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私は、新しい映画を観る合間に「男はつらいよ」シリーズをよく観ます。
シリーズは全部で48作。
42作目からは、満男との2枚看板になり、それまでとは少し作風が変わるので、やはり41作目までが好きです。
その中で、個人的に最高傑作と思うのが17作目の「寅次郎夕焼け小焼け」です。
マイランキングで、邦画では最高位の9位にランクされている作品です。
もう何度も何度も観てますが、先日また観てしまいました。
この作品、マドンナは大地喜和子ですが、ゲストの宇野重吉の存在感がずば抜けてるんです。
シリーズでは、ゲストとして意外な役者が出てきます。
大物としては、志村喬、東野英治郎、森繁久弥、宮口精二、嵐寛寿郎、片岡仁左衛門、三船敏郎など・・・こうして並べてみると凄い顔ぶれですね。
そうした大物達が、存在感たっぷりの名演技を見せてくれるわけですが、この作品の宇野の存在感は、ケタ違いなのです。
ルンペンに化けた、日本画の第一人者という役柄ですが、その言葉一つ一つ、表情一つ一つが素人目に見ても、素晴らしいの一言です。
この作品は、そんな大物役者を迎えたことで、スタッフ全員が襟をただして、最高のストーリー、最高の演出、最高の演技が生まれたように思えます。
最初から、全くムダの無いストーリー、報復絶倒のギャグ、大地のあっけらかんとした明るさがまたいい!
作品中唯一の悪い人間となる佐野浅夫の悪役ぶりもあきれるくらいうまい!
タコ社長の奮闘ぶりも見事です。
そして、この作品は何度観ても同じ場面で泣いてしまいます。
2箇所あります。
1つは、大地が「みなさんの気持ちが嬉しい!もうお金なんかいらない!」と言うようなことを言う場面。
もう1つは、寅さんが、宇野の家の玄関で怒鳴る場面・・・セリフが少し長いのですが、
「初めて会ったとき、こんな大金持ちとは知らず、可愛そうな年寄りと思って泊めてやったりしたのに、てめえは可愛そうな芸者にこれっぽっちも同情しねえじゃねえか、そんなヤツはこっちから願い下げだ!二度とつきあわねえよ!」
この場面は本当に凄い!
それ以外でも名場面がいくつもあります。
宇野と、昔の恋人の会話、さくらが宇野をおくる場面・・・
シリーズも10作目くらいからは寅さんも徐々に丸くなり、作品としてまとまった良作を次々と出してますが、この作品は、そんな傑作シリーズに脂がのった頃に1人の天才役者を迎えたことによって、日本映画史に残る奇跡の名作がここに誕生したといったところでしょうか。
このシリーズ、観ず嫌いの人もいるかと思いますが、この名作、是非是非多くの人に観てもらいたいと思います。
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