12吸血部族物語。 + ミニバラ奮闘記。

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 「そりゃあ俺だって先生からのチョコレートは欲しい。
だけどまあ、それは望めないというか。
いや、まあ先生が買ったチョコなら食べれない事もないんだが」

 龍司のなんとも言えない態度に双葉は少し考えた。
先生からチョコレートを貰うのはまず無理だろうと思われる。
先生から見れば龍司は学校内の一生徒、よくて弟と仲の良い子という認識くらいであろうし、彼事態大っぴらにアピールしているわけではない。
まあもしそんな事をすれば先生は困るだろうが。
しかし、買ったチョコなら、というのがわからない。
そこで双葉龍司に直接聞いてみることにした。

 「買ったチョコって?」

 「……先生がエナに買ったチョコ。」

 「それは……また……」

 全くもって虚しいだけではないかと双葉は思った。
好きな相手が弟にあげたチョコを貰うなんて……悲しすぎる。

 「それって嬉しいの?」

 「微妙だ。先生が選んだのだと思うだけで、そのチョコがいとおしくなる気がする。」

 恋は盲目とはよく言ったもので、これは重症だなと双葉はため息をついた。
龍司自身の顔は悪くはないし、柔道をやっていてがたいもしっかりしている。
多分チョコの1つや2つ渡したい女性徒はいるはずだと双葉は簡単に予想できた。
ただ好きな相手はやっぱりよく観察してしまうから、龍司に思い人がいるのが解って遠慮しているのではと思う。

勿体無いことだと双葉は思う。

学生生活での恋愛なんてまだ楽しんだ者勝ちだ。
歳を取れば色々なしがらみが出来るし、相手の事だけ考えれば良いというわけにもいかなくなる。
それなのに可能性もない相手を一途に思って他の子との可能性を無くすなど双葉には考えられない事であった。
有るかもしれない出会いを捨ててまで1人に固執できるほどの経験は今まで双葉にはなかったし、そうする気も元々なかった。
どちらかといえば双葉にとって恋愛は楽しいもので、苦悩するものではないという考えであった。

 「お前は?誰かに貰いたいとかあるんじゃないのか?」

 「別に。そりゃ、貰えないのはさびしいけど。」

 龍司の質問に双葉は思っていることを答える。
誰か1人から貰いたいと切に龍司のように思っているわけではない。
しかし、1つも貰えないというのは寂しすぎるし、毎年義理だが幾つかの当てはあった。
今年だって何人か良くしてもらっている方々から貰えるだろうとは思っている。
彼女達とはつかず離れず、義理チョコを貰えるくらいのそれなりの関係を築けているはずである。
ヘタに本命チョコなど貰ってしまっては双葉としてはこれからの対応に困るというものだ。

 「・・・・・・もてる奴は言うことが違うな。」

 「そういうつもりは無いけど。
・・・・・・でもさ、龍司は先生以外の子からチョコ貰っちゃったらどうするの。」

 「・・・・・・それは」

 むむむ。と龍司が考え込むのを双葉は何を言うまでもなく眺めた。
多分龍司が先生を好きではなく、双葉のように明らかにフリーな雰囲気をしていればチョコをもらえるだろうがそれは言わないことにする。
女生徒だって負ける戦をかけに来るほど馬鹿ではないであろうし、それだけの度胸があれば既に告白の1つや2つ龍司のところにきているはずだ。

 「あ、でも、もうそういやチョコ食ったな」

 龍司が思い出したように言った。

 「は?」

 まだバレンタインまでは1週間以上ある。
それなのにチョコをもう食べたとはもう貰ったということだ。
いくらなんでも早すぎる。
それにだいたい、誰に貰ったというのか。
龍司の態度からして、貰っても困らない相手ということになるのだろうが、龍司に姉や妹がいるという話を双葉は聞いた事がない。
となると母親ということになるが、寮生活の双葉とは違って毎日自宅へ帰る龍司に1週間も前にチョコを渡す理由がわからない。
そうなると少し遠くに住んでいる親戚だとか・・・・・・。
チョコを食べたというだけならお土産という可能性も出てくるなと双葉は考えた。

 「誰に貰ったの?というか、それってバレンタインのチョコ?」

 「なんだったかなー。
チーズ・・・・・・チーズケーキなんだけど・・・・・・。」

 「チーズケーキ?」

 チーズケーキではチョコレートを食べたという言葉は当てはまらないのではないかと思い双葉は龍司に聞き返した。

 「チョコレートが入ってて。
えーっと、チョコレートチーズケーキ?何か違うなぁ。」

 「ふうん。」

 名前が違うのは置いておいて、とりあえずチョコレートを使用したチーズケーキを食べたのだということを双葉はなんとなくだが理解した。
もっとも双葉とて詳しく名前を言われてもどうせわからないと思っている。

 「この前の月曜日に持ってきたんだよな。
で、昼飯の時に食べたけど俺はもう少し甘くてもいいかなぁって思ったんだ。
砂糖じゃなくて蜂蜜使ったって言ってたなそういや。」

 「は?」

 砂糖がどうとか、蜂蜜がどうかというとそれは手作りということになる。
本命以外に手作りをわざわざ渡すだろうか?
そうなると龍司は本人の知らないうちにアプローチを受けていたことになる。
これは流石に教えた方が良いのかどうなのか、とりあえず相手を聞いてみるべきだと思い双葉は訪ねた。
 
 「ええっと、誰に貰ったの?」
 
 「?エナ。」

 「は?」

 その名前は双葉自身もよく知っている男子生徒の名前だった。




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