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「墨俣一夜城物語」(その二)

15書状のアップ
「千年おおとり」の花押。

15A藤吉郎の館(数日後)
藤吉郎、その花押を指さしている。
藤吉郎、前にいる右筆(代書人)に書状の花押を指さしながら、
藤吉郎「この通りに、花押を書きゃ〜せ」
右筆「こ、これは・・・・千年おおとり・・・・竹中半兵衛どのの花押ではございませんか?・・・・」
藤吉郎「あの仁は・・・・掴(つか)みようがない男じゃ・・・・
さ、さ、かまわん・・・・わしの言う通りに書きゃ〜せ」
   藤吉郎、書状を振り回す。

16半兵衛の手紙
   フラッシュ。
安藤、氏家、稲葉に、飛脚便が走る。
その映像に、半兵衛の顔と手紙がWる。
半兵衛の声。
N「其(そこ)元(もと)、木下どのより話を聞き及び、木下どのの勧めに従う事、やぶさかには存じ申さず候・・・・美濃・斎藤家の滅亡の事、程遠き事に有り申さず候・・・・早急(さっきゅう)に内々にお話したき儀あり・・・・江南の生駒屋敷まで御足労願い度く、よろしくお願い申し上げ候・・・・」
   藤吉郎の顔がWる。
N「その上、木下どのの方法等御覧頂ければ幸甚に存じ奉り候」
という文面が声とともに流れる。

17江南の生駒屋敷・門
安藤、氏家、稲葉の三人の駕籠が到着する。
生駒右太夫が門の前で、招きいれる。
稲葉たち三人、顔を合わせ、半兵衛の手紙を見せ合う。
稲葉「わしらは半兵衛どのの手紙を見て、やってきたのじゃが・・・」
   そこへ藤吉郎が出てくる。
藤吉郎に、安藤が詰め寄る。
安藤「半兵衛はまだ来ないのか?」
藤吉郎「ヘヘヘ・・・・じつは急に信長さまから使いがきて、半兵衛どのは先に清洲へ向かわゃ〜した・・・・御三人も後から清洲へどうぞって、ゆうてござりゃ〜した」

18信長の居城
藤吉郎の案内で、三人、拝謁する。
稲葉、不審な顔で、藤吉郎に聞く。
稲葉「半兵衛どのは?」
藤吉郎「今探しておりや〜す。ささ、信長さまにご拝謁を」
安藤「われら三人だけでござるか?」
藤吉郎「ささ、信長さまがお待ちでござりゃ〜す」
   三人、しかたなく信長の居室に拝謁するため入っていく。

18A信長の居室
   上機嫌の信長。
信長「よく来られた。半兵衛も大事だが、三人衆が本命である。ささ、お楽になされい・・・多少の馳走を用意させましたぞ」
   きれいなお女中たちが、膳を運んでくる。
   三人衆、観念したように、平伏する。
信長「ハハハ、そこもと達は先が読める方々とわしは思っていたぞ。ささ、清須の料理も美味でござる。各々方、ゆるりとされるがいい」

19同・一室
   数日後。
   信長と藤吉郎。
信長「美濃攻めには、墨俣に砦がどうしても要るのじゃ。サル、だれか任せる奴がいないか?」
藤吉郎「わたしめにお任せ下され」
信長「なに? きさま足軽頭の分際で? なにか策でもあるのか?」
藤吉郎「ごぜえます」
信長「言ってみろ」
藤吉郎「言うたら、任せて下されますか?」
信長「三日で作ることができるか!」
藤吉郎「任せて下されますね」
信長「くどい! 出来るのか、出来ないのか?」
藤吉郎「で、で、出来まする」
   と床に頭をこすりつける。

