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丁度今から20年前、1985年に音楽界で歴史に残る出来事があった。飢えに苦しむアフリカの子供達を救おうとアメリカのミュージシャン達が立ち上がったのだ。彼等が試みたのは彼等が一所に集まって一つの歌をみんなで歌い、そのレコードを買ってもらって、利益を全てアフリカの飢える人々に寄付しようという事だ。今でも時々こうした企画はあるけれど、実際に始めて、かつヒットした最初の例だと思われる。考え方は単純であるが、実際にそれを行う事が出来たという事実に敬意が払われるべきであろう。
アメリカ・ポップス界のオールスターと云える表題曲「We Are The World」はマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーの共作で、指揮とプロデュースはクインシー・ジョーンズと豪華である。曲自体もなかなかキャッチーで良いと思う。この一曲に参加しているミュージシャンだけでも相当な数で、しかも本当に有名な面々ばかりでとても紹介しきれない程だ。なかでも昨年亡くなったレイ・チャールズからスティーヴィー・ワンダーへの流れはとても素晴らしい。シンディ・ローパーも存在感を際立たせている。
勿論、目玉はこのタイトル曲ではあるが、アルバムには他にもミュージシャンが持ち寄った曲が収録されている。カナダ人ミュージシャンのオールスター(Northern Lights)で録音された「Tears Are Not Enough」はデヴィッド・フォスターによる作で、こちらもブライアン・アダムス、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェルと豪華だ。そしてプリンス&ザ・レヴォリューションの「4 The tears In Your Eyes」は白眉だ。プリンスらしい怪しさは十分に発揮しつつも、このアルバムの趣旨に沿っている。そうかと思えばヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「Trouble In Paradise」では雰囲気は全く違うが、こちらもアメリカらしい一面を見せてくれる。
アルバム全体を通して、流石に20年前なので今聴くと音の古さは感じさせるが、当時としては最新の電子楽器だったYAMAHA DX7の音が大活躍していたりして時代の空気を感じさせる。
このアルバムを買った当時、「アメリカというのはやはり凄い国だなぁ、日本ではこんな事を自発的にやろうなんて考え自体が生まれないだろうなぁ。」と感心したものだ。そしてこのアルバムを買った事自体で何か世界に貢献している様な気分になったものだ。しかし1年後、筆者は渡米しアメリカの食事というものを目の当たりにして衝撃を受けた。信じられない程の量を注文し、信じられない程の量を残すのだ。勿論、みんながみんなではないが、アメリカでは往々にして見かけられる「良くある光景」だ。
「これだけの残飯がアフリカにあったらどれだけの人が助かるのだろう?」と素直に思った。「アフリカを救え!」というその志が、単なるポーズではなくみんなの心に本当に芽生えたならば、貧困だけでなく、戦争もなくなるのだろうなと、まだまだ世間知らずの19歳は思ったのだ。
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▼曲目
1.We Are The World (USA for AFRICA)
2.If Only For The Moment Girl (Steve Perry)
3.Just A Little Closer (The Pointer Sisters)
4.Trapped (Bruce Springsteen & The E Street Band)
5.Tears Are Not Enough (Northern Lights)
6.4 The Tears In Your Eyes (Prince & The Revolution)
7.Good For Nothing (Chicago)
8.Total Control (Tina Turner)
9.A Little More Love (Kenny Rogers)
10.Trouble In Paradise (Huey lewis & The News)
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