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Mr Nobodyさんより転載:
平家物語
一人のアメリカ人と面識を得る機会があった。
最初に自己紹介の時点で、自分の障害について明かす。
障害者の就業についての言い方を借りれば、オープンで面接に臨んだことになる。
「私はうつ症状やPTSDがありますが、それは二次的な障害です。」
「一番中心にあるのは、発達障害か、もしかするとアスペルガー症候群です。」
「アスペルガー症候群については最近、各種メディアが報じているとおり、あのコネティカット州の
小学校で大量射殺事件を起こした犯人も、アスペルガーだったとして恐怖感をあおっています。」
「もしも私がアスペルガーを持っている事が気になるなら、今言って下さい。そうすれば、私は二度と
お宅へお邪魔することはありません。」
「さあ、どう思うか言って下さい。」
その人は答えて言った。
「別に何もないよ。」
あくまで自然体なので、こちらがひょうし抜けしてしまった。
「何も・・・・・、無い・・・・・・・・・?」
怪訝な顔を見せるこちらに、その人は初めて自分の職業について説明してくれた。
「You know,my job is カナシイ。」
(あのねえ、オレの仕事はカナシイヨ)
突然日本語がはさまったので混乱していると、なおも続けて言ってくれた。
「自分は何回も戦闘に参加したんだ。」
「それじゃ、あなたは、G I、だったのですか?」
「湾岸戦争とかに参加した経験があるのですか?」
私が確かめる。
肯定する返事が来ると同時に、他のいくつかの紛争地の名前が挙げられた。
差し障りがあるといけないので、ここで具体的な地名は書きません。
「しかし、また何という生き方。なんというキツイ仕事を選んだものですね!」
私が、びっくりする。
何をどう威張るでもなく、話が続く。
「これも家族を養うため。家のローンを払う為だからね。・・・・・・・。以下略」
愛国心についての演説も無ければ、世界の警察として、民主主義の安泰を守るアメリカ軍の
国際的な貢献に付いての自慢も無かった。
平家物語の有名な一話に、「敦盛最期」がある。
平家の若武者を源氏側の騎馬武者、熊谷次郎直実が、立場上、選択肢を全て奪われ、
状況に否応なく動かされる話だ。
最初は、兵士としての功名心からその若武者の首級をあげて持ち帰ろうとするが、
次第に相手の歳等が分かると同時に、憐れさも感じ始める。
しかし、自分の仕事の義務として、いつまでも相手を憐れんでも居られない。
最終的に、自分の息子と同じ位の歳の青年の首を熊谷次郎は、嫌々ながら掻き切って
その若武者の最期を見届ける。
高校の古典の教科書にも載っている、有名な話だ。
(ノーマン=メイラーの [裸者と死者] にも、これと少し似た話が出てくる)
熊谷が自分の仕事について嘆く。
「弓矢とる身ほど、口惜しかりけるものはなし。」
時は現代に移る。
泣く子も黙る、アメリカ海兵隊の兵士が言う。
「You know,my job is カナシイ。」
(あのねえ、オレの仕事はカナシイヨ。)
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