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あまりにも重すぎるのでmixiに移しました…。

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良くも悪くも女声ボッサノヴァ歌唱のイメージを決定づけてしまったのがアストラッド・ジルベルト(母国ブラジルでは“アストルーヂ・ジゥベルト”と発音するのが正しい様だが、彼女の場合アメリカから世界に知れ渡った経歴の為、“アストラッド・ジルベルト”という英語風発音が定着しているので、ここでもアストラッドと表記させていただく。)であろう。アストラッドの歌唱は、普通「音楽」と云われる枠で考えると到底許し難い程の音程のふらつき、そもそもの発声のなってなさは最早素人レヴェルと感じる人も多いであろう。しかしそれは仕方ない。アストラッドは元々ヴォーカリストとしては完全な素人である。

このエピソードは有名だろうから簡単な説明にするが、1963年、アメリカでスタン・ゲッツが流行らせ始めていたボッサのあるレコーディングで、ゲッツは共演者であるジョアン・ジルベルトの妻(当時)、即ちアストラッド(ジョアンの通訳として同行していた)にある曲の歌詞を英訳で聴かせてくれと頼んだ。で、実際にアストラッドに英訳で歌ってもらったら意外に良かったので、本番テイクも歌ってもらいましょうという事になり誕生したのが名曲「イパネマの娘」、名盤「GETZ/GILBERTO」の中の一曲という訳だ。

このアルバムはそれから4年後に作られたが、既にアストラッドのアルバムとして立派な完成度を誇っている。勿論、名プロデューサー、クリード・テイラーの采配で素晴らしい仕事をしているドン・セベスキーとエゥミール・デオダートのバックアップも見逃せない。また、選曲も大変に良く、特にCD化にあたってボーナス収録された13〜17曲目(元々は違うアルバムの収録曲なのだが)はスタンダードな名曲を、まるでオリジナルのボッサ・ノヴァ曲であるかの様に美しく仕上げられていて素晴らしい。ボッサをこれから聴こうとしている人や、ちょっとかじってみたいと思っている人に「女声ヴォーカル入りのボサノバでお薦めは?」と訊かれたら、筆者はこのアルバムを薦める事にしている。

こんな立派なリーダーズ・アルバムを出してもらえる様になったアストラッドも、素人臭さが多少抜けて成長が見られる。なんとも頼もしいものである。しかし良く聴くとアルバムのタイトル曲である「Bossa Na Praia (Beach Samba)」の間奏の途中で、2コーラス目の頭と勘違いして歌い始めてしまっている部分もあったりと微笑ましいミスもある。もっとも現在なら簡単にカット出来る録音技術が、この当時はまだ無かったのだから同情の余地はあるが。

アストラッド・ジルベルトの音楽を聴く度に、音楽というものは必ずしも高い技能を持った人によってのみ創られるものではないという事が、改めてはっきりと実感出来る。勿論、素晴らしい演奏技能を持った人による職人芸はそれだけでもとても価値のある音楽だ。だが、地の人がふっと唄った歌に魂を感じたり、とても心が癒されたりという、人間の存在のすぐ横に生まれて来た、人々の心を震わすものこそが音楽なのではないだろうか。

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▼曲目
 1.stay
 2.misty roses
 3.the face i love
 4.parade (A Banda)
 5.oba oba
 6.canoeiro
 7.i had the craziest dream
 8.beach samba (Bossa na Praia)
 9.my foolish heart
10.dia das rosas (I Think of You)
11.you don't have to be so nice
12.nao bate o coracao※
13.Goodbye Sadness*
14.Call Me*
15.Here's That Rainy Day*
16.Tu Meu Delirio*
17.It's a Lovely Day Today*

*=1966年録音のワルター・ワンダレイ(ヴァルテル・ヴァンデルレイ)との共演LP
「A Certain Smile A Certain Sadness」よりボーナス収録。

※1〜12はオリジナルLPの表記に従ったが、12曲目はポルトガル語で表記される
 独特のアルファベットが表示出来ないので、似た形のアルファベットで代用して表記しています。
 またCDでは「Cor"o"cao」と表記されているが「Cor"a"cao」が正しい。


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