「東京新聞 TOKYO Web版」で興味深い記事を発見した。
11月19日 12時19分付配信の「『原発報道』中学生が討論 本紙記者が東大和でNIE講演」と題した記事だ。
最初に「NIE」という言葉について説明しなければならないだろう。私は初めて聞いた。
NIEとは「Newspaper in Education」で「教育に新聞を」という意味らしい。学校など教育現場で新聞を教材にして学習する方法で、アメリカで1930年代にニューヨークタイムズが新聞を学校で教材とした学習を始めたのが最初だという。NIEを教育上利用している国家は、現代では世界で52か国にのぼっており、日本では、日本新聞教育文化財団が推進している。
さて、記事の中身は、東京の多摩地域で小中・高校生向けの学習塾を展開する「ING(アイ・エヌ・ジー)進学教室」(本部・東京都青梅市、岡田弘行代表)が十八日、東大和市向原の東大和教室で、新聞を教育現場で活用する取り組み(NIE)として、「東京新聞」原発取材班デスクの山川剛史記者を招いて講演会を開いた。
中学1、2年生約50人が参加したという。
その中で、東京電力福島第一原発事故で高まる原発存廃論をめぐり、山川記者は新聞やテレビで報じられる情報を示し、「受け取る情報の違い」によって物の見方がどのように変わるのか、グループ討論を通じて生徒らに考えてもらったという。
初めに「原発なしでは電気が足りない」「原発は二酸化炭素を排出せずエコ」など流布されている原発推進色の強い情報を紹介した。
生徒たちは8つのグループに分かれて話し合い、各代表が発表した。
そのときは、原発「必要」論は3、「不要」論が2、「中間」的な意見は3だった。
その後、放射能汚染で耕作できなくなった福島県の田畑の現状写真や「原発ゼロでも夏を乗り切れた」という実際の情報を示し、再度討論して発表してもらった。
「必要」論や「中間」的な意見だった4グループは「原発なしでやっていけるなら不要。頑張って再生エネルギーなど代わりの発電を考える」「原発がなくなると原発のある地域が苦しいかと思ったけど、事故があると大変。新しい発電方法を見つける」──と「不要」論に変わった。
最終的に「不要」論は6、「必要」論、「中間」は各1となったというのだ。
東大和教室の大森崇教室長によると、講演後の生徒のアンケートで「原発に興味を持った」「違う人の意見を聞けて楽しかった」「一つの記事でも、どこに重点を置くかで内容が変わることが分かった」──などの感想が寄せられたという。
このことは、メディアによる、世論誘導がまさに可能であるということが明らかになったのだと思う。そして、現に、これまでメディアによってそういう報道がされてきたということである。
大規模な原発再稼動反対の集会やデモをいっさい取り上げず、一方で、夏が近づけば「電力が不足する」と政府や電力会社の広報紙のような報道をした新聞もある。
未だに故郷から避難し帰れない人たちの苦労、放射能汚染の除染作業がすすまない問題、復興予算がまったく違うことに使われている問題……こういう大問題を引き続き継続して追いかけ報道しているメディアもある一方で、残念なことに、それらにはいっさい目を伏せて、再稼動と原発の推進の必要性を説く大手メディアもあるのだ。
これから選挙となる。
私たちは、メディアによる情報提供を丸呑みすることなく、常に自分の頭で考えて選択をすることが必要だ。
同時に、大手メディアが、3・11後の初の国政選挙となる総選挙と首都東京の都知事選に向けて、重要な大争点となるべき原発問題を覆い隠し、意識的に争点をそらすような報道をしないように、しっかりと監視しなければならないだろう。