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精神遅滞の青年チャーリィは子供の頃、
知能的には正常であった妹に性的な乱暴を働いたと家族に誤解され、母親に捨てられた。
別れ際に彼女が発した「いい子にしていれば迎えに来る」という言葉を
大人になっても信じている。知的障害の為、幼児並の知力しか持っておらず、
そのことでパン屋の従業員にからかわれたり、騙されいじめられていることや、
母親に捨てられたという事実は理解できない。
誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った、
おとなしい性格の青年だったのだ。
ある日、彼はパン屋の仕事のかたわら通う精神遅滞者専門の学習クラスで、
監督者である大学教授から、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。
先んじて動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、
驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリーの目の前で難関の迷路実験で彼に勝ってしまう。
この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号として、彼が選ばれたのだ。
手術は成功し、チャーリーのIQは68から徐々に上昇。ついには150に達し、
彼は超知能を持つ天才となった。
チャーリーは大学で学生に混じって勉強することを許され、
知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。
だが一方で、頭が良くなるに連れ、
これまで友達だと信じていた仕事仲間に騙されいじめられていた事、
忘れていた父親から受けた虐待の記憶、母親に捨てられた事など、
知りたくも無い事実の意味を理解するようになる。
チャーリーは手術前には抱いたことも無い孤独感を感じるのだった。
また、彼の未発達な幼児の感情と、
突然に急成長を果たした天才的な知能のバランスが取れないことに加え、
未整理な記憶の奔流がチャーリーを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け、
彼が世話をしていたアルジャーノンに異変が起こる。
チャーリーは自身でアルジャーノンの異変について調査を始め、
手術に大きな欠陥があった事を突き止めてしまう。
手術は一時的に知能を発達させるものの、
性格の発達がそれに追いつかず社会性が損なわれること
そしてピークに達した知能は、やがて失われる性質の物であることが明らかとなり、
彼は失われ行く知能の中で、退行を引き止める手段を模索する。
彼は経過報告日誌の最後に、正気を失ったまま寿命が尽きてしまった、
アルジャーノンの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージとして、
「アルジャーノンのお墓にお花をあげてください」と締め括る。
「本当の幸せとは何なのか?」
というメッセージを孕んだ、多くの人が涙した作品である。
TVドラマは最悪だったけど・・・
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