かもしれません。曲調は異なりますが、レコード盤のレーベルにはアレンジが「Jack Say」(ジャック・セイ:ベルギーの作曲家・アレンジャーのようです)となっており、彼がツイスト風にアレンジしたようです。また、ハイタワーも2番を歌っています。
しかし、ハイタワー盤のカップリングが気になります。「聖者の行進」です。これもアレンジは全く違いますが、シェリダンのシングル「マイ・ボニー」と全く同じカップリングです。偶然でしょうか、それとも、ハイタワーはシェリダン・ヴァージョンを聴いていたのでしょうか?
ハイタワーの略歴はあまり分かっていませんが、50年代にキャピトル・レーベルからLP2枚出した後、60年代初めにベルギーに移り、そこで録音した曲がこのシングルです。同じヨーロッパ、ドイツの隣国ということで、シェリダン・ヴァージョンを耳にした可能性は高いのではないでしょうか。多少なりとも影響を受けているとすると、スリー・ファンキーズ・ヴァージョンも間接的にシェリダン・ヴァージョンに影響を受けたことになりますが…。もっと調べると別の可能性も出てくるかもしれません。果たして真実は‥・?
 
ここで、レイ・チャールズの「マイ・ボニー」から派生した各ヴァージョンへの、現状考えられる流れを以下にまとめてみました(カッコ内は発売年月・発売国)。全ての大元はレイ・チャールズとしています。
 
●レイ・チャールズ(59/10US)→ジーン・ヴィンセント(60頃ライヴ演奏)→トニー・シェリダン(61/6録音、61/10GER62/4JPN
●レイ・チャールズ(59/10US)→ボビー・ダーリン(62/3US
●レイ・チャールズ(59/10US)→ドンナ・ハイタワー(62/9JPN)→スリー・ファンキーズ(63/3JPN)→飯田久彦(63/5JPN
 
なお、スリー・ファンキーズのカヴァーには英語タイトルが表示されていますが、「My Bonny is Over the Ocean」と、「Bonnie」が「Bonny」、「lies」が「is」となっています。意図的でしょうか、単なるミスでしょうか?ちなみに、飯田久彦の英語タイトルでは、正常に戻っています。
最後に、スリー・ファンキーズ・ヴァージョンを聞くと、出だしが中村八大作曲「明日があるさ」(63121日発売)とオーヴァーラップするのですが…、これまた影響を受けているのでしょうか(コードもほとんど同じ?)。
 
次回から、来日記念としてポール特集に突入したいと考えています。

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