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クレーマー

クレイジーな方からクレーマーがきて、
おセンチな気分になってしまい、ずいぶん、ひきずった。

1回だけ、クレームの電話で泣いたことがある。
なんか、悔しくて、涙が出てきたことがある。

私は人の悪意や感覚の麻痺がとっても恐い。

そういうのがうみだしてきた歴史を、
今もうみだされつづけている世の中の不条理の膿を思うと、
ぎゅっと胸がしめつけられるから。

無力で、誠意が伝わらない私を認識すると、悔しくなる。

電車や街角で、見知らぬ人が喧嘩を始めたり、
誰か他者に対して激昂している人を見ただけで、
じわっと涙が出てくる。

今日のクレーマーは、前回泣いたときと同じ人だった。
あるお店の方をずっとストーキングしている方だということが判明した。

今日は涙はでなかったけど、
それでも、
彼女をそこまで屈折させてしまったものが一体なんなのかを想像したら、
やはりへこんでしまった。

私は暴力が恐い。
身体的なもの、言葉による他者への攻撃。
「言葉による」というのは、どういうことかというと、
それは対話であったり、議論であったり、そういうのじゃなくて、
ただ感情は憤りをぶつけたいがための、私自身への人格の攻撃であったり、
そういったものを目の前にしたとき、
私は私の足下がぐらぐらとゆれ始めるのを感じる。

わかりあえなくても、尊重しあえるのが、
もしくは尊重する努力を怠らないのが人間だと思っている節があるから、
その前提を揺るがす事態に遭遇したときに、私は恐怖でいっぱいになる。

全ての人を愛したいと思うことは、自分の身勝手でしかないけど、
でも、私は、やっぱり、
「愛したい」とか、
「理解できないけど、そんなあなたも好き」とか、
そういうの大事にしたいんです。

森達也『世界が完全に思考停止する前に』を読んでいる。
森さんの繊細さにに感情移入してしまう。
ジャーナリズムってこういうことだよ、きっと。
権力なんていらないんです。
ぜひ、読んでほしいです。手にとってほしいです。

大学の図書館で現代思想を手にとったら、森さんが光市母子殺害事件について対談で語っていた。
わたし、この日本社会においてはマジョリティではないことを重々承知しながらも言明すれば、
死刑制度には反対です。
そう、4年前は反対って断言するの恐かったんだけど、今なら億尾もなく言える。

「おまえが殺された遺族の家族だったらどうすんの?」
このロジックはフェアじゃない。
だって、私の家族は、現実に殺されていないのだから。
当事者の語りに共感しても、当事者の憤りを想像しなぞっても、
当事者の語りを踏襲して語ること、これとは全く別のことだから。

テレビの討論番組に出たとき、
司会者に誰に意見を訊きたいかと尋ねられ、
死刑制度について、迷うことなく森さんに質問をふったのは、
死刑反対を静かに唱える勇気ある森さんに対して、私は強いリスペクトを抱いているからなんです。

ということで、
ぜひ『世界が完全に思考停止する前に』手にお取りください。

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