“かさじぞう”のお話です。
このお話にはいろいろなバージョンがあります。私の知っているだけでも以下のバージョンがあります。
  • お地蔵さまが5体〜7体
  • 主人公が老夫婦、また若者
  • 売る商品が、笠、蓑、または髪飾り
お話が口々に伝わるうち変化していったのでしょうね・・・
しかしお話の本質部分に関しては、終始一貫しているように思います。主人公のやさしさで、ほっと心が温まるお話なんです。

小さなお地蔵さまです。
 
是非、絵本を楽しんでね それでは・・・“かさじぞう”の始まり、始まり〜
 
 
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“かさじぞう”の絵本

むかしむかしの話です・・・
 
 
 
 
あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。ふたりは一生懸命に働く正直者で、貧しいながらも仲良く暮らしておりました。ある年のこと・・・
 
 
 
 
 
 
その年は天気に恵まれなかったため、作物の出来が悪く食べ物が不足していました。おじいさんは「このままじゃあ、正月が迎えられん。」とため息をつきました。
 
 
 
 
 
 
今年も残り二日となった歳の暮れ。ふたりは家にある藁(わら)で何か品物を作って町で売ることに決め、おじいさんは笠を、おばあさんは蓑(みの)を作ることにしました。
 
 
 
 
 
 
夜通し頑張って笠と蓑が6つずつ完成しました。そして大晦日の朝・・・「ばあさん、正月用のお餅を楽しみにな」そう言って、おじいさんは町へ出掛けていきました。
 
 
 
 
 
 
しばらくすると村外れのお地蔵さまの所にさしかかりました。おじいさんは足を止め、お地蔵さまの方へ向きを変えました。
 
 
 
 
 
 
「ばあさんとふたり、健康で良い正月が迎えられますように・・・」おじいさんは、いつものように手を合わせました。
 
 
 
 
 
 
町に到着すると、さすが大晦日、たくさんの人々が通りを行き交っています。「この場所ならあっと言う間に売れそうだ」おじいさんは通りの一角に場所を借りて、笠と蓑を売り始めました。
 
 
 
 
 
 
「笠はいらんかね〜、蓑はいらんかね〜」道行く人に声を掛けますが、笠と蓑は売れません。雪が降っておらんからのぉ・・・心の中で呟きます・・・雪さえ降れば・・・
 
 
 
 
 
 
夕方になり雪が降り始めました。待ち望んでいた雪ですが、笠も蓑も一向に売れません。どうやら大晦日も夕方となり、年越しの準備のため、みんな家に帰ってしまったようです。
 
 
 
 
 
 
おじいさんは売ることをあきらめ、家に戻ることにしました。「ばあさん、がっかりするだろうなぁ」そう考えると足取りも重くなり、気分が沈んでしまうのでした。
 
 
 
 
 
 
時間とともに雪の降りかたは強くなりました。村の外れに戻った頃には、辺り一面は真っ白になっていました。
 
 
 
 
 
 
いつものようにお祈りをして、改めてお地蔵さまを見つめました。頭に雪が積もって寒そうだな・・・「そうだ!良いものがありますよ」
 
 
 
 
 
 
「売れ残りで申し訳ないけれど使ってください」お地蔵さまの雪を払い、笠を被せ、蓑を着せてあげました。
 
 
 
 
 
 
「数がぴったりで良かった」お地蔵さま6体に笠と蓑が6つずつ。町でひとつも売れなかったことが、かえって良かったように思えました。
 
 
 
 
 
 
ばあさんが心配するので、そろそろ・・・おじいさんが出発しようとすると・・・
「あんれ、まぁ・・・」
 
 
 
 
 
 
「もう一人いらっしゃいましたか⁉6体のお地蔵さまに隠れるように、もう1体小さなお地蔵さまが立っているのでした。
 
 
 
 
 
 
「これで我慢してください」おじいさんは身に着けていた手ぬぐいを小さなお地蔵さまに被せてあげました。“赤い手ぬぐい”だからでしょうか、小さなお地蔵さまの頬が少しだけ赤くなりました。
 
 
 
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おじいさんが家に戻ったのは、除夜の鐘が鳴り始めた頃でした。
 
「今日は本当にご苦労さま、さぞ疲れたことでしょう」おばあさんは笠と蓑のことには一切触れず、ねぎらいの言葉を掛けてくれました。
 
 
 
 
 
 
笠と蓑が売れなかったこと、お地蔵さまに差し上げたこと、おじいさんは正直に打ち明けました。「それはとても良いことをしなさった」おばあさんはそう言って一切責めようとしませんでした。
 
 
 
 
 
 
ふたりが寝息をたて始めたころ・・・家の外で “ズルズル” と何かを引きずるような音が聞こえてきます。小さかったその音は、だんだん大きな音になり家の前で止まりました。そして・・・
 
 
 
 
 
 
「どすん⁉
とても大きな音がして、ふたりは目を覚ましました。
 
 
 
 
 
 
動物かな?おじいさんが恐る恐る戸を開けると、入り口が塞がれていて外に出れません。「誰だ、こんなイタズラをするのは?」おじいさんは隙間を無理矢理に作って外に出ました。すると・・・ビックリ仰天⁉
 
 
 
 
 
 
家の前には、米俵、野菜、果物、魚、それにお正月用の餅まで。ふたりでは食べきれないほどの食料が置いてありました。「いったい誰が?」おじいさんは辺りを見回しました。
 
 
 
 
 
 
雪道には重たい石でも引きずったかのような跡があります。引きずった先の方向へ目を向けると・・・「ん、人影?」・・・いえ違います、笠と蓑を身に着けたお地蔵さまが立っているではないですか。6体のお地蔵さまと、小さなお地蔵さまの姿も見える。
 
 
 
 
 
 
、そして赤い手ぬぐいのお礼として、お地蔵さまがこれらの食料を届けたのでした。そのおかげで、ふたりは幸せなお正月を迎えられたのでした。
めでたし、めでたし・・・