19栗原山
   藤吉郎は、稲葉一徹と一緒に、半兵衛の寓居を再訪する。
伝七と新吾、お供についている。
藤吉郎「先般はご無礼いたした・・・・半兵衛どのに無断で策を弄して・・・・」
半兵衛「私は何とも思っておりませぬ・・・・藤吉郎どのの策略にはとても及びませぬ」
稲葉「わしらは、単純だからのう。一杯食わされたよ」
藤吉郎「ハハハ、言や〜すな、言や〜すな、そんなに褒められちゃ、わしは困ってしまうでよ〜」
 藤吉郎、急に真顔になって、城の図面を広げる。
藤吉郎「ところで・・・・墨俣に城を築くには、一に資材、二に築城、三に戦さと、わしゃ〜思うんじゃが」
半兵衛「さすが、藤吉郎さま。眼の付け所が違いますな」
稲葉「そういうもんかな・・・・わしは命じられたら、あと先考えずに、城を作るだけで精一杯になってしまうんじゃが・・・・」
藤吉郎「(上目使いに)いや・・・半兵衛どのは、わしとは違う案を持ってとるらしいにゃ〜?」
    藤吉郎の眼がキラリと光る。
    半兵衛、藤吉郎を見つめる。
半兵衛の声「この男についていった方がいいか・・・・この男ならば、自分の意見を取り入れる料簡をもっている」
    半兵衛が藤吉郎に言う。
半兵衛「さすが、藤吉郎どのには、ウソはつけないですね」
藤吉郎「(ジロリと見て)その別の意見とはなんじゃい?」
半兵衛「・・・・(黙って立ちあがる)」
稲葉「ハハハ。半兵衛どのの考えは、この稲葉一徹の頑固頭では、さっぱりわからぬわ!」
    半兵衛、古文書を出してくる。
    半兵衛、静かに語り出す。
半兵衛「孫子曰く・・・・凡そ兵を用うるの法」
    神妙な顔でそれを聞く藤吉郎と稲葉。
半兵衛「・・・・戦さを巧みに行う者は、敵の謀りごとを防ぎ、未然に屈服させるが上策である」
    藤吉郎、身を乗り出す。
半兵衛「兵を挙げて戦う事は、味方も損傷して下策である・・・・敵の国を破るが、長い戦いはしない・・・・従ってわが軍は破れる事がなく、得るところの利は完全である・・・・これが計略を持って敵を攻める時の法則である・・・・」
稲葉「さすが知恵者!・・・・わしらの軍師じゃ、ハハハハ」
半兵衛「一に資材、二に築城、三に戦闘と藤吉郎ど
のは言われたが、築城は目的にあらず」
藤吉郎「!(目をむく)」
半兵衛「・・・・目的は敵との戦闘に勝つことである・・・・ゆえに、一に資材、二に戦闘、三に築城・・・・築城は形だけ見せて、本物は後々(あとあと)の事でいい」
    半兵衛、城の図面を押しやる。
    藤吉郎、立ちあがって、
藤吉郎「わかった!わかった! 一に資材、二に戦闘じゃ! 伝六、新吾! 蜂須賀小六に、心強い軍師が見つかったと、すぐ伝えろ!」
    伝七、新吾、平伏する。

20道
伝七と新吾、伝令として走る。

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おおお!登場人物がすごく生き生きと描かれていますね〜!若き日の秀吉ってこんな感じなんですか〜。

1も拝見しましたが2でさらに面白みが沸いていきました。しかし、脚本って、構成力とか、大変でしょうね〜。ある意味作曲家に近いかもしれない作業でしょうか。すごいです!

2009/9/30(水) 午後 8:42 [ - ]

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sinjiさん。感想、感謝します。
次の3で終わりです。(10月中に発表)
さてさて、映像化が大変!!

2009/10/1(木) 午前 8:55 [ わいわいがやがや ]

第二話完成しましたね!力作ご苦労様でした。

毎回文語体もふんだんに取り入れての作業なかなかハードではないでしょうか。脚本ですからダイアローグと共に登場人物の諸仕種等も的確に表現するので骨が折れる作業ではないかと思われますが、よくここまで構築されましたね。

傑作

2009/10/1(木) 午後 1:03 [ 彩帆好男 ]

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サイパンさん。さっそく読んで頂いて、嬉しいです。なんだか褒められたような気がします。まだまだ、書き込む必要があります。

2009/10/1(木) 午後 6:06 [ わいわいがやがや ]


